ロングビーチに保存されているクイーン・メリー


1979年制作のタイタニック・TVムービー,「失われた航海」は,一部このクイーン・メリー号を使って撮影されています。
現存する船の中で,タイタニックの時代に一番近い雰囲気を味わえる船であることは間違いないでしょう。
 
北大西洋航路のかつてのスターであり,今は博物館兼ホテルになっているこのクイーン・メリー号に,1995年7月,3泊した時に撮影したものです。 


bm1

画像をクリックすると大きな画像が出ます
アメリカ・カリフォルニア州ロングビーチで静かに余生を送るクイーン・メリー号。
80,774総トン,全長310メートルの巨体はさすがに堂々たる風格です。
 
船のまわりの石積の防波堤(?)が目障りですが,ひょっとするとかつて,ボートで近づいて悪さをする輩でもいたのでしょうか。


 

ボート甲板前端から見た船首方向。
この年は第2次大戦終結50周年ということで,船首部分だけ戦時中のグレー塗装に変えてありました。(戦時中の姿を The Gray Ghost と呼ぶそうです。) 
手前のメイン甲板上に置いてあるのは,対空機関砲です。

 

1等ダイニングルーム。
3層吹き抜けは,船の中と思えない天井の高さです。
1930年代,あの映画タイタニックのようなディナー光景が,毎夜ここで繰り広げられていたのでしょう。
この時は使われていない日だったので殺風景ですが,日曜日には昼食会が催されていました。

 

救命ボート。定員は145人。
毎日数回,横まで下ろして見せてくれるのですが,スイッチ一つで自動的に滑り降りていく様子は,映画タイタニックでマードック航海士やライトラー航海士が,「前待て,後だけ降ろせ」などと前後のバランスをとりながら奮闘していた姿と比べると,その後の進歩を見る思いです。

 

船内のホテル客室。
かつての1等船室がホテルに使われています。

 

上の写真と同じ部屋です。
部屋によっては内装が近代化されているキャビンもあります。
また,部屋の形も様々あるようで、船内の構造から来る制約を,工夫しながら部屋が配置されている様子がおもしろく感じられました。
もちろん,もっと上のグレードのスウィートなどの部屋もあります。
          
実はいろいろな部屋を体験してみたくて(海側と岸壁側や部屋の形など),同グレードながら3泊とも部屋を換えてもらったのです。(ホテルには,お手数だったと思いますが。)
それからお風呂には,水と湯の蛇口が4つもあるのです。(水と湯それぞれに真水と塩水が・・・。 実際に今も塩水が使われているかどうかは,確かめるのを忘れてしまったのですが・・・)

 

機関室。
巡回路が整備されて,エンジンの間を見て歩けるのですが,ギヤード・タービンや復水器がぎっしりと詰まっている感じです。
手前の赤いのは,ギヤード・タービンを構成する4つのタービンの一つ(第2中圧タービン)が保温材をはずされた状態。
この時は 「豪華客船スピード競争の物語」 の翻訳作業に取り組んでいる最中で,原書 「Power of the Great Liners」 の,クイーン・メリー号のエンジン配置の図を片手に,この機関室の中を歩き回ったのでした。

 

 
  港の対岸は,このように気持ちのよい散歩コースになっていて,クイーン・メリー号の全景を眺めるには絶好の場所です。

      

ロングビーチへは,LAX (ロサンゼルス国際空港)から,郊外バスで1時間半ほどです。
ロングビーチ市内循環バスに乗り換えて10分ほどで,船のすぐ前まで行けます。(というか1995年には行けました。)(乗換えが少しわかりにくかったのですが)

   

クイーン・メリー号の往年の様子と主要データについては,
【客船の発達】のページをご参照ください。

to THE RMS QUEEN MARY (OFFICIAL WEB SITE)
現在のクイーン・メリー号の公式ホームページ



トップページへ