TOSSLAND TOSS作州教育サークル 藤本 康雄
子ども達の食器洗いの様子
勤務校の春の遠足は、班で近くの山の目的地まで行き野外炊飯でカレーを作る。
子どもの様子を見てみると確かに火をつけたり、調節したりすることも難しいが、食器洗いも
意外に難しいことかなと思った。 岡山県では、高学年になると海の学校、あるいは山の学校と
いう宿泊学習がある。野外炊飯の後、食器を施設に返却する際、なかなか合格がでない班が毎年あるものだ。
汚れがすみに残っている。水をきちんと拭き取れていない。といういずれか、まれに両方で不合格になる。
しかし、子ども達は決していい加減に洗っているわけでない。むしろ大人より水や洗剤を使いすぎるぐらいなのだ。
不思議な事である。 もしかして洗い方にも原理原則があるのでは、そう思って本をあたってみる。見事お宝発見。
日本教育技術方法体系第五巻に出ている高橋聡氏の「食器洗い 上手な洗剤の使い方」を修正追試することにした。
近いうちに行われる山の学校で食器洗いで全員合格になることを願って。
食器洗いの授業
日本教育技術方法体系第五巻 p524 高橋聡氏「食器洗い 上手な洗剤の使い方」
修正追試
準備物
・食用油
・液体洗剤(市販されているもの)
・液体洗剤を20倍に水で薄めたもの(オチルンダーZ)
・鏡
発問1 食事をした後、食器についたとくに汚れといったら何がありますか。
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カレー ソース 油
この3つが圧倒的に多かった。カレーは前回の遠足の野外炊飯で苦労したからであろ
う。
発問2 食器を洗うとき洗剤をよく使いますが、水だけで落ちないような汚れが
あるのですか。
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みんな油 と一斉に答える。高橋聡氏のクラスとまったく同じ反応で少し驚く。
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では、今日は、洗剤を使って油を落としてもらいます。じつは普通の洗剤と先生が極秘に開発した、オチルンダーZの2つを使って、どっちがよく落ちる
か実験してもらいます。さーどっちがよく落ちるんだろうね。では家庭科室へ移動し
よう。(教室の隣が家庭科室)
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全員に手鏡を配り、食用油を垂らしていった。
指で油を広めてごらん。
手鏡にたらしていく。
本校の家庭科室は、水道に恵まれている。家庭科室の水道 廊下の水道 トイレの水道
と半径5m以内に集中しているのである。一人に一つ蛇口が確保できる。
幸い全員が同時に集中して洗って落とす実験ができた。
結構苦戦していた。
きれいになった後、また手鏡に油を落としていた。
その後の子どもの反応がすごかった。
すげー 嘘みたいに落ちる。 これTVの某番組の裏技で出せる。
絶対ヒットする。商品化したら金持ちになれるよ。
えーっ どうやって作ったの?
まさにTVショピングさながらの風景であった。
実はオチルンダーZの正体は、さっき使った洗剤を20倍に薄めたものなんだよ。
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なんだー とがっかりする子もいれば、それだけでそんなに変わるのかと改めて驚く子 もいる。
洗剤をたくさん使う、水をたくさん使うだけが、きれいにする方法ではないんだよ。
時には節約して使う方がいいこともあるんだ。今日、習った食器の洗い方、家に帰っ
てお母さんに教えてあげよう。
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※ 修正箇所
高橋聡氏は 普通の洗剤を原液Aとしている。子どもに原液Aを20倍に薄めさせたものを原液Bとしているが、
本時では、原液Bを教師が開発したオチルンダーZにしている。
※反省
最後にオチルンダーZを子ども達に作らせ、家に持って帰れるようにしたら、もっと子ども達の関心意欲が高まったと思う。
後日談
2ヶ月後、山の学校で、食器洗いで不合格になった班が一つもでなかった。
宿題で、「家で一人でカレーを作ってきなさい。」という指示も出したことが結果として良かったのであるが、食器洗いに
関して家の人に協力して頂いたことも原因の一つではないかと思う。