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令和3年1月31日

 

 第273号 

NPO法人 岡山県自閉症児を育てる会

 273号 目次

     冬の風の中で

     自閉症啓発セミナーの報告  

     即実践講座 報告とお知らせ

     支援ツール勉強会の報告とお知らせ

      キッズルーム・アイリスの会 の報告とお知らせ

     はやぶさの会・OHAの会・水泳教室 報告とお知らせ

     ちゃーちゃん日記

     お母さんコラム

     私のお薦め本コーナー
         「ライブ講義 発達障害の診断と支援

     近隣の講演会等のご案内

      ぐんぐんだより

     新聞記事のご紹介  

岡山後楽園の横を流れる旭川を7キロほどさかのぼると、大原橋という不思議な形の橋があります。その橋を渡れば、まもなく育てる会事務局がある赤磐市和田に行き着きます。岡山駅からなら車で20分。ここ赤磐の里には真冬の冷たい風が吹き抜けてゆきます。
今年の冬は、特別に寒さが厳しいように思います。
コロナウイルスのお陰で、どこへも出かけられないせいもあって、少々の寒さは大丈夫。
お出かけしなければ、冬の寒さも何のその、暖かい室内で炬燵に入ってミカンを食べて、のんびり冬ごもりもいいですね〜。おっとっと・・そんなことも言っていられないのが、障害のある子の家族です。
じーっとしたくても出来ない我が子と、さてどこへ行きましょうか?
今は厳しい冬の時代です。障害を持つ親にとっては、いつまで続くかと思えるほど、子育ての冬の時代です。でもね、今のしんどさはいつまでも続くわけではありません。
やがて来る子育ての春を楽しみに、この厳しい寒さを乗り切って欲しいと思います。寒さが厳しければ厳しいほど、春の暖かさを喜べるというものです。
我慢です。頑張りましょう。冬はいつまでも続きませんから・・・。

さて、1月24日(土)に第109回自閉症児を育てる会の自閉症啓発セミナーが行われました。川崎医療福祉大学の小田桐早苗先生による「思春期へ向けた子どもとの関わり」には、100人を超える参加者がありました。
ASDという障害がどれほど理解されにくい障害かを、つくづく考えさせられました。たとえ親でも、彼らの想いに心の悩みに、寄り添っていくことがどれほど困難かを、先生のお話から感じることが出来ました。
私には、想像を絶する世界だな〜と思えたのです。
私たちは、誰かと話をするとき、相手の言葉の裏にある感情や想いを一瞬の間に理解して、空気を読んで対応しているらしいのですが、ASDを持つ子どもたちにそんなに高度なテクニックは、ないのです。
どうしてみんなと同じように出来ないのか・・、みんなはどうしてそんな風に、何でも判っているのか、自然に話が出来るのか・・・、彼らには、理解ができないのです。
そして、周りと自分は違うと言うことだけが判る。知的障害が重度の哲平は、かえって幸せかもしれません。周りとの違和感に深く悩んだりすることはないみたい。いつもひょうひょうと、気楽そうに生きているように見えます。本当のところは、判りませんが・・・。ある意味知的障害があることが、哲平にとっては、救いかもしれないですね。
知的障害のないASDの人たちは、普通の人たちの中で、分からない世界を生きていかなければなりません。
困ったときに「困っている」「助けて欲しい」と言うことを伝えるすべを持たない子ども達です。そういうときの本人の思いをどうやったら聞き出し、話せることが出来るようにするかを聞くお話しです。親が、支援者が、子どもの思いに耳を傾ける、その傾けかたのお話しでした。
期間限定ですが見逃し配信もあります。聞けなかった人は大急ぎでお問い合わせください。
詳しい報告、感想が6ページにありますのでご覧ください。
とても判りやすいお話しでした。私たち支援者の力量がグンとアップするお話しを聞くことが出来ました。小田桐先生良いお話ありがとうございました。
さて、次の講演会は横浜より安倍陽子先生をお招きして3月27日(土)に開催します。
演題は「自閉スペクトラム症 幼児期・学齢期の支援〜将来に向けて、今から取り組みたいこと〜」です。
先生方には年度末のお忙しい時期ではございますが、幼児期・学齢期の支援についてのお話しですので、どうか、保護者の方、学校・園の先生方、ふるってご参加ください。
詳しくは、案内チラシを同封しておりますのでご覧ください。 

さて、前回お話ししておりました、支援ツールのユーチューブ配信について、山陽新聞さんが取り上げてくださいました。
記事は後ろのページに載せていますが、写真は歯磨き動画を撮っているところです。
歯磨きの動画を撮るだけですので最初は軽く考えていましたが、光の加減や、手の位置、歯ブラシの色など、色々何度もやり替えて、なんとか撮影することが出来ました。世のユーチューバーのすごさを実感した次第です。
歯磨き動画は、岡山大学教授で歯学科スペシャルニーズ歯科の江草正彦先生に見ていただいての配信です。
今後も自転車の乗り方の教え方など、どんどん色んな情報をアップしていきたいと思いますのでご期待くださいね。
また、会員の方には、色んなアイデアや協力をお願いしたいと思います。
このチャンネルを使って、私たちは若いお母さん達のために、いろいろな情報を発信して行きたいと思っています。
私たちは、我が子にどう教えていけばいいのかが分かりませんでした。そのため、苦労したこと、工夫したことを、今度は我が子以外の小さい子を持つおかあさん達に伝えたい。そんな思いで、このチャンネルを作っています。
世の中にはたくさんの情報がありますが、このチャンネルでは、経験に基づいたアイデアを盛り込んでいこうと思います。チャンネル名「ぐんぐんのびのびチャンネル」です。
ご意見お寄せください。待っています。

さて、私ごとでございます。
先日、夫とふたりでPECSのレベル1の研修に参加しました。私は何度目かのレベル1の研修でしたが、夫は初めてのPECSです。
息子のコミュニケーション力をなんとか伸ばしたいと願ってきましたが、なかなかひとりではうまくやれていないのが現状です。私が頑張って色々やっていると、横から夫が口を挟みます。手伝わないばかりかかえって邪魔なこともあります。そこで、一緒に学んで欲しいとお願いしての夫の参加となりました。
参加してみると、理解力は抜群の人なので、私以上に理解はしてくれたみたいです。一緒にPECSをやれる土壌は整いました。これからは一気にいけるのではないか・・・(?)と思っているのですが、さてどうなりますか・・・でございます。

最近のことです。コロナ禍のせいで、お正月に帰れない兄の話を父親と哲平がしているようでした。耳を澄ませて聞いていた私。食卓で、ふたりで話をしています。
哲平「ゆうき(兄の名)、帰ってこんな〜」
父 「帰ってこんな〜」
哲平「来年正月、帰ってくる!」
父 「帰ってくるよ、きっと」
哲平「ゆうき、帰ってこん!」「寂しいな〜」
父 「寂しいよな〜」
哲平のこの「寂しいな〜」に、大きく感動した私です。
哲平がこんな風に自分の感情を話すことは、殆どありません。「楽しかったです」とか「うれしかったです」というように定型文的に、行事の後に聞いたりすると答えます。食事の後には、「おいしかったです」とも言います。でも、「寂しい」なんて言えることもびっくりだったし、そんな感情を持っていることにもすごいと思いました。
哲平33歳になりました。やっとここまで言えるようになった・・・。普通のご家庭では、それがなんだと思われるのでしょう。でも、私は、うれしくて感動したのです。
こんな「寂しい」がやっと言える段階です。障害を持つ子の親は、不幸せでしょうか? 
私思うんですよ。なかなか出来ないことが出来るようになることって、すごくうれしいですよね。簡単に何でもできる定型の子育てよりも、それまでに大変な労力を要する障害を持つ子の子育ての方が、喜びも大きいように思います。私は、とっても幸せです。
「寂しいな〜」とたったこれだけ言っただけで、こんなに幸せを感じられる私の暮らしは、とっても素敵な人生って思うんですよ。少しを喜べる人生です。豊かです。
さて、オリンピックの聖火リレーのランナーに選ばれている哲平です。
聖火リレーの事務局から、今年は、5月20日に赤磐市で行われるのでそのつもりでいてください、と連絡をいただきました。オリンピックの本番は大丈夫なのでしょうか。
コロナ禍が、7月までに収束するとはとても思えませんが、それでも準備だけは怠らず、トレーニングは続けていきたいと思います。
哲平には、お父さんが伴走者としてつく予定です。普通に走るのではなく聖火を持って走らなければなりませんから、そろそろ棒のようなものを用意して走る練習をしたほうがいいでしょうか?
それにしても、オリンピックどうなるのでしょうね。どうなるのか判らない状態のことなので・・・、本人には、聖火リレーの予定の話はしておりません。
これは、カレンダーです。
コロナのせいで会社は生産調整をしているようです。お仕事のある日とない日が複雑で、しかも時々変更もあります。
それでこんな消しゴムハンコを作ってみました。こんな風に哲平にハンコを押してもらっています。
  
お休みは「休」の赤いハンコ、出勤日は「出」の黒いハンコです。
哲平は、頭の中でカレンダーを記憶しているのですが、私が忘れます。
それで私にとっても、判りやすいこのカレンダーを重宝しています。
この会報が届く頃には、少し暖かくなっているでしょうか?
ベランダに置いていた植物が、寒さでバリバリに凍ってしまいました。
大急ぎで部屋の中へ入れましたが、すでに手遅れの鉢も何点かありました。去年は、全くそんなことがなかったので、うっかり外に置きっ放しにしていました。
今年は寒い寒すぎる〜。お日様には当ててあげたいので、植物を朝晩、入れたり出したり、忙しいことです。暖かになって、お花をいっぱい咲かせたいです。園芸が趣味になってきた私は、たくさんの種を通販で買いました。春が来たらその種を蒔いて、たくさん花を咲かせましょう。
うまく苗が作れたら、育てる会の庭にもグループホームにも持って行きましょうね。早く来い来い、春よこい!春さん。まっているよー。
今日はここまで、皆さんお元気で、ごきげんよう〜♪
(鳥羽 美千子)

自閉症啓発セミナー 報告

令和3年1月24日(日)、川崎医療福祉大学の小田桐 早苗 先生を、講師にお迎えして、「思春期に向けた子どもとの関わり 〜お母さんと振り返るときのアプローチについて〜」のテーマで「第109回(令和2年度 第4回)育てる会 自閉症啓発セミナー」を開催いたしました。
当日、オンラインでセミナーに参加された方からの講演報告とアンケートが届いていますので、その一部ですが紹介いたします。

令和3年1月24日(日)、Zoomにて「第109回 育てる会自閉症啓発セミナー」に参加しました。コロナ禍においてもこうして学びの機会を持てることに感謝したいと思います。
川崎医療福祉大学の小田桐早苗先生より「思春期へ向けた子どもとの関わり〜お母さんと振り返るときのアプローチ〜」というテーマでお話しいただきました。
思春期といえば、一般的にも人間関係が複雑に感じられ最も悩みも多く、孤立化する時期というイメージです。そうした難しい時期を、自閉症である我が子がどのように迎えるかを心配する声もよく耳にします。でも、この度のセミナーではタイトル通り、「思春期に向けた…」というところがポイントで、『今から準備できますよ。土台作りをしておきましょう。』というメッセージがたくさん込められたお話になっていたと思います。
お話の冒頭に、軸となるポイントを2点あげられました。
・どんなことに気をつけると本人たちの思いに私たちが気付きやすくするなるだろうか?と(脳タイプの違いから)考える
・あなたが伝えたかったことは、「私たちはこう受け取ったが、どうかな?」と確認しあうようなやりとりを提案する
まずはASD当事者の思いが伝わるようにグニラ・ガーランド氏の手記「自閉症者が語る人間関係と性」より一節を紹介してくださいました。 
『他人が私をどう理解しているのか、また、私に何を期待しているのかについて、たびたび不安になります。』
つまりは、自分がどのように立ちふるまうべきか、正解は何なのかを常に考えてみるが分からないという中にいて不安だということが直接伝わってくる当事者の声。そして、先生ご自身もASDの方々の苦悩を耳にするたびに、「誰かにこうした悩みさえ、相談するということを知らないで生きてこられたのでは?」と感じることがあるのだそうです。
どうして相手の期待することが『分からない』と感じるのでしょうか? それは、ASD特有の学び方・思考の違いによるもので、相手が大事な要点として伝えたはずのことが捉えられないままになり、その限られた情報とほかの情報と関連付けて類推することも難しいため、行動自体が期待されたものと違った形で現れるのだと説明がありました。
違った行動に出た結果、(他者から)指摘を受けたり失敗経験に繋がったりして、後から自分のミスに気付いた時は自分の判断自体が信じられなくなり不安になるのだと聞いて、それは『分からない自分がたまらないだろうな』と想像しました。正しくないかもしれない判断で人と関わったり、自分から動き出さないといけなかったりする状態は自然と避けたいことでもあろうな、とも思いました。また、相談して『思いを聞いてもらえた経験』『分からないことを一緒に考えてもらえた経験』などがない(もしくは知らない)人であれば、悩みはさらに深いと思いました。
次に、相談をする(分からないことを尋ねる)となった時に必要になってくるのがコミュニケーションです。
小田桐先生はASDの方のコミュニケーションについても、詳しく説明してくださいました。
コミュニケーションは、言葉+表情、身振りを理解と表出の側面で伝え合い、意図の共有ができるということであると学びました。私たちは、おしゃべりで理解・表出できるかといったところにフォーカスを当てて単純に評価し、考えがちですが、『会話する』とは、言葉の裏に隠された意図を瞬時に読み取りながら、表情や身振りからもニュアンスや相手の気持ちを汲み取ることを同時に行い、相手の反応に合わせて内容を調整するといったとても複雑な作業なので、ASDの方たちにとって難しい手続きのようです。
それでも、ASDの方たちの思いに私たちが気付くには、ASDの学習スタイル(が必ず影響するため、その強み)に着目して、具体的事実から質問し、話の細部にも着目しながら、視覚的に情報を整理して残し、時には気づいていない情報とも紐づけながらやりとりをするという方法をもって向き合っていく必要があります。その一例として紹介してくださったのが、コミック会話でした。
実際の話の展開を紹介して下さりながら、一緒に紙に文字や絵でおこしてみる体験もしました。
その例に出てくる主人公は、ASDに関係する人なら日常的に耳にする会話の特徴があり、あった事実を、印象に残ったところから、淡々と語っていき、周囲の反応からその意図が読めず(時に誤解したままで)感情的になっていたり、問題意識の差ができてしまっていたりする方々でした。
ですから、参加者が誰しもその対象者をイメージしながら、お話が聞けたと思います。
気をつけたいこととして『他愛もない会話から始めていく』というポイントが出てきましたが、これはコミック会話を試してみた方の多くが失敗をし、見直した点なのではないでしょうか。伝えたいことや、聞きだしたい話題をテーマに選びがちですが、ASDのとらえ方の違いに着目すると、体験していても自分にとっての意味がないものに対し、取り立てて伝えたいと思えない、記憶してある情報量が圧倒的に少ないなどの理由からも成立せず、
コミック会話=嫌な経験として印象づいてしまうリスクがあるそうです。分かり合えることが目標なので、何気ない日常の嬉しい報告や本人の強みである興味関心をうまく利用し、テーマを選ぶと良いようでした。また『急かさず、待つ』『話しやすいシステムを活用する』といった点も、情報処理に時間がかかる特性を加味せず求めてしまいがちであると反省しました。小田桐先生の実践では、5段階指標や円グラフのパーセンテージで度合いを示して、伝えにくいニュアンスを(指差しや数字を答えるといった)簡単な表現方法でも具体的に聞き出せる工夫がなされていて大変参考になりました。そして自分の判断や発言に自信が持てない人も傷つけることのない、素晴らしいフィードバックがなされているのが特徴的でした。語った相手から、心からの賛同をもらえることで伝わって嬉しい気持ちを実感するでしょうし、安心感も得られるだろうなと想像します。
思春期に向け、日ごろのコミュニケーションに紹介いただいた手法を取り入れながら、この人に聞いてほしい(語っても良い)という関係性を築いておくことが重要であると感じました。そして、「こんなにも豊かなやりとりができるんだ?」という感動を、ぜひ私も身近に感じたいなと思いました。
支援者:K

○ コミック会話のお話の前に、ASDの人が持つ感覚の入力の特異さや情報処理の独特さ、関連付けにくさ。そして出力する行動面での類推の難しさなどを改めて確認した上で、ASDの行動の背景を確認する手法としてコミック会話を活用したお話として理解できました。ASDのお子さんと関わる時に、何が見えたか? には気づけていたが、逆に見えていないことを拾い出せていないと気づけました。今後の関わりの中で意識していこうと思います。
子どもが集団生活に入った時に、困ることが多すぎて、しかも語れない状況の時、環境調整や見通しを持たせるスケジュール、聞こえの物差しや感情カードで一日の活動を振り返りました。
本人が楽しかったこと、困ったことが分かったところについて、コミック会話のように何があったのか質問しながら書いてみると、頭の中の映像を再生するかように詳細に思い出し、書いたものを手がかりに話してくれるようになったのを覚えています。
困ったことについてピンポイントに語れるまで3〜4年かかりましたが、使っていくうちに、本人が書いて整理する様子もありました。周りの人たちと比べるとできないことは本当にたくさんありますが、そんな中でも本人らしく頑張っている子どもの気持ちを知るには本当にいい方法だと思いました。今回、コツを教えて頂いたので、意識して使っていこうと思います。
時折、周りに流されて何が大事か見失いがちな親ですが、本人らしくいられる大人になれるように、サポートしていきたいと改めて思いました! ありがとうございました。
(保護者:高校・大学、児童発達支援事業所職員)
○ いつもそうなのですが、小田桐先生は本人の視点から本人の気持ち、混乱、不安になる理由について、自閉症の学習スタイルを根拠に語ってくださ
います。それを聞いていると、自閉症のある人たちは毎日どれほど大変なこと、がんばってることがあるのだろうかと思い知らされ、胸が熱くなります。それと同時に先生は、私たちにできることを教えてくださるので、それはたとえ下手でもしなくちゃ!と強く思いました。
コミック会話については、私は単純に「本人にわかりやすく整理するため」だけだと勘違いしていました。しかし、整理することで「私たちがその人の世界を見せてもらう」こと、その結果として、彼らの気持ちを正確に受け止められることで心からの「そうだったんだね、それは〜だったよね」を伝えることができ、彼らが「伝わった、わかってもらえた、嬉しい」と実感できるのだとわかりました。
相談スキルを育てることは重要だとずっと思いながら、「相談してよかった」という体験をどうしたらさせてあげられるのか悩んでいました。今回の講演を聞かせていただいて、誰よりもわかってほしいと思っている自閉症の人たちの「自分の中にあるけどどう伝えたらよいかわからないこと」「気づいていないこと」を、自閉症の人たちの得意な理解しやすい方法で、本当に言いたいことをきちんと聞き取り、その気持ちを受け止めるあたたかいやり取りこそが、「人に話して、聞いてもらってよかった」に繋がるのだとわかりました。
毎日のバタバタの中で「本人にとって楽しいことから、興味のあることから取り組んでいく」のはなかなか大変だぞ〜と感じ、うまくいってる楽しかったこと、よかったよかった、と流してしまっていることに気づきました。
トラブルがあった時に、よほどこちらが正確に状況を把握したくて意を決したら紙と鉛筆を用意していたことを反省しました。私が紙と鉛筆を用意したら子どもたちがわかり合えることを期待して喜ぶような、そんなあたたかいやり取りができるようになりたいと思います。ありがとうございました。
(保護者:小学校)
○ コミック会話を使った支援方法や具体的な進め方、ポイントなどを具体的な事例を交えながら分かりやすく伝えてくださり大変参考になりました。
普段の会話の一つひとつの積み重ねが豊かな人生に繋がっていくことも感じました。
教育現場で指導にあたりながら、保護者との協力関係を築いていくこともひとつのテーマと感じています。親や支援者が見通しをもって安定してチームとして子供に関わるために、定期的な話し合いの場を設定していきたいと考えています。
今後もいろいろと教えていただければと思います。
(支援学級担任)

令和2年度 保護者のための 自閉症基本講座

初めて自閉症の告知を受けたばかりの保護者の方にも分かりやすいようにと、できるだけ専門用語を使わない重松孝治先生による「自閉症、基本の“き”」講座、毎回お母さん方から好評をいただき、回を重ねるごとに受講者の方もどんどん増えています。
前回のセミナーでも、参加者の方からの質問に丁寧にお答えいただき、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
2月はお休みで、次回はいよいよ今年度、最後の第6回となりました。
正会員の方は無料で、またオンラインですから、ご家庭の居間から気軽に参加いただけると思います。まだ、参加されたことがない方、ぜひご参加してみてください。
育てる会、お勧めの企画です。

 【第6回 保護者のための 自閉症支援基本講座 】

日 時:令和3年3月9日(火)10:00〜12:00    
場 所:WEB開催(ZOOM使用)
講 師:重松 孝治 先生(川崎医療福祉大学 講師)
参加費:正会員 無料、ぐんぐん保護者 1000円、一般 2000円
申 込:育てる会 事務局(Tel.086-955-6758、Fax.086-955-6748)
1月12日の第5回 基本講座に参加されたみなさんからのアンケートです。

○ 質問を使用しての具体的な事例、助言大変分かりやすかったです。つい目に見えた結果を求めてしまいがちですが、日々の成功体験の積み重ねが目には見えないけれど実感として残していく大切さを改めて感じました。また自分の要求も2段階くらい上を目指してしまうので、まず先生が言われる通り安定した状態でやっていって、それから次の段階へ進んでいかないといけないなと思いました。
○ 今回もたくさんの質問に答えていただいて、ありがとうございました。
実際のお子さんの話から、こんなこともあるよなぁと我が子では気づかなかったことを感じたり、先生のお答えの中からも他のいろんな解決策につながっているのを感じたりしました。
特に今回は、社会性の発達レベルのお話を聞いて、人とのかかわりにも、段階があって、一つひとつ成長していくのだなということが印象に残りました。
また、意図と手段のお話で、その子が不適切な発信をしても、意図していることは悪くないよと伝えること、なかなかできていないし、こちらも気付いていないことだなとハッとしました。本当に丁寧な支援が大事なのだなと、毎回気持ちを改めています。いつもわかりやすくお話いただいて、ありがとうございます。
○ 「貸して」と言って、ダメと断られた時によく泣いたり怒ったりする事が多いので、「ダメ」と答えて断られる体験をさせる事をしていたけど、「いいよ」の次は「待って」と答える方がまず先に経験を積ませる事が大事だと知りました。
○ 質問に答えて頂いて、やるべきことが見えてきました。(困ったリストをコミック会話などで作っていくこと)
話をきいていると、すでにぐんぐんキッズの先生たちは、絵や写真の伝達方法も教えてくれているし、選択肢体験もしてくださっている、コミック会話の方法も教えて下さっている。でも、今の状況なので困った、あら?と思った時の行動方法をリストにして確認していくことなんだなって後は、経験なんだなって思いました。
私が、その経験を見落とさずリストにしていくことが子どもを守り育てることに繋がっていくんだなと思いました。ありがとうございました。


令和2年度 支援者対象 
    現場の先生のための即実践講座

応用行動分析(ABA)の専門家であるABC研究所代表の 今本 繁 先生 による、ABAの基礎から実践までを本格的に学べる連続講座です。
次回は、第9回となり「令和2年度 岡山ABA講座」も残り2回となりました。
いよいよ、これまで学んできた応用行動分析の理論に基づく実践事例の講義です。現場の先生のための即実践講座ですので、これからみなさんの現場で、ABAを活かしていっていただきたいと思います。

  【 令和2年度 第9回 即実践講座 】

日 時:令和3年2月5日(金)19:00〜20:55
場 所:WEB開催(ZOOM)
テーマ:「行動分析の実践事例」
講 師:今本 繁 先生(合同会社 ABC研究所 代表)
参加費:一般 23,000円、賛助会員 20,000円(全10回分) 
申込・問合せ:Tel.086‐955‐6758、Fax.086-955-6748
第8回「行動の支援 ―結果操作とトークンシステム」に参加された方からのアンケートの感想です。

○ いつも分かりやすい具体的な例を挙げながらのお話で、普段の支援のイメージも持ちながら聞けるので、とてもありがたいです。トークンシステムなどの話しは、間違ったやり方のリスクも含め、スタッフ間で統一して考え合えるなと感じました。
○ 冒頭のお話で、子どもがやる気をなくすのは?のスライドが印象的で、悪いところばかり指摘する・よく怒鳴られる(怒られる)・おもしろくない、というのが、まさにそうだなと、これまで所属していた支援組織の中で思い当たる場面がたくさん浮かびました。改めてその時の対応のまずさ・稚拙さが今はよくわかります。この学びや気づきをきっかけに同じ失敗を繰り返さないよう、どのような対応に振り替えていけばよいのか、までをしっかりと具体的に考えて実行していきたいと思いました。
○ 絶対にしてはいけない行動をさせないようにするために、タイムアウトやレスポンスコスト過剰修正は丁寧に教えてくださり分かりやすかったです。日々冷静に保育しているつもりでも、これはしていいことなのか悪いことなのか自問自答しながら保育をしていたので為になrりました。
○ 褒め言葉とご褒美をセットで使っていくうちに、褒め言葉も少しずつ有効になっていくということが目からウロコでした。
言葉での賞賛が有効でないお子さんに対して、ペアリングを上手に活用していくことで、保護者の方も楽しめるのではないかと感じました。
○ なんとなく今までやっていたことではありましたが、「好子の物を与えるのと同時に称賛の言葉を一緒に添えるようにして繰り返していくと、称賛の言葉が好子になっていくのでぜひやってください」という言葉はうれしかったです。

令和 2 年度 支援者向け 
   発達障害支援 夜間連続講座 in 赤磐

川崎医療福祉大学講師の小田桐早苗先生にお願いしている、今年度の赤磐市での夜間連続講座です。
赤磐市との共同主催の連続講座でしたが、コロナ禍のため、オンライン開催となり、残り2回最後まで赤磐市内での開催は難しそうですね。
講義の内容は、ライフステージに応じた本人への支援に続き、本人に加えて家族の支援についてのお話に入っていきます。
親としては、支援者の方に “ココ” についてもしっかり学んでいただきたいと思います (^_^)

 【第9回 夜間連続講座 in 赤磐】

日 時:令和3年2月16日(火) 19:00〜21:00
場 所:WEB開催(ZOOM使用)
テーマ:「最も身近に寄り添う家族を支え、共に本人を支えるために私たちはなにができるか」
講 師:小田桐 早苗 先生(川崎医療福祉大学 講師)
参加費:赤磐市在住・在勤者 7000円(資料代のみ)、他市の方 一般 20000円・賛助 17000円(資料代含む) 全10回分
第8回「成人期 〜「自分らしく生きる」を支えるための周囲の役割は何か〜」に参加された方からのアンケートです。

○ 私たちの支援がきちんとしていなければ支援させていただいている方が社会に出た時に困ってしまうのでしっかりとその方の姿を見て、寄り添った支援をしていきたいと思いました。
○ 成人期に直接関わるような仕事はしていませんがその先を学ぶことで、見据えた対応ができると思います。普段なかなか学ぶ機会がないため貴重な講義となりました。
○ 成人期の支援は、それまでの経験や支援の集大成であり、複雑なため、なかなか大変だと思っていましたが、むしろそれをすごく楽しんでお話してくださる小田桐先生のお話に感銘をうけました。本当にそうですよね!可能性いっぱいな人生に彩りを添えられるよう、頑張りたいです!
○ 小田桐先生の「幼児期から教えてきたことが成人期に花開いているか?」という言葉をお聞きし、幼児期の支援に携わる者として、成人期を豊かに幅広く生きていくために、豊かな成人期をイメージして何を大切に取り組んでいくかをしっかりと考えていきたいと思いました
○ 残り2回ということが残念でなりません。仕事で悩んで行き詰っていても、この研修を見ていたら頭の中をリセットできるような思いです。今回の動画では涙が溢れました。自分は社会人2年目で先輩方の話を聞く毎日ですが、子どもたちももちろんですが、自分自身も良い方向に進まなくてはと思いました。毎月ありがとうございます。

支援ツール勉強会 の 報告とお知らせ

1月18日(月)に第2回 澤月子先生の支援ツール勉強会をZoomで開催しました。
前回の「流れを視覚的に示す」ことを踏まえた上で、今回は達成感やご褒美についてお話いただきました。
働く大人になるために、ご褒美(トークンシステムなど)を使って何かを達成する経験を重ねることはとても大切なことだと話されました。
「お母さんもタダ働きはしてはいけません!自分にもご褒美をあげてください」と先生に、言っていただき、心温まる気持ちになれました。自分をいたわることでコンディションよくなり、家庭の環境UPにも繋がりますもんね!
トークンシステムのことに戻りますが、トークンシステムにも、様々な様式(タイプ)のものがあり、具体的にサンプルを見せていただきました。
好きなイラストを使ったり、実物の方が分かりやすかったり、お子さんに合わせて作っていくと、頑張り度がUPしますよね!
ゴールはできるだけ短く、できることを目標にしてすることがポイントだそうです。
交流の時間には、それぞれの家庭で使用している支援ツールを見せ合ったり、アプリを紹介したり、先生から助言をいただいたりして、座談会のような時間となりました。支援ツール勉強会専用のLINEグループチャットも開設しており、勉強会終了後も、そちらのチャットでお互いの悩みや意見交換も盛り上がっています。
このような場ができたことを嬉しく思います。今後も、引き続き、みなさんの生活や心の支えになる活動になっていってくれたらと思います。
(事務局 K)
次回は、次回は、3月15日(月)アセスメントのお話も含めつつ、みなさんとの交流の時間もたくさんとっていただける予定です。

 【令和2年度 第3回 支援ツール勉強会】

日 時:令和3年 3月15日(月) 9:30〜11:30
場 所:WEB開催(ZOOM使用)(後日の配信はなし)
講 師:澤 月子 先生(南山城学園 スーパーバイザー)
参加費:正会員 無料、賛助会員・ぐんぐん保護者 1000円

オンライン キッズルーム の お知らせ

今年のバレンタインデー、今年度、最後のキッズルームが開かれます。
コロナ禍の中、いつものようにみんな集まって走り回るのは難しいのですが、先日のオンライン クリスマス会がとても好評だったので、岡山大学児童文化部の学生さんたちにお願いして、オンラインでの キッズルームを開催していただけることになりました。
いつもは定員20名ほどなのですが、今回はオンラインですので、大勢参加OKです。
詳しくは同封のチラシをご覧ください。
日 時:令和3年2月14日(日)13:00〜14:30(頃)
場 所:オンライン開催(Zoom)
参加費:無料(正会員限定:きょうだい児 参加OK)
申込締切:2月10日(申し込みされた方に、Zoom ID等お知らせします)

あゆみをつなぐ アイリスの会

「18歳の春を目指すクラブ」による、Zoomによる座談会&勉強会です。
開催日を毎月、第4木曜日と決めてしまったため、感想のまとめが今月の会報発送に間に合わなくなってしまったので(おそらく来月も (^_^;)・・・)、1月28日のアイリスの会の報告は来月に回させてください。
と、言う訳で、次回のアイリスの会のお知らせです。2月のアイリスの会は、成人されたお嬢さんを育ててこられたお母さんの話を予定しています。
ご存じのように、自閉症をもつお子さんは男の子が圧倒的に多いです。少数派の自閉圏の子どものうち、さらに少数派の女の子です。育てる会でも「クローバーの会」という女の子の会がありますが、そのクローバーの会でお姉さん的役割を持ってくれたお嬢さんです。
子育てのなかで、どんな風に自己肯定感を大切にしてこられたかなど、女の子を持つお母さんだけでなく、男の子のお母さん方にもぜひ聴いていただきたい会になると思います。
オンラインですから、自宅から気軽に参加してください。

 【 第5回 アイリスの会 】

日 時:令和3年2月25日(木) 10:00〜12:00(頃)
場 所:Zoom座談会
参加費:無料(正会員限定・・・後日配信はありません)
参加申込:不要ですが、人数把握のためできればご一報ください。また正会員確認のため、名前を入力してご参加ください。
※ ID、パスワードはいつも同じですが、お忘れの方は事務局まで

はやぶさの会 報告とお知らせ

自閉スペクトラム症のお友達作りの会、「はやぶさの会」です。
メンバーは、小学生の男の子を中心に活動しています。
子どもたちのリクエストを受けて、2月はまたイベントを企画しています。
マスクを着用して、学校でも学んでいる「ソーシャル・ディスタンス!」を保ちながら、遊園地で遊ぼうということになりました。
ただ、新型コロナウイルス拡大予防の観点から、場合によっては活動内容の変更または延期になるかもしれません。参加者で相談しながら、安全安心に行っていけるようにしたいと思います。
日 時  令和3年2月28日(日)10時 現地集合
場 所  岡山県内 遊園地
参加費  無料(入園料・乗り物代・昼食代などは各家庭)
新しい仲間も随時募集中です。初めてでもすぐ仲良くなれますよ。
小学一年生以上のASD診断のある男の子で、友達がほしいなと思っている子対象です。
お気軽にお申込みください。今回、新しくお問い合わせいただきました。大歓迎です!仲間が増えてきてくれると嬉しいねと子どもたちも話しています。
「はやぶさのような、女子のお友達グループがほしいな」という声も事務局に寄せられたそうです。
「ないものは作っていこう!」の声で、どんどん立ち上がっていくといいですね♪
(担当:M)

OHAの会の報告とお知らせ

OHAの会は高機能自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障害で知的障害のないタイプの子どもを持つお母さんのための会です。
1月19日(火)に、第8回目 OHAの会 テーマ『子どもが守りたくなるルール作り』をZoomにて開催いたしました。
ルールを教えるために大事なことはまず、「ルールは守るもの」であることを教えること、次に、守れるルール設定が不可欠だということです。
できないことはルールにしてはダメ×→”ルールを守ってよかった”と思える経験をすることが何より大事なことだと話されました。「時間が守れたね」「きれいにできたじゃん!」「〇〇を守ったからみんなが喜んでくれたね」など、ルールを守れたことを褒めることで、その経験はお子さんにとって確かなものになりますよね。それは、ルールや約束を守ってよかったと実感する体験に繋がります。
また、ルールが守れなかった時は、見積が甘かったとルールの見直しをするなど、保護者側が考える必要があります。コンディションが悪くても守れるルール作りをするなど、ご家庭でのルール作りの注意点なども詳しく教えていただけました。ルールをたくさん作って取り締まることは、保護者の負担も大きいので、無理せず、少しずつ、守れるルール作りをしていってほしいと話されました。ルール作りの原点に戻れるようなお話、我が家でも今日から見直してやっていこうと思います。利守先生、ありがとうございました。
(事務局 K)

次回のご案内

令和3年2月16日(火)9:30‐11:30
第9回 テーマは、 『告知について@ 〜自分をポジティブにとらえるために〜』 です。
都度参加も可能です。1回500円です。(正会員限定)
参加希望の方は、育てる会の事務局までお問い合わせください。
第8回「子どもが守りたくなるルール作り」に参加された方からのアンケートの一部です。

○ そもそもルールとは何か、何のために決めるのかというところから説明していただき、わかりやすかったです。ルール化することと、その都度少しずつ教えていくことを分けて考える、というのは、お話を聞かなければ私にはできなかったと思います。
まさに今日からパソコンのゲームを始める5歳児には、とてもタイムリーなお話でした。「1日30分まで」とルールを決めてタイマーを使い、とりあえず初日はちゃんと終わることができました。このままうまくいくかどうか、しばらく様子を見てみようと思います。ありがとうございました。
○ 今回はルールについてのお話でしたが、話を聞いてるだけでもなかなか難しいと感じましたが参考になりました。
先生のおっしゃる通り、物事をする上でお互いがギクシャクならずに気持ち良く過ごせるようにするためですが、それ自体が理解できないというのもとても納得できました。
我が子はまだ小さく、理解も乏しいので家庭内でのルール決めはしていません。できるようになってほしいことばかりなので直接動作や絵カード、模倣などで根気強く教えることばかりです。
講義の中でもあったようにルールを守る前に親から褒められるという心地よいことを経験するというのは本当に大事だなと思いました。
親との信頼関係がより深まれば、今後ルールについて話す場が出てきた際にスムーズに教えることができるよう、今の時期にできたこと・好ましいことはいっぱい褒めてあげて土台作りをしておこうと思いました。

水泳教室 の お知らせ

日 時:令和3年2月21日(日) 15:30〜17:30
場 所:OSKスポーツクラブ(岡山市北区絵図町1−50)
連絡先:育てる会事務局(086-955-6758)
★新たに参加されたい方、体験されたい方は事務局までお問い合わせください。
体験してみたい方は、2回までOKです。(1回 1000円)
プールは正会員限定で、育てる会の貸し切りで使っていますので、安心してお越しください。
★欠席される方は2月18日(木)までに事務局に連絡してください。
当日のキャンセルは担当携帯まで・電話またはSMSにて連絡してください。
(担当:S & I )

ちゃーちゃん日記 (あるASDの女の子のお話)

ASDの子ども二人を育てる母親であり、AS当事者でもある私のこれまでの日々や現在の様子を紹介するコラムです。脈絡ない話や時系列が昔だったり今だったりで、分かりづらいかもしれません。
思い出したままをお伝えしていくので、整理されていませんが、お気軽な気持ちで読んでいただき、良ければ「おもろいな!」「不思議!」と皆様の身近にいるASDの人たちの感じ方や暮らし方を知ることに少しでも繋がればと思っています。
先日とある方に「〇さん(私)は、本当にネタの宝庫ですね」「色々勉強になるし、ASDの子たちの行動の理由の気づきにもなります」「これって、笑って聞いていてもいいんですか?」と尋ねられました。
そもそも、別にそこまで深く考えていないというか…。自分としてはむしろ普通の話のつもりでしていることが、実は普通じゃないってことばかりなので、定型発達の人ってすごいなぁとこちらが感心することの方が多いです。いわゆる文化の違いってやつですね(^^)
「小さい頃、何が怖かったですか?」と尋ねられました。
NHKの教育番組の「おーい、はに丸」の「はに丸王子」が苦手でした。
顔が怖いというか、目が空洞なのに時々まぶたが動くとことか、動きの鈍いところとか、会話が成立しないところなどにホラーを感じていました。
意味が分からない。そもそもオープニング動画から気持ち悪くて…なのに、「怖い」ということがピンとこないのでよくじっと見ていました。
そのせいで小学校に入るか入らないかぐらいの時に夢に見て、毎晩うなされていました。
はに丸王子もそうですが、本物の人間や動物ではないのに、それっぽく見える(見せている)ものが異様に怖いというところがありました。
畑に置いてあるカカシ・洋服屋のマネキン(白い無機質なものは平気)・理科室の人体模型など、「あ、それは私も、ちょっと苦手」というような理解していただけるものだけならいいのですが、私の場合は、向日葵・鯉のぼり・車のフロント側・鳥よけの目玉風船などもダメだったので、「そんなもの普通怖くないじゃろ」と周りの人に理解されづらかったです。
「怖かったり嫌だったりするのに、目が離せず、そこをむしろ注目してしまう」といのは、学校の通学路でもよく起きました。住んでいた地域が田舎だったので、鯉のぼりや鳥よけの目玉風船はたくさんあります。見なければいいのに、すぐに見つけてしまうので、気づいてしまい、そうすると怖くて足がすくんでしばらく動けなくなります。
登校班で通う朝は、前の人の足を見ながらひたすら歩くので、怖くないのですが、帰りは当時一人下校だったので、下を向いて歩くうちに迷子になりそうになることもしばしば(一本道なので迷うことはないのですが、パッと顔をあげた瞬間、今どこを歩いているか分からなくなる)。
しかも、我が家の庭先には、でっかい向日葵がその重さのため首が垂れ下がって、下を通る私を見ています!!
今なら笑えるのですが、当時は相当しんどかったなぁと思い出します。説明したくても「怖い」としか言えないので、理解してもらえず。
今では、もちろん怖くないです。
では、当時どうやって克服したのか?ってことなのですが。
単純に「それらが、何のためにあるかを教えてもらった」からです。
例えば、鯉のぼりは、端午の節句の子どもの成長を見守るためのものだから、この時期だけ我慢すればいい。
鳥よけの目玉風船は、鳥が作物を食べに来ないように脅かすためのものだから、鳥じゃない私は怖がる必要がない。みたいに。
「理屈が分かれば安心できる」というか。
独特な世界観だなぁと我ながら思います。
でも、それもまた、自分の面白さに繋がっているんだなと感じる日々です。

お母さんコラム

小4でASDの診断のある特別支援学級(自閉症・情緒学級)に通う息子と、4歳(年少)でASDの診断のある保育園に通う娘を持つ母が、普段の我が子との日々をつれづれに書いているコーナーです。
どうぞ気軽な気持ちで読んでください。
最近の娘は、色々自己主張が強くなってきており、お風呂に入る→「やだ」、パパと保育園に行くよ→「ママがいい」、ご飯全部食べよう→「おやつだけ食べたい」など、なんだかんだとワーワー言います。
こちらも余裕がある時は、予告をしたり褒め褒めにしたり乗せたり、色々試行錯誤しながらやりとりしていますが、本人の意思が通らない・叱られるとギャオギャオ泣くので、「あーもー」ということも多くあります。
特に、お兄ちゃんのしていることは何でもやりたくなるので、「娘ちゃんもする!」「ずるい!」「なんで!?」と言うことに絡んでの、兄妹喧嘩が始まると、母である私のストレス値も高まってきます。
私のストレス解消・コーピングスキルを高めねばと日々感じております。笑
さて、そんな娘が先日面白いことを言っていました。
「娘ちゃんねー、ママのこと好きよ」
「おー、ありがとう。ママも娘ちゃんのこと大好きだよ。愛しとるよ」
「ありがとー。でもさー、時々怒られちゃうんだよねー」
「そだねー。大好きだし愛しているけど、ママ怒っちゃうことあるよねー」
「あれ、娘ちゃん嫌なんだよねー」
「そっかー。ママも怒るのしんどいし、疲れるし、嫌だなー」
「じゃあ、今日から怒らないようにしたらいいじゃん」
「んー。でも、娘ちゃんがしたらいけないことあったら、やっぱり怒らんといけんってこともあるんよねー」
「えー。やだ」
「えー。でも、娘ちゃんがさ、約束守ってなかったりしたら、言わないといけんってこともあるじゃろ?」
「あるけどー。怒らずに言ってほしいよ」
「どういう風に?」
「娘ちゃんには、それは分からんけど」
「んー…。じゃあ、例えばご飯を全部食べなくておやつ食べたいって言う時あるじゃん」
「うん」
「そういう時、ママが『早くご飯食べなさい!』って言うのは?」
「(×サインを両手で作って)ブブー!」
「それは『嫌』『ダメ』『そんなん言わないでほしい』ってこと?」
「うん。『なし』!!」
「あー。じゃあさ、『ちゃんと食べていて偉いねえ』『ご飯食べようとしているのがスゴイね』は?」
「(ハートを両手で作って)ハートつけてあげて花丸つけてあげる!」
「それは『良いよ』ってこと?」
「そう。『良いよ』ってこと!!」
「じゃあ、『早く食べられたらかっこいいんだけどな』『ママが作ったご飯全部食べてほしいな』とかって言われるのは?」
「んー………。(△マークを両手で作って)これ」
「どういう意味?」
「『あり』」
「…『ブブー』でも『ハートと花丸!』でもないけど、まぁ『ブブ―』よりはマシってこと?」
「そう。『あり』ってこと」
0か100しか価値基準のなかった娘から、真ん中の50が出てきたことにひそかに感動しながら、色々語彙が広がってきたことに驚いた母でした。
毎日色々お話してくれて、面白いし可愛いなぁ・・・
と思っていると。
隣の部屋からお兄ちゃんが
「そんな、『あり』だの『なし』だの言わず、ママが作ってくれたおかずには、文句言わずに食え!文句言うなら自分で作れって話だろ!ママ、甘やかさんでいいよ!調子に乗るから!!」
「お兄ちゃん、うるさいの!! 今娘ちゃんがママと話してるでしょ!」
「うるせぇのはお前だ!!!! いい加減にしろ!!!! ママ困らすな!!!」
「ギャー!!ママー!!お兄ちゃんが娘ちゃんにひどいこと言ってきたのよー!!!(泣)」
…はい、我が家は毎日にぎやかで、ママが大好きすぎる兄妹がいて、平和で幸せです。
(cyacya)

 ぐんぐん だより 

ぐんぐんぴっぴ (就学前)

年が明けてとても寒い日が続きますね。
今冬はコロナ対策のおかげからか、風邪をひいてしまってお休み・・・ということが例年より少ない気がします。
インフルエンザにかかってしまったという連絡も今のところゼロです!このまま元気に冬を乗り切りたいです。
今回は「ほめる」ことに関するエピソードをご紹介します。
保護者の皆さんがお子さんを大切に思っていることは、お子さんに伝わっているでしょうか。大好きなこと、大切に思っていることが当たり前なのでわざわざ伝えることは少ないかもしれません。しかし、「思い」「気持ち」は目に見えません。
目に見えないことは理解しにくい特性を持っている子どもたちです。だからこそ、褒め言葉や大好きだということをお子さんに日頃から伝えていくことで、何がよい行動なのかを子どもたちは学ぶことができたり、大人が自分のことをどれだけ大切に思っているのかが伝わったりするのではないかと考えます。
はじめに、Aくんのエピソードです。
Aくんは楽しいことが大好きな、天真爛漫なお子さんです。どんどん楽しいことを思いつく才能があります!思いつく才能があるばっかりに時として叱られてしまうといったこともあるようです。
ある日、「僕は怒られるばっかりする」ということをAくんが口にすることが増えたことをお母さんからお聞きしました。
いろいろお話していると、Aくんのためを思ってるからこそ、褒めるよりも注意することが多くなっている気がします。もっと褒めてあげたいのですが、なかなか褒めるタイミングや褒めポイントが見つけられなくって・・・とお母さんがおっしゃれられました。
そこで、療育の中にAくんのことをお母さんに褒めてもらう機会を意図的に作ることにしました。
「お友達の話を最後まで聞いていたね」
「〇〇くんにいいよって言えてかっこよかったよ」
「嫌だって自分から言えたね」
「お母さんを誘ってくれてありがとう」
などなど、些細なことでもたくさんAくんに肯定的に声をかけてもらうようにしました。
Aくんはその場で褒められた方が嬉しいタイプなのでその瞬間に伝えてもらうようにしました。
お母さんも取り組み始めは、どの行動を褒めたらいいのか分からない、すぐに思いつかないのでタイミングが間に合わないとおっしゃられていましたが、回数を重ねるごとにAくんへの褒め方や声の掛け方がどんどんスムーズになってこられました。
そして何よりも変化があったのはAくん自身です。お母さんに褒められるたびに飛びきりの笑顔があふれ、そして活動に対する意欲や自信が全身からにじみ出ていることが伝わってくるようになりました。Aくんの日常生活にも変化が見られました。注意を受けることが全くなくなったわけではない様ですが、注意をされること自体が減ったとのこと。Aくんが「怒られてばっかり」と言うこともなくなったそうです。
それは、お母さんがご家庭でもAくんの良いところ・頑張っているところに目を向けて下さり、Aくんを褒める機会をしっかりと持ってくださっているからこそだと思います。
お母さん自身からもAくんへの接し方を変えたことでこんなにAくんの姿が変わるんですね!と実感こもったご意見も頂けました。
赤ちゃんの頃は「かわいい」「元気だね」とありのままのわが子を褒めていたのが、大きくなると共に「〇〇ができたから褒める」「こちらが言ったことをちゃんとしたから褒める」など、大人が期待することができたときに褒められるといった風になりやすくなるのではないでしょうか。(私もそうでした)
しかし、大人の期待に応えられた時だけに褒められるのではなく、取り組もうとした姿勢や努力する姿を認めてもらったり、ありのままの自分を認められる経験を積むことが子どもたちの自己肯定感をどんどん育てていくことに繋がるのではないかと思います。
これからも保護者の方と一緒にお子さんの自己肯定感が育つ関わりについて一緒に考えていきたいと思います。
ぐんぐんぴっぴスタッフ:K

赤磐ぐんぐん (就学前)

昨冬の「暖冬」とは違い、最近朝の気温がマイナス4度やマイナス6度などという日が何日かあり、冬らしい寒い日が続いています。
そんな寒さにも負けず、元気に赤磐ぐんぐんの療育に通ってきてくださる保護者の方と子どもたちに、私たちぐんぐんスタッフはたくさんの元気をいただいています。
赤磐ぐんぐんは「保護者同室」の療育です。
お母さん・お父さんだけでなく、おじいちゃん・おばあちゃんが来てくださり、赤磐ぐんぐんの療育に「参観」ではなく、「参加」してくださっています。
「親じゃないから、この子のこと、あまりよく分からんのじゃけどなぁ・・・」と言いつつも、ご家族皆でお子さんの成長を見守っておられる様子、お母さん・お父さんをできる限り応援したい!サポートしてやりたい!可愛い孫のために!というおじいちゃん・おばあちゃんたちのお話に、寒い日でも心がポカポカと暖かくなっています。
とはいえ、お子さんを育てる主体は、親世代です。
ご都合で来ることができなかったお母さん・お父さんにも、LINEやお電話で療育内容をお伝えしたり、ご家庭で次回までに取り組んでいただく課題(宿題)を写真つきでお知らせしたりと、少しでも普段の生活・子育てに活かせられればと思い、スタッフも色々考えて取り組ませていただいています。
今回はそんな試行錯誤から生まれた、保護者同室でのエピソードを2つ紹介します。

 【エピソード 1】

Aちゃんのおうちは、お母さんの助っ人として、おばあちゃんが療育に参加してくださっています。普段はなかなか引率できないお母さんですが、新年開けて最初の療育は何とかお仕事を休むことができたお母さんが引率してくださいました。
入室からお母さんが一緒ということが嬉しくて仕方なさそうなAちゃんは、お母さんにお部屋の使い方や課題の内容などを、まるで先輩のように丁寧に教えてあげていました。
Aちゃんは社会性の相互作用レベルは「並行」で、「自分と同じ玩具で遊んでいる人に気づき、相手に注意を向けて観察する」ということが課題になっています。自分の言いたいことがある時・興味のある時に自分から相手に注目することができ、今はその注目の持続や相手から働きかけられたことに反応して相手に注目できるようになることが課題になっています。
そこで、お母さんとAちゃんとスタッフの3人で「黒ひげ危機一髪」ゲームを行い、素材(黒ひげゲームの剣)一つ一つに、Aちゃんが好きなキャラクターや可愛いシールを貼っておき、それを介して相手に注目することができるようにと取り組んでみようということになりました。
スタッフから狙いの説明をお母さんに行い、スタッフが少しモデルを示したところ、お母さんが早速取り組んでくださいました。
「お母さんの剣には何がついているでしょう?」とクイズ形式にしたり「次は何かなー?」と楽しい雰囲気の中で少し焦らしたりしながら、Aちゃんの注目をうまく引き出してくださいました。Aちゃんはわくわくした様子で「プリンセス?」と尋ね、正解すると椅子の上でピョンピョン跳ねるなどして楽しむことができていました。
お母さんとの楽しいやりとりの中から、Aちゃんとお母さんが普段とても穏やかで素敵な関わりをしておられる様子・Aちゃんがお母さんのことが大好きと感じている気持ちもたくさん感じることができました。
コミュニケーションや社会性は、ASDがあっても、幼児の場合「楽しい」「もっとやりたい!」という思いがあるからこそ発達していくと私たちは考えています。
Aちゃんは普段おばあちゃんが来てくれる時も楽しそうに療育での活動をしています。でも、その日はグループ活動の際もあそびの際もおやつの際も、いつも以上に、お母さん相手だけでなく、他のお子さん・スタッフへの注目や発信もいつもより多く見られていました。
Aちゃんにとっていつもは参加できないお母さんが来てくださった療育は、格別な楽しさだったのだと思います。
また、電話やLINEだけでは聞ききれなかった、お母さんが日ごろ接していて感じておられるAちゃん本人の持ち味や、エピソードを通して感じるAちゃんの特性なども対面でリアルに伺うこともできました。保護者同室ならではの療育の意味を感じるとともに、大切なお子さんをお預かりする療育を今年もしっかり頑張っていきたいと気持ちを新たにすることができました。

 【エピソード 2】

Bちゃんは、4月から赤磐ぐんぐんに通い始めたお子さんです。
保護者同室で、お母さんにも療育に参加していただきながら、本人の様子から特性について考えたり、今できていることを共有したり、どんな工夫をすればいいかを検討したりすることを続けてきました。
先日、退室する前の、最後の遊びからの切り替えが難しいBちゃんの様子から、お母さんに普段はどんな風に切り替えているのか・園や家での様子を聞き取りながら、お母さんと一緒に方針を考えていた際、お母さんがこんな風に言ってくださいました。
「これがBちゃんの普段の様子で、よくある状況でリアルなんです」
「ここで先生たちに見てもらえて、ちょうどいいです」
「赤磐ぐんぐんの療育は、こうして一緒に見てもらえて、私(お母さん)と先生で一緒にどうしたらいいかなーとか考えられるので、ありがたいです」
赤磐ぐんぐんでは、療育現場でトラブルがなくうまくいくことを優先させるのではなく、「家庭や園で本人の生活が安定したり成長したりする方法を探る」ことを大切にしています。そのため、お子さんが困ったり混乱したりしている場面では、それを参加してくださっているご家族にそのまま見ていただき、ご家族と一緒に、その理由と改善方法を情報共有しながら考えるようにしています。
Bちゃんが普段の様子を、赤磐ぐんぐんでもありのままに見せてくれることで、Bちゃんがどうしてこの行動をしているのか、それのきっかけは何だったのか、どのような支援があれうまくいくかもしれないのか、具体的にお母さんと一緒に考え、そして試して・・・という試行錯誤を一緒にすることができます。
Bちゃんのご家庭では、療育以外の普段の暮らしの中でも、Bちゃんのうまく言葉にできない気持ちをお母さんが代弁したり、朝の支度や寝る前のスケジュールを提示したりしながら、家庭の中で色々工夫や実践をしておられます。
「『あ、これが原因かも』『ちょっとここを工夫してみよう』と自分でも少し考えつく力がついてきた気がします」とのお話を伺うことができ、とても嬉しく感じ、保護者同室の良さ・大切さを感じた一コマでした。
今回は二つのエピソードだけ紹介しましたが、毎日療育させていただく中で、ここに紹介しきれない嬉しい可愛い面白いエピソードがあります。
これからも、日ごろ一番近くでお子さんのことを見ておられるお母さん・お父さん・おじいちゃん・おばあちゃんから色々教えていただき、一緒に療育でお話しながら考え合いながら、保護者同室の療育を進めていきたいと思います。
今後ともよろしくお願いします。
赤磐ぐんぐんスタッフ:T

ぐんぐんキッズ (小1〜)

朝晩寒い日が続きますね。今年は例年以上に、体調管理が大切な冬ですね。元気に春を迎えたいなと思う今日この頃です。
今回は療育で取り組んだ、コミュニケーションの練習についてのお話です。
ぐんぐんキッズに来ている子の中には、友だちと遊びたいけど、遊びに誘うことが難しいお子さんがいらっしゃいます。遊びに誘う、という何気ない場面ですが、ここにはたくさんのコミュニケーションが詰まっています。
いつ話しかけるのか(話しかけるタイミング)、どんな言葉をかけるか、もし断られたときはどうするのか、といったことです。そして、そこに難しさを抱える子がいます。
その難しさとは、複数の活動を順序だてて行うこと、そして抽象的な内容の理解が苦手といった学習スタイルが関わってきています。
ある日、遊びの部屋で、自分の遊びたい玩具を先生から受け取ったあと、机におもちゃをおくと、ウロウロしているAさんがいました。
部屋をでて、周りを見回したり、スケジュールを見たりしています。
「どうしたの?」とわたしが声をかけると、ちょっと不機嫌そうに「先生、まだ?」といいます。ちょっと私が考えていると、「Bさんの勉強、まだおわらないの?」どうやら、Bさんと遊びたい様子です。
「そっか、Bさんと遊びたいんだね。たしかにBさんはまだ先生と勉強しているよ」と伝えると「わかった」とあそびの部屋に戻って、出してもらっていた玩具で遊び始めました。
その後、勉強を終えたBさんがあそびの部屋にやってきました。「先生これ出して」とBさんも遊び始めました。
Aさんはというと、Bさんに話しかけることなく、自分のあそびを続けていました。AさんはBさんと遊びたかったはずなのですが、Bさんが来ても誘ったりすることはありませんでした。
その後、Aさんと、先生と勉強の場面で、お友達を誘う練習をしました。Aさんとは事前に、自分のしたいことを伝えるセリフを一緒に考えることにしました。
その後、それらをまとめたセリフ集をみて、先生と練習(ロールプレイ)をしました。

 ○ あそび(さそうとき)

  【 同じものであそびたいとき】  

    いっしょにあそぼう
       ↓
      それで、いっしょにあそぼう?  

  【ちがうものであそびたいとき】

    いっしょにあそぼう
        ↓
      こっちで、いっしょにあそぼう?


 ○ あそび(さそわれたとき)

  【 同じものであそびたいとき】

    いいよ

      それで、あそびたいけどいいかな

  【ちがうものであそびたいとき】

    いいよ

      こっちで、あそびたいけどいいかな?
 

  
その勉強を終えた後、あそびの時間になりました。
あそびの部屋には、Bさんがいて、まだ遊ぶおもちゃは決まっていない様子です。Aさんには入室直前にも、勉強でしたことをまとめた紙を見て確認してもらいました。メモをみて「よし」とつぶやいたあとに、声をかけにいきました。
Aさん「Bさん、一緒に遊ぼう?」
Bさん「いいよ」
Aさん「わたしは、これで遊びたいんだけどいいかな?」
Bさん「いいよ。わたしもそれしたい」
上手く伝わった様子。遊びを始める前に、ちらっとスタッフをみたAさんがとても安堵した表情だったのが印象的でした。
小学生になると、大人の目の届く範囲が限られるようになり、子どもがなんとなく抱えている、やりづらさ、苦手さに、気づくことが難しいこともあります。大人からは見えにくいだけで、子どもには、それらをなんとかしたい、どうにかしたいという思いも当然あります。
ぐんぐんキッズは、そんな子どもの気持ちに寄り添いながら、子どもたちに必要なスキルを、子どもたちにあったやり方を通して、伝えていきたいと思っています。
ぐんぐんキッズスタッフ:M

新聞記事のご紹介

以前は「育てる会会報」はHPにも全文をUPしていましたが、容量等の事情により、現在は一部抜粋にさせていただいています。
なお会報は正会員・賛助会員の方へは郵送でお届けしています。
もしご希望の方がおられましたら、ぜひ賛助会員に申し込みをお願いします。年会費 3000円です。
応援よろしくお願いします。
申込み方法の詳細は「
育てる会 HP」に記載しています。

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