昔から「こどもは風の子」と言われ、寒い冬でも薄着して外で遊ぶのが一番といわれています。元気に遊ぶのはとてもよいことですが、それでなくても皮膚が薄くて、バリアーの少ないこどもの皮膚を寒気にさらすと、顔がかさかさし、唇や手がざらざらとあれます。真っ赤なほっぺをして、くちびるに血をにじませた子たちをよく見かけますね。 また、つやつやの赤ちゃんも、生後3ヶ月を過ぎると、お母さんからもらったホルモンが減少するため皮膚が乾燥しがちになってきます。かさかさ、ざらざらがひどくなると、かゆみが起こり、かきむしってしまうためかえって症状の悪化をまねいてしまいがちです。そこで、カサカサ対策をまとめてみました。
冬でも毎日入浴させましょう。皮膚にたまったあかやホコリはアレルギーを誘発します。また、お風呂は、肌への水分補給には最強の方法です。しかし1時間以上の長風呂は皮膚のバリヤを破壊するためあまりお薦めできません。お風呂の温度は38℃くらいのややぬるめのほうが体の芯まで熱が伝わるため好ましいと言われています。肌がカサカサしている時はアレルギーを起こしやすい状態になっていますので、温泉成分のはいっている入浴剤は避けましょう。保湿効果のある入浴剤(バスキーナ、ドゥーエ入浴剤等)はかさかさ対策のよい味方です。低刺激性石鹸をお湯で十分とかし、泡立てて、手のひらでやさしく洗ってあげてください。ボディソープはつい使いすぎて乾燥をひどくしがちです。綿のタオルはゴシゴシしなければかまいませんがナイロンタオルは避けてください。
大切なことは 皮膚を清潔に保つこと、そして乾燥を防ぐことです。具体的には・・・・・
入浴直後のお肌がしっとりしているときに保湿剤を塗って水分を閉じ込めましょう。せっかくお風呂で補った水分も時間がたつと乾燥して、暖まった分だけさらに乾燥がひどくなります。入浴後10分以内に保湿剤を塗ると角質の水分が保たれるというデータがあります。 チャンスを逃さず、水分をつかまえて下さい。大きい子には手のとどくところに保湿剤を置いて、自分で塗るように習慣づけてあげましょう。保湿剤は医師の処方のもの(パスタロン、ウレパール、ケラチナミン、ヒルドイド、ザーネ等)でも市販のもの(キュレル、セバメド、ウレパールプラスローション、アトピコオイルローション、ユースキンS、メンソレータムAD、フェルゼアクリーム、ニベアクリームなど)でもかまいませんがお肌にあったものをお使いください。当院でもAKマイルドクリーム、ドゥーエクリーム、ノブオリゴマリンなどの保湿剤を扱っています。顔の乾燥にはザーネ軟膏や精製ワセリン(サンホワイト)がおすすめです。きれいな色やいい香りのリップクリームが大好きな子どもたちも多いと思いますが、かぶれやすい成分(メントール、パラべン、香料、色素等)も入っていますので、色や香りの強いものは避けたほうが無難です。塗っていても、かさかさがなかなか治らない方は、保湿剤やリップクリームにかぶれている場合もありますので、使用を中止し、早めに皮膚科専門医をご受診ください。
肌が乾燥するのは空気が乾燥することも大きな要因です。湿度計を手に入れてお部屋の湿度を測ってみましょう。30〜40%のことが多いと思います。湿度が低いと、インフルエンザウイルスも繁殖しやすくなります。できれば加湿器を使い、50〜60%になるように調節しましょう。 加湿器がなくてもお部屋に洗濯物を干すだけでも湿度が上がってきます。また、浅めに水を入れた洗面器に、水をいっぱい入れた栓をしていない2リットルのペットボトルを立て、その上にタオルをかけてその端を洗面器の水にひたしていつでもタオルが湿っている状態にしたものを置いておくと、湿度が上がります。お試しください。
しかし、湿度が上がりすぎると暖房の効いた室内ではカビが増えて、別のアレルギーの原因になりますので、時々湿度計を見て調節してください。
いよいよこれから冬本番ですね。皆さん、しっかりスキンケアをして、この冬を乗り切ってくださいね。