9,コレステロールについて

前回、動脈硬化のお話をしましたが、その最も大きな原因の一つと言われているのがコレステロールです。
 今回は、どのぐらいコレステロールが上がったら、どのような治療を行えばよいのかを数字を上げて説明します。健診で、高めと言われ心配している方も多いと思いますが、そのまま放置しても良いのかどうか良く見直してみて下さい。ただし、一度の採血だけで全て決まるものでもないので、担当の医師とよく相談して下さい。

冠動脈疾患の予防、治療の観点からみた
日本人のコレステロール値適正域および高コレステロール血症診断基準値

(日本動脈硬化学会高脂血症診療ガイドライン検討委員会 '97年)
 血清総コレステロール(TC)   LDLコレステロール(悪玉) 
 高コレステロール血症  220mg/dl以上 140mg/dl以上
 境界域  200〜219mg/dl 120〜139mg/dl
 コレステロール値適正域  200mg/dl未満 120mg/dl未満

  1. コレステロール値が境界域にあっても、他の動脈硬化危険因子の存在によっては治療が必要な場合がある。
  2. 冠動脈疾患発症例は厳重な管理が必要であり、治療適用基準値が血清総コレステロール値180mg/dl(LDLコレステロール値100mg/dl)以上に設定されている。コレステロール値が適正域にあっても治療を必要とする場合があることに注意する。

日本人の高脂血症患者の管理基準

(日本動脈硬化学会高脂血症診療ガイドライン検討委員会 '97年)
生活指導、食事指導 薬物療法 治療目標値
冠動脈疾患(-)
他の危険因子(-)
LDL-C
140mg/dl以上

( TC 220mg/dl以上 )
LDL-C
160mg/dl以上

( TC 240mg/dl以上 )
 LDL-C
140mg/dl未満 

( TC 220mg/dl未満 )
冠動脈疾患(-)
他の危険因子(+)
LDL-C
120mg/dl以上

( TC 200mg/dl以上 )
LDL-C
140mg/dl以上

( TC 220mg/dl以上 )
 LDL-C
120mg/dl未満 

( TC 200mg/dl未満 )
冠動脈疾患(+) LDL-C
100mg/dl以上

( TC 180mg/dl以上 )
LDL-C
120mg/dl以上

( TC 200mg/dl以上 )
LDL-C
100mg/dl未満

( TC 180mg/dl未満 )

冠動脈疾患
(1)心筋梗塞、(2)狭心症、(3)無症候性心筋虚血(虚血性心電図異常など)、(4)冠動脈造影で有意の狭窄を認めるもの
他の危険因子とは
喫煙習慣、高血圧、45歳以上の男性、閉経後の女性、耐糖能異常、高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症を指す。 トリグリセリド値は、150mg/dl未満を適正域、150mg/dl以上を要治療域とする。低HDLコレステロール値は、40mg/dl未満を危険因子の一つとする。
注1
:生活指導、食事療法はA,B,C全てにおいて治療の基本をなすものである。
特にAでは少なくとも数ヶ月間は生活指導、食事療法で経過を観察すべきである。
Bでは他の危険因子の管理強化でAに改善される例があることに留意する。
注2
:薬物療法の適用に関しては、個々の患者の背景、病態を考慮して慎重に判断する必要がある。
注3
:末梢動脈硬化性疾患、症状を有する頸動脈疾患や脳梗塞など、冠動脈疾患以外の動脈硬化性
疾患を有するものは、冠動脈疾患発症の危険性が高い群として他の危険因子がなくともBに
含めて治療する。

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