1999年1月 「工具集め/機種選定」


まずは資料集めから開始し、必要な工具、材料をリストアップしていった。

【参考書】

平岡幸三著 「生きた蒸気機関車を作ろう」 機芸出版社

3インチ半の機関車を作例として、ライブスチーム自作のノウハウを、豊富な図解入りで説明したもので、非常にわかりやすい。
これを読んでいると、自分でも作れるという気になる。
残念ながら現時点では出版社品切れ。


渡辺精一著 「ライブスチーム」 誠文堂新光社

やや高度なライブスチームの参考書で、各部の構造が詳細に説明されている。
自分で設計したいという人向け。
これも現在は出版社品切れ。

三ツ矢明著 「特殊構造をもつ機関車とライブスチーム」 機芸出版社

つい最近出版された本。
著者がTMSに発表した3インチ半ライブスチームの記事を集めたもので、
3インチ半でもここまで凝れるという手本のようなもの。経験者向け。


久島諦造著 「ミニ旋盤を使いこなす本」 誠文堂新光社

機械加工の参考書。
現在の機械加工の世界ではNC加工機が主流であり、
旋盤の基本操作の解説本など、30年前に書かれたようなものしかない。
その点、この本は、アマチュアが旋盤をライブスチームの部品製作などに使うことを前提に書かれており、
大変参考になる。ミニフライス盤の使い方も解説されている。


Internetで英国のライブ関係サイトを物色し、以下のものを見つけた。

REEVES

先述の鋳物メーカーで、鋳物の他、工具、材料、参考書など幅広く扱っている。ただしこのサイトは現在機能してないらしく、電話またはファックスでないと、注文は通らない様子。

TEE Publishing

参考書、雑誌のバックナンバーなどをオンラインで注文できる。数冊の参考書を買った。注文して1週間ほどで入る。

【機種選定】

Guide Bookボイラーまでの自作を考えると、いきなり5インチは難しそうなので、
3インチ半の入門機を物色し、結局、Martin Evans設計の"WILLIAM"に決定
2-6-2のタンクロコで、バルブはワルシャート式。
設計者の書いた参考書が出ており、図面もすべて記載されている。
(写真参照〜下のロコがWILLIAM)
3インチ半の入門機としては、他に、LBSCの"TICH"、
Martin Evansの"ROB ROY"(写真上のロコ)が有名だが、
いささか小さすぎてクラブ運転には厳しいらしい。
5インチでは、"AJAX"、"SIMPLEX"などが有名。

【設計】

以下、英国機に関して、経験者から聞いた話。

「英国機は構造がややこしい。
良質炭の使用を前提に設計されているので、煙管が細く詰まりやすい。
過熱管(スーパーヒーター)が必ずついているが、これは煙管が詰まる原因にもなるので、太平洋炭で運転する場合は外した方が良い結果が得られる。
火室の面積、高さも拡げた方が良い。」

以下、LBSCの参考書より、本人の弁。

「クラブの経験者で、設計の変更を勧める者がいるが、耳をかすな。
自分の設計は理屈ではなく経験から来たものであり、この通り作って間違いなく動く。」

さて、どうしたものか。石炭の違いによる差というのは説得力があるが。
しかし"WILLIAM"に関しては、火床面積を拡げようとすると、動輪位置を変えなければならず、
大幅な設計変更になってしまうので、設計どおり作るしかなさそう。

英国の寸法は当然インチ表記だが、工作を簡単にするためにミリ表記に直さないといけない。

1インチ=25.4mm

だが、これだときっちり割り切れず、端数が出る。そこで、

1インチ=25.6mm

CADで換算する。これだと1/64"=0.4mmとなり、きっちり割り切れる。
ただし、軌道に関わる部分のみ25.4で換算する。
原図をもとに、AutoCAD LTで図面を引きなおした。

右の図は、各部品の図面をCAD上で重ね合わせて、
組み立てたもので、黄色部分がボイラー。

あと、ネジ類もミリ規格に直す。
原則として換算した値以上のサイズにするが、部品によっては、ネジ穴が大きすぎると残りの材料のボリュームが少なくなって問題になる場合もある。
ネジ以外でも、たとえば3.2tの平板を使う部品など、材料が手に入らないので、
強度的に問題がなければ3tで代用する。
どこまでをどう変更するか決めるのがけっこう大変。

車輪には一応規格があるが、参考書やメーカーカタログなどをくらべると、結構バラバラである。
"WILLIAM"の設計だと、トレッド(踏破面)が水平になっていたが、直進安定性を考えるとテーパーにすべきなので、OSの規格に習って設計変更した。

My Room【工作場所の確保】

私の場合、マンション住まいなので厳しい。
四畳半の1室がほとんど物置として使われていたので、ここを使うことにした。
天井まで届く棚を入れ、床置きの段ボールなどを収納した。
嫁さんの電子ピアノは、何だかんだ理由をつけて居間に追い出した。
結果、机2台を置けるスペースを確保できたので、1台は木製の作業台とし、もう1台はスチール作業台を入れて、この上に旋盤を置くことにした。
キリコ対策のため、床にはベニア板を敷きつめ、壁にはカレンダーを裏返して貼り重ねた。汚い写真を大公開!

【必要な工具】

「生きた蒸気機関車を作ろう」が参考になる。
家庭用の工具箱に入っているようなものを除いて、ざっとあげると、

旋盤および周辺工具

フライス盤(ボール盤と兼用)および周辺工具

グラインダー(バイトを整形するのに必要)

大型万力

ハイスブレード付きの帯ノコ、糸ノコ(炭素鋼ブレードはすぐ駄目になる)

カセット式ガストーチ(小物の銀ロウ付け、工具熱処理用)

大型プロパンガスバーナー(ボイラーを自作する場合)

各種サイズのドリル、リーマ、タップ、ダイス(並目と細目が必要)

各種ヤスリ(平面度の高い高級品が欲しいところ)

定盤&ハイトゲージ(けっこう高価だが、精密ケガキのためには必須)

スコヤ(JIS A級がベスト)

ノギス(汎用のものと、精密測定用のデジタルノギスがあればベスト)

ダイヤルゲージ(てこ式が便利)

といったところか。
経験者は口を揃えて、「工具だけは良いものを」と言う。
工作を少し経験して、自分もそう思った。
安物の使いにくい工具を買っても、結局あとで良いものに買い替えるはめになり、
使わない工具がたまっていく。

Super7工具(工作機械)の主役は旋盤だが、
この世界で有名なのは英国Myford社の7シリーズ(ML7R、Super7)
どの本を見ても必ず出てくる。同じサイズの他の旋盤と比べて、

@精度が高い(らしい)
A最低回転数が低く、必要に応じて重切削が可能
Bベッド左端に切り込みがあり、最大でφ254までの動輪が削れる(5インチC62だとφ203)
Cベルト駆動であり、騒音が低い

という特徴がある。
いわゆるミニ旋盤よりはひとまわり大きく、重量も100kg程度あるが、5インチまで考えるとこのサイズは欲しい。
ということで、Super7(写真)に決定。
個人輸入という手もあるが、こんな大物を輸入した経験がないので、
日本の代理店(ベルメックス・インターナショナル)経由で買うことにした。
マンションの工作室への据え付けは、3人がかりでけっこう大変だった。
周辺工具を入れて、これでほとんど予算を使い切ってしまい、あとが苦しくなった。

MM140フライス盤については、もう予算も置き場もないので、以前から持っていた、
サカイのミニフライス盤 MM140 (写真)で当面我慢するしかない。
しかし剛性の点で非常に心もとなく、重切削時は、旋盤にバーチカルスライダーを付けて代用することにした。

工具調達に関して、HOのページにも書いたが、いわゆるDIY店は全く頼りにならない。
プロ用工具は扱っておらず、ほとんどが中国などからの輸入工具である。
ホームユースで有名なS社のスコヤなど、1/1000という精度であり、使いものにならない。
さっさと工具商(商社)を探すべきだろう。
数万単位で工具を買えば、個人でも顧客として信用される。

私は倉敷の大手工具商から総合カタログをもらい、もっぱらそこから購入している。
まとめて注文すれば家まで配達してくれるし、月末に集金にも来てくれる。
ドリルなどDIY店で買うより安いし、鋼材も手配してくれる。
さすがに「何を作っているのか?」と聞かれてしまった。
自宅で凶器など作るヤカラもいるらしいので、誤解を与えないためにも隠さず説明すべし。


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