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ダイオキシン類の発生源(環境庁、1998)
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![]() 2,3,7,8 - tetracholrodibenzo-para-dioxin (2,3,7,8-TCDD) |
世界保健機関(WHO)の研究機関である国際がん研究機関(International
Agency for Research on Cancer ; IARC) は、2,3,7,8-TCDD
の発癌性を認め、ラットの動物実験では、2,3,7,8-TCDDを、1日体重kg当たり10ng(ナノグラム、1ngは1gの10億分の1)以上2年間与えると、肝臓癌が発生するという結果が出ています。また、ダイオキシンに曝露されたヒトで肺癌で1.4倍死亡しやすくなったとも報告しています。
肺癌リスクとしては、タバコよりも低いと言えますが(逆にいうと、タバコの方がダイオキシンよりも恐ろしい)、現在増えつつある肝臓癌などもダイオキシンの影響が出ているのかも知れません。
平均的日本人のダイオキシン類の1日摂取量は、0.52〜3.53pg(ピコグラム)と推定されています。(pgは1gの1兆分の一)
食品から、0.26〜3.26pg、大気から呼吸器を通じて0.18pgなど、特にダイオキシンは脂に溶けやすいため、脂肪分の多い魚、肉、乳製品、卵などに多く含まれています。
ダイオキシン類は、次第に肝臓や脂肪組織に集まり、長期間体内に留まります。2,3,7,8-TCDDの場合、摂取した量の半分が体から出るのには約7年かかると推定されています。
ダイオキシンの耐容1日摂取量は、いろいろな健康影響に関して動物実験が行われた結果計算されています。1998年以前は10pgとされていましたが、環境ホルモンとしての観点からリスク評価の強化がなされ、動物実験で最も少ない量で影響が現れる胎児時期の母体内でのダイオキシン曝露で起こる雌性生殖器の形態異常が、体内蓄積量が体重kg当たり86ng(ナノグラム)前後で起こることから推定されています。これをヒトの1日摂取量に換算すると、体重1kg当たり43.6pgとなります。動物実験の結果をそのままヒトに当てはめるわけにはいかないので、これに不確実係数10を適用し、1/10の値として、1日体重1kgあたり4pgが当面の耐容1日摂取量と決められました。
また、ダイオキシン類の曝露レベル、蓄積レベルをTEQ(toxic
equivalent quantity;毒性等価量)という値で示すことがあります。これは、ダイオキシン類には多くの異性体があって、その毒性の強さの重みをTEF(toxic
equivalensy factor;毒性等価係数)として表し、全体の毒性を数値化しようとするものです。
○ ダイオキシンと母乳について
ダイオキシンは一般に人体から排出しにくい物ですが、母乳には脂肪が3.5〜4%含まれるので、母親の脂肪に溶けて蓄積していたダイオキシンは、母乳となってどんどん体から出て行きます。逆に乳児は、これを1年間平均で毎日約100mlづつ飲むことになります。
日本各地で、母乳中のダイオキシン濃度を測定した結果では、母乳中の脂肪1g当たり平均で22〜24pgTEF程度あり、廃棄物焼却場から住居までの距離とは関係がないとされています。平均値から計算すると、母乳栄養で乳児に摂取されるダイオキシンの量は、体重1kg当たり平均約90pg程度となり、乳児は日本人の耐容1日摂取量の20倍を越えるダイオキシンを毎日飲むことになります。しかし、母乳には、栄養学的のみならず、乳児に免疫を付与したり、母児のスキンシップといったさまざまな利点があります。
現在のところ母乳中のダイオキシンの濃度と乳児の各種血液検査値、身体発育、精神発達には関係がなかったとされていますし、大阪府に保存してあった母乳中のダイオキシンは、1973年に比べて約半分まで減少していることもわかっていますから、1年間程度と言う授乳期間であれば、ダイオキシン汚染を理由に母乳を中止することは必要ないと考えられています。
日本では外国に比べてゴミを焼却処分する割合が高く、特に低温で不完全燃焼を起こしたときにダイオキシンが発生し易い事が問題です。文部科学省も、学校での小型のゴミ焼却炉も使用を禁止しました。
1999年に成立したダイオキシン対策措置法では、環境基準を大気は1立方mあたり0.6pg、水質は1リットルあたり1pg、土壌は1gあたり1000pgとしています。ゴミ焼却炉も燃焼温度を900度より高温にするよう燃焼方法の改善など対策が取られていますが、ゴミの徹底した分別が必要です。特に塩化ビニール製品は、焼却した場合ダイオキシンを発生しますから、食品包装用のラップも塩化ビリニデンから、ポリオレフィン系のものに切り替えられてきています。家庭から出る「生ゴミ」は、水分をたくさん含む為に焼却炉に水を入れて冷やしているようなもので、家庭での生ゴミの減量や水切り乾燥などもりっぱなダイオキシン対策と言えます。コンポストの活用、EM菌ボカシなどで生ゴミを少なくする、また塩化ビニール製品を買わない使わないなど、ダイオキシンから身を守る為には、私たちの身近な生活の見直しが必要です。
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