24,色覚について


○ 色覚検査について

 日本の小学校では、石原式という小さい色のつぶ粒で書かれた数字を読む検査を使っています。そして、検査表が読めないと「色覚異常」「色盲」「色弱」とされ、運転免許が取れない、理科系に行けない、医師や教師にはなれないと考えられていた時期があります。
 現在では、そんなことはなく、高校や大学の受験でも色覚異常を理由に進学できないことはありません。そして、運転免許も取れますし、医師にも薬剤師にも教師にもなることが出来ます。
 これは、「色覚障害」(最近は「色盲」という差別的呼び方でなく「色覚特性」と言われる場合もあります)の人が見ている世界は全くの白黒ではなく特定の組合せの色が多少区別が付きにくいだけであると広く知られてきたからです。色分けされた伝票や、色分け電線、電気抵抗などの素子の色コードが実際に区別できれば、仕事も問題なく出来ることが解ってきました。
 石原式の色覚検査はかなり敏感な検査で、実際には日常生活になんら支障のない人でも異常とされてしまうことが、ほとんどなのです。

○ 色覚異常と遺伝

 色覚異常は、伴性劣性遺伝という型式で遺伝してゆくもので、男性の4.5%、女性の0.2%程度に現れます。お爺さんの色覚異常が娘に伝わり、孫の男の子にまた現れてきます。
 性染色体のX(エックス)染色体の上にあり、XXの女性の場合1つだけ色覚障害の遺伝子でも、もう一方の正常な遺伝子に負けてしまうので「劣性」と言われます。性質が劣っていると言う意味ではありません。孫の母である娘さんは保因者と呼ばれますが、色覚異常は現れません。実は、保因者は全女性の10%程度になるのです。色覚異常が遺伝するので、日本では特に就職や結婚の差別につながっていたこともあるようですが、欧米ではそのような事は全くありません。
 そもそも、統計的には1人の人間は、致死性の重篤な遺伝病の遺伝子を平均6個ずつ持っているとされています。たまたま、1対の染色体の2個の遺伝子がそろって障害を持っていると死んでしまうような遺伝子です。
 ですから、色覚異常のようなごく軽い障害とも言えるか言えないか解らない程度の事を取り立てて、おびえたり、悩んだりすることはばかげたことでしょう。
 残念ながら現在の医学では、色覚異常を治す方法はありませんが、将来、遺伝子治療が進めば、治療可能になるかも知れません。

○ 色覚異常があっても住み良い社会に

 色覚は、の3つの色の感じ方の組み合わせて見分けていることが解っています。色覚異常で一番多いのはの感度が低下した第2異常、次はの感度が低下した第1異常、の感度が低下した第3異常は非常にまれです。 第1・第2異常では、緑系と茶系や青緑と紫などの色分けが、しにくくなります。特に照度が不足した暗いところでは区別しにくいです。緑板に暗い赤チョークで書かれた字なども読みにくくなります。ですから、最近では学校の教科書も色覚異常でも読みやすい色使いにされてきていますし、赤チョークも明るい色になっています。信号機の青も従来の緑から、青緑に区別がつきやすくされています。
 従来の進学や就職での差別も「色盲」「色弱」の人には色の区別がほとんど出来ないのだろうと言う先入観や偏見から来たものが ほとんどでした。
 そういった差別的扱いはやめて、実際の仕事で支障があるのかどうかを判断基準にし、支障のない軽度の異常まで様々な制限を加えて貴重な人材を失うことがないように十分考慮される必要があります。

参考文献

・つくられた障害「色盲」 高柳 泰世 著、朝日新聞社、1200円、1996
・これだけは知っておきたい「教師の常識」(視力、メガネ、色覚)、ぱすてる書房、700円、1999

目次へ to home