31,乗り物酔いについて


乗り物酔いとは

 乗物酔い(Motion Sickness)とは、加速度病とか動揺病ともいわれ、自動車、バス、船舶、列車、飛行機、ジェットコースターなどの乗り物に乗った際に、あくびや冷汗、めまいや吐き気・嘔吐、顔面蒼白などの症状が現われる状態をいいます。3歳くらいから起こりはじめ、小学校の高学年(4‐6年生)をピークに、中学・高校になるにつれて減少していきます。条件にもよりますが、一般にバス酔いの発症頻度は、学童で10‐20%、成人では5‐10%とされています。  乗り物酔いは治らない病気ではなく、加速度や振動などを起こす環境に慣れていないだけで、不安感や劣等感を抱く必要は全く無いものです。

○ 乗り物酔いの原因

 なぜ、乗り物酔いが起こるのでしょうか?
 人間の耳の奥には、音を感じ取る蝸牛神経とその横に前庭神経と言って体の傾きや動き(加速度)を感じる三半規管があります。そこで感じ取った体の動き方と目が視覚を通して感じた運動の情報とかうまくかみ合わないときに、乗り物酔いが発生します。
 たとえば、波で揺れている船に乗っているときに、水平線を見ていれば、目からの感覚でも体が揺れていることが分かりますが、船底(床)をみていると、視覚では体が揺られていることが分かりません。なのに実際は波で体ごと揺られていますから、三半規管は体が動いていると感じます。このようなときに船酔いが起こるのです。

○ 乗り物酔いの誘因と予防

 睡眠不足、過度の食事や空腹、バスの中での読書、乗り物の加速度(急ブレーキや振動など)が重なると成人でも90%近くの人が乗り物酔いを起こします。精神的な緊張も誘因になりますので、出来るだけリラックスして車内のレクレーションなどには、積極的に参加するようにしましょう。
 出発の前日は十分な睡眠をとり、当日は空腹や過食を避け、胃腸にもたれる脂肪分の多い食事を避けた方が無難です。厚着や身体を締めつけるような下着やバンドをしない。
 また乗り物に乗る前に排便や排尿をしておくこと。車内の換気を良くして、あまり暑すぎないように涼しくする方がいいでしょう。
 バスなどでは外の景色の良く見える前の座席の方が酔いにくいものです。もちろん、乗り物内での読書・携帯用ゲームなどはいけません。
 さらに乗り物酔いは、ある程度訓練効果や予防的対策が可能です。具体的には加速度や振動状態が予測できるようなブランコ、一輪車、トランポリン、自律神経系も鍛えられる水泳などの運動が効果的とされています。また、禅のような呼気をゆっくりとした腹式呼吸も予防的効果があり、症状が出現したときにも抑制効果があります。

○ 乗り物酔いの薬(酔い止め)について

 症状が出現する前に服薬することが大切で、基本的には乗り物に乗る30分前に服用します。症状が現われてからでは効果が弱くなります。
 大人でしたら、トラベルミン錠を1‐2錠。さらに不安感が強い場合には、安定剤を予防的に飲みます。

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