-give a cry-


 その日、何故かスコットランドから電話があった。
 ―――アルに。

 一通りの準備を済ませて、アルは隼人に話を切りだした。

「これからスコットランドに行って来る。
 多分半年は戻れ――――」
「何だそりゃ!!」

 トランク一つに収まってしまう少年の荷物に多少疑問を抱きつつも、
口を突いて出たのは感情に任せた喚き声だった。
 思わず怒鳴ってしまった直後に一つ深呼吸して、改めて隼人はアルと
向かい合った。
「その間学校とかどーすんだよ」
「元々僕には必要なかったところだからね。ブルーメンにでも頼んで
手を打つつもりだ」
 状況を把握し切れていない隼人の、せめてもの意趣返しのつもりだったが、
それは予想外の答えで一蹴される。
 そう言えば最近のアルはブルーメンと良く情報交換を行っている、ということ
を思い出し、また同時にいつの間にそんな太いラインが出来上がっていたの
かと内心驚いた隼人だったが、今はそれどころではなかった。
「じゃあ――」
「却下。君はきちんと学校に通え。
 ・・・と言うより安直すぎるぞ、考えが」
「でも半年もだぞ!?」
 僅かな応酬の後、隼人は視線を逸らし、アルは大きく溜息をついた。
「そもそも何でまた、オマエがそんなところに・・・」
 往生際悪く漏らす隼人に、居心地が悪そうに
「・・・・しょうがないだろう、僕はあそこの研究施設の管理主任も
やっているんだから・・・・」
 と、アルは小声で呟いた。

 ・・・・・・・・・・・・・。
 一瞬の沈黙。
 しかし当事者には酷く長い時間に思われた。
「管理主任って・・・・“学校が必要ないっ”ってオマエ・・・・
それって、そういうことなのか?」
 訝しげに問う隼人にアルは首肯する。
 そういうこと――即ちアルは義務教育の課程を修了しているということ。
 当然あれだけの事件を起こしたアル達兄弟が通常の学校へ通えた
はずがない。
 そうでなくとも並々ならぬ頭脳の持ち主だ。
スキップ制度も真っ青の飛び級具合だっただろうことは、隼人にだって
容易に想像が付く。
 しかもエグリゴリであれだけの技術を披露していたことから考えて、
博士号の1つや2つ持っていても可笑しくはないだろう。
「ステイツじゃ9歳でも会社が建てられる。
能力が評価される国なんだから、僕が手に職を持っていて当たり前だろう?」
「聞いたことはあったけど、想像もしてなかったぜ・・・・マジかよ」
「・・・・」
 無言の肯定。
 アルのその仕草に、隼人は再び溜息をつき、悩むように頭を掻いた。
 隼人が知っているアルは頑固だ。
 意固地というのとは異なり、自分の中の決定を覆すことは少ない。
 それが解らないほど短い付き合いでもなかった。
 深い関係・・・ストレートに表現するならば肉体関係もあった。
 だからこのままいくら話し合ってもアルがスコットランド行きを止めるとは
到底思えなかった。

「―――分かった」
「隼人?」
「分かったって言ったんだよ。どうせ言ったって聞かねぇんだろ?
 だったらさっさと行ってサクサク仕事してこい!」
 ただし連絡ぐらい入れろよ?と念を押しつつ額に軽くキスを落として、
力一杯アルを抱きしめる。
 髪にも繰り返し口付けて、全てを記憶にとどめるため、なかなかアルを
腕の中から解放しようとはしなかった。


 アルが日本を発ったのは翌日の昼。
 時折入れる国際電話の前で研究所所員が何度かアルの怒鳴り声を
聞いたとか聞かないとか・・・。

「なぁ、これって愛の試練ってヤツだと思うか?」
「ば・・・・っ!そんな訳ないだろ、バカ!」
「俺ひあがっちまうって〜〜」
「知るかこの大馬鹿者ーーっっ!!」

 今日も今日とてアルの叫びが所内を揺るがしていた。

 ――世は全てことも成し――

【Fin】
あぁん!本末転倒!!(爆死)
だから一体何!?って感じで御免なさい(;□;)
取り敢えずギャグ落ちっつーことで!!<(_ _)> ご勘弁を・・・・。
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