8,動脈硬化を進めるな


○はじめに
 日本人の死亡原因の第一位は、癌になっていますが、二位:心臓病と三位:脳卒中はいずれも動脈硬化が原因です。高血圧も動脈硬化が大きな原因の一つです。高齢化が進むに従って、動脈硬化による病気はさらに増えることはあっても、減りはしないでしょう。
○動脈硬化とはなにか
 動脈硬化というのは、動脈の壁にコレステロールなどの物質がたまって、硬くなったり、厚くなったりして、最終的には動脈の内腔が細くなり、詰まってしまって血行障害を起こし、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞、末梢動脈硬化症などをひき起こす血管の変化のことです。たとえて言うと、古くて硬くなったゴムホースの内側に油(コレステロール)がついて詰まってきているイメージです。血管が詰まると、その先に酸素や栄養分がゆかなくなり、細胞が死んでいってしまうのです。高脂血症と呼ばれる血液中にコレステロールや中性脂肪の増えた状態は、動脈硬化性疾患の発症を大幅に増やします。 そのほかにも、高血圧、喫煙、糖尿病、肥満、高尿酸血症、ストレス、運動不足などの危険因子で動脈硬化は起こりやすくなります。加齢も動脈硬化を進めますが、こればかりは、避けようがないですね。
○ 動脈硬化の予防
 上記の危険因子のうち、生活習慣の改善によって、避けられるものは出来るだけ避けて、動脈硬化を予防することが大切です。 特に高血圧や高脂血症の治療は重要です。コレステロールが高くても特に自覚症状はありませんが、これを放置しておくと大変なことになるのです。また、喫煙は今日にでも止めましょう。動脈硬化の進行も癌の危険も減らすことが出来ます。動脈硬化は、すでに小学生から、始まっています。大人だけでなく子供も含めて、家族みんなで動脈硬化を起こさない生活習慣を作ることが大切です。

 昔から、言われている養生訓のひとつに、「一無、二少、三多」というものがあります。
 一無とは、タバコを吸わない、すなわち禁煙するということです。二少は、少食・少酒で食べ過ぎない、飲みすぎないということ。三多は、多動・多休・多接、すなわち、運動をしっかりする、休養は十分に取る、多くの人や物事と接してたえず精神的に刺激を受け取るようにするということです。これらのことは、すべて動脈硬化の予防に役立ちます。
○ 生活習慣の改善、まずは食事
 多くの危険因子に通ずる最も基本的なことは、総エネルギー量の適正化、すなわち腹八分目にするということです。
 これが、なかなか難しいのですが、簡単に言えば、「おかわりはしない。」「間食はしない。」ということです。食事のカロリーを正確に計算することは難しいのですが、糖尿病の治療に使われる食品交換表が非常に分かり易く便利です。この表を利用すれば、栄養の偏りのないバランスの良い食事を適正なカロリーでとることが出来ます。
 また、脂肪を控えめにして、食物繊維を十分にとることが大切です。
 アルコールは、ストレスの軽減に一定役立ちますが、飲みすぎは、高血圧・高中性脂肪血症、高尿酸血症の原因となるので、1日に100kCal(25g)以下にします。
○ 生活習慣の改善、運動療法
 運動は肥満を解消するだけでなく、インスリン感受性を高め、血圧を下降させ、中性脂肪の低下、HDL‐コレステロール(善玉)の上昇をもたらすので、積極的に行いましょう。早足歩行やジョギング、水泳、サイクリングなどの有酸素運動がお勧めです。総摂取カロリーの10%を目標に、週3日以上運動が出来れば効果的です。
 
○ 最後に薬物療法です
 薬だけに頼って、食事や運動の生活習慣の改善を怠ると、十分な治療効果は出ません。「一に食事、二に運動、三四が無くて、五が薬」と覚えておいてください。
高コレステロール血症や高中性脂肪血症、また高血圧症や高尿酸血症に対しては、さまざまなよい薬がありますので、患者さん個々人に応じた適切な薬で治療を受けられることをお勧めします。

 糖尿病に対しては、インスリン分泌能の低下がある場合には経口血糖降下剤を使い、効果がなければインスリン療法に切り替えます。

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