6,尿について


 医療生協の班会などで健康チェックで、検尿をしていただくことがありますね。結果の判定はどうしておられるでしょうか。 尿は、腎臓を流れる血液を原料に作られていますから、尿を調べることによって、簡単な血液検査をしているのと同じくらい、体の具合を知ることが出来ます。

(1)まず尿蛋白ですが、通常、蛋白はでません。健康な人でも激しい運動をした後などには蛋白が出る場合はあります。ですから、尿蛋白は少し大目に見ても良いと言えるでしょう。しかし、いつも続けてでたり、強陽性ででるようなら、第一に腎臓の病気、次に膀胱も含めて尿路の感染症などが無いかを考える必要があります。そのような時は、医療機関で精密検査を受けましょう。

(2)つぎに尿糖です。これは通常、健康な人ではでることはありません。特に食後に尿糖がでるのは、軽い糖尿病であることがあり、±でもでれば、精密検査(ブドウ糖負荷試験)を受けた方がよいことになります。尿糖は、厳しく判定しなければいけません。

(3)尿のpH(ペーハー)です。尿は、体を弱アルカリ性に保つために、通常は弱酸性となっていますが、取ってから時間が経った尿などでは細菌による腐敗・発酵などでアルカリ性になる場合があります。また食事や飲み物の影響もかなりあり、pHは特定の病気と結びつけることは難しいものです。あまり、気にしすぎない方がいいでしょう。

(4)尿潜血ですが、最近の試験紙は感度が非常に良すぎて、あまり異常でない人も陽性で出ることがよくあります。++以上が続くようでしたら、腎臓や膀胱に結石や腫瘍(癌も含めて)が無いかどうか精密検査をしておいたほうが良いと思います。軽度の血尿が体質的に続く場合もありますが、精密検査をして他に病気がないことは確かめておいたほうがいいですね。

(5)ウロビリノーゲンですが、これは通常は±(プラスマイナス)で少しあるのが正常です。マイナスなら、胆汁の流れが悪くなっていることを表しています。

(6)尿ケトンは、脱水や飢餓状態、無治療の糖尿病などで陽性になります。ケトンは、脂肪の燃えかすで、体の代謝がうまくゆかず、体が酸性になってきていることを表します。嘔吐下痢症などで、尿ケトンが陽性になる場合は、かなり脱水を起こしていますから、水分を十分に摂ることが必要で、場合によっては点滴治療をおこなう事もあります。

(7)そのほか、尿沈渣といって、尿を顕微鏡で見る検査をしますが、それによりさらに詳しい状態を知ることが出来ます。健康チェックで行っているのは、あくまで定性試験といって、大まかな検査ですから、異常と考えられるときは、医療機関で詳しい検査を受けて下さい。


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