32、めまいについて


○ めまいについて

 軽い「めまい」やちょっとした「ふらつき」を感じることは健康な人でも時にはあるようですが、これが再々で日常の生活にも支障があるようであれば病気の症状のひとつということになります。
 前回(31.乗り物酔いについて)お話したことの続きになりますが、回転性めまいについて言うと、三半規管がある前庭部から「体が動いているぞ」という信号が前庭神経を伝って脳に入り前庭神経核というところから大脳の頭頂部に伝えられます。そこで始めて人間は「めまい」として感じます。このルートのどこかで実際には起きていないはずの体の動きの信号が発生したり、そのルートの一部が障害を受けたりすると「めまい」として感じられるわけです。

○ めまいの分類

 ひと口に「めまい」と言ってもそのあらわすものは様々です。「めまい」はなんでも全てメニエール病と考えている人もあるようですが、それは違います。
 また、耳の症状たとえば耳鳴りや難聴、耳が塞がった感じ(耳閉感)などがあれば、内耳つまり前庭部の障害が疑われます。耳の症状が無い場合は、脳や神経系の病気が疑われますが、良性発作性頭位めまい症では、内耳の働きの異常から起こりますが普通は耳の症状はありません。
さらに、貧血や低血圧(脳貧血)などによるものも耳の症状は伴いません。頭痛がするかどうかも、診断をする上では大切なポイントになります。
 以下に、主に症状から見ためまいの分類を示しますので、医師に相談する場合などは、自分の症状がどれに一番近いものなのかを出来るだけ正確に伝えて下さい。

 同じような症状でも、多くの病気が原因となり得ます。どのように診断するかは難しくなるのでここでは詳しく触れませんが、医師は症状から疑われる病気について原因となっているかどうかを考えて診断と治療をしていくものです。ですから、めまいの具体的な症状を詳しく伝えて頂くことが大切です。たとえば、「ぐるぐる回るような」とか「フワフワして中心がとれない」といったことは、診断の大きな手がかりになります。

種類 1.回転性めまい 2.不動性めまい 3.失神様めまい 平衡失調(めまいと感じることあり)
症状 天井がまわる
身体がまわる
下降・落下感
流れる感じ
フラフラ感
船に乗った感じ
地面・床がふわふわする
足が地に着かない
雲の上を歩く感じ
気が遠くなる
頭がボーッとする
引き込まれる感じ
目の前が暗くなる
歩行時にふらつく
よろめく
酔っ払いのような千鳥足
不安定で転びやすい
主な
原因疾患
●中枢性めまい
椎骨脳底動脈循環不全
ワレンベルグ症候群
小脳出血・小脳梗塞
●末梢性めまい
メニエール病
前庭神経炎
突発性難聴
良性発作性頭位眩暈症
アミノ配糖体(抗生剤)中毒
脳動脈硬化症
自律神経失調症
頭部外傷後遺症
高血圧
不安神経症
など
起立性低血圧
不整脈(徐脈・頻脈)
貧血
低血糖
てんかん
など
アミノ配糖体(抗生剤)中毒
抗てんかん薬中毒
脳腫瘍(小脳橋角部、脳幹、小脳、聴神経腫瘍)
小脳部の病変(出血・梗塞など)
脊髄小脳変性症
アーノルド・キアリ奇形
甲状腺機能低下症など

 めまいは厄介な症状ですが、良性発作性頭位めまい症などは、文字どうり良性のもので心配の無い病気ですし、脳腫瘍といったものになると詳しい検査や治療が必要になります。症状が続く場合は、早めに医師に相談して下さい。内科・耳鼻科・脳神経外科などが担当となります。


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