●マタタビ |
- マタタビは、山地に自生する落葉のツル性の植物でやや湿り気のある日陰を好むようです。
6〜7月頃に葉が半分くらい白または淡橙色に変化し、2cm程の梅の花に似た白く芳香がある花を下向きにつけます。花の終わる頃に葉はもとの緑にもどります。
正常な果実は、3cm程の楕円形のどんぐりのようなもので、熟すと橙黄色になります。
マタタビアブラムシが花の中に寄生した果実は、亀の甲の様な姿をしたデコボコの虫こぶ果になります。漢方では、熱湯殺虫してから天日乾燥させた虫えい果を「木天蔘(もくてんりょう)」と呼び利用されています。虫えい果の方がマタタビとしての効能があることが知られていて、猫が好むのもそうです。
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●マタタビの由来 |
- マタタビの名前の由来についてはっきりした説ありませんが、「旅人がこの実を一つ食べると、たちどころにして疲労を回復、又旅を続けることができた」だからマタタビという説が、江戸時代から伝えられていますが、これはこじつけらしく、アイヌ語の「マタタムブ」からきたというのが最も有力な説のようです。
アイヌ語で、「マタ」は「冬」、「タムブ」は「亀の甲」の意味で、おそらく果実を表した呼び名でしょう。
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●猫にマタタビとは |
- 「猫にマタタビ、女郎に小判」と昔からいわれますが、猫はマタタビの実が大好きで、女郎は小判が好きという、大好物をたとえたものです。
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●猫科の動物だけが好んでマタタビに酔う |
- 猫にマタタビを嗅がせると、なめる、かむ、頭をこすり付ける、体をくねらせたり転がりながら身もだえる、よだれを垂らして恍惚状態(フレーメン状態)になります。
これは、マタタビの葉、茎、実に含まれている揮発性のマタタビラクトンとアクチニジンという物質が、猫の神経を刺激したり麻痺させたりし、性的快感を覚えさせるような成分だとわかってきたといわれてます。しかし、それらの成分がどのような理由から猫科の動物にのみ効くのかなど、まだまだ判らないことが多いようです。猫科の動物だけがマタタビに好んで近寄り陶酔状態になるのは、猫、ライオン、トラなどは神経が過敏で、本能的にマタタビの様な神経を安定させる効果がある香りを嗅ぐことで病を治そうとしているからともいわれます。
オスの方が特に興味を示す事と子猫や去勢された猫の一部がマタタビに興味を示さない事から、マタタビは媚薬としての効果が猫科動物にはあるのだろうということもいわれてます。
マタタビには、常習性がないうえに持続力もないので、どんなにマタタビが好きな猫も、5〜10分で醒めるし飽きてしまいます。ただ、あまり多量に与えると呼吸麻痺を起こし死亡することもあるといわれます。
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●マタタビは猫の万能薬 |
- マタタビは猫の万病の薬として、下痢をした時、なんとなく元気がない時などによく用いられます。
猫の病気には、木天蓼(もくてんりょう)の粉末を餌に混ぜて与えると良いとされます。
市販品は粉末が一般的ですが、小枝を切ったものから猫のおもちゃや爪研ぎなどにマタタビの粉が含まれているものなど色々なものがあるので用途に応じて使うとよいでしょう。また、茎、葉、実を燃やした煙にも効果があるようなので試してみてください。
●爪とぎ板に塗って、爪とぎのしつけに利用する
●言うことを聞かない猫をおびき寄せる時に使用する
●ストレスでいらだっている猫をなだめるのに使用する
●元気がなくイライラしている時に少量を与える
●病気ではないのに食欲が減っている時に、食事に粉末を混ぜて与える
●マタタビの木をかじらせて、歯磨きのかわりに利用する
- ※マタタビの効果には個体差があるので、まったく効き目のない猫もいるし、子猫や1回陶酔した直後の猫にはあまり効果がないようです。
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◆古くから人間もマタタビを使ってた |
- マタタビの花と若い芽や葉は、山菜としておひたしや和え物、炒め物に利用でき、葉や茎は乾燥させて入浴剤としても利用されます。
正常な果実は、熟すと甘みは出るが、青いものは辛く、塩漬け、味噌漬け、果実酒にされます。
虫こぶの実は、マタタビ酒や乾燥させて利用されます。
同じマタタビ科の「サルナシ」は、果実の栄養価がたいへん高く、ビタミンCはレモンの約10倍、タンパク質分解酵素を大量に含み、熟した果実は柔らかくキウイのような甘酸っぱさと香りがし、皮ごと生食したり、加工用としてジャムや果実酒などに利用されています。若芽にはビタミンC、B1、B2が多く、生食や健康茶としても利用されています。
サルナシのジャムは、少しくすんだ緑色をして、あまり甘くなく少し酸味がありキウイを濃厚にしたような感じの味です。また、サルナシのお酒は、琥珀色のナツメの味に似ていたように思います。
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(2005年4月10日 修正追記) |