−GOD DAMN−


「ARMS・・・・か」
 研究所でも“”極秘”情報として保管されているファイルを解読してみる。
 現在エグリゴリが最も欲しているサンプル「ARMS」。
 興味が沸かない方が、嘘だろう?
 ブラックボックスの多いナノマシンの集合体、調査済みの情報だけでもなかなかのものだ。
 ボスに頼んで、直に見てみたい気もする。
 きっとボスは了承してくれる。
 僕たちのボスが遊び場を提供してくれる。
 しかしこれは、半ば無理矢理持ち出したファイルだから、早めに判読して
元に戻しておかないと・・・。


 カシュー・・・
 電子ロックの開く音が研究室内に響く。
 反射的に解読中だったファイルを閉じてしまった。
 これで2時間分の成果がパーになったな・・・・。
 溜息ついでにコンソールから視線を上げれば、MOを持った影が一つ。
「アル!ボスから次の遊び場をもらったよ!」
 見慣れた白衣に、鮮やかな赤い髪が時折触れる。
 ジェフ・ボーエン。
 僕の双子の弟だ。

 MOを受け取り、スリットに差し込む。
 順次、モニターに書き出されるゲーム盤。
「うん。今度は何処だい?」
「アーネム・ランドの近くだって」
 アーネム・ランド――オーストラリア大陸の北にあるカーペンタリア湾に面した地域だ。
 モニターに羅列される情報。
 その中に幾つかの地名が記されている。

 ――アーネム・ランド
 ――ヴァン・ディーメン湾
 ――コバーグ半島
 ――ダンダス海峡
 そして――クローカー島。

 どうやらアラフラ海に浮かぶ一つの小島が今度の標的らしい。
「成る程。そこは確か最近バイオ兵器の研究を始めたらしいからね」
 つい先日閲覧していた資料に似たような内容が記載されていた記憶がある。
 確かオスカー・ブレンテンから失敬したものだったはずだけど。

「じゃあ、またゲームが出来るね」
 必要な情報だけを取り出しつつ、新しいプログラムに手をつける。
 ジェフは既に移動準備を始めたらしい。

「プラスの調子はどうだい、ジェフ?」
「うん。まぁまぁだよ。前回ちょっと無茶させちゃったけど、あの程度なら許容範囲だから」
 プラスとマイナス。
 僕たちのゲームの駒であり、今一番お気に入りの遊び道具。
 軍人の死体を蘇生させて作ったサイボーグ。
 周囲の凡人共は騒いだけど、僕たちにとっては所詮オモチャに過ぎない。
 僕たちは天才なんだから、あの程度出来て当然だ。
「今度はどっちが多く駒を取れるかな?競争だよ、アル!!」
「今度も勝たせてもらうよ、ジェフ!!」
 さぁ、今度はどっちが勝つかな。
 今からとっても楽しみだ。

 白い建物から派手に上がる火の手。
 サンプルを回収した後始末をしただけなのに、研究所は予想以上に炎上している。
 周囲の森林には被害がないものの、タンパク質の燃える匂いが酷く鼻につく。

「火力が強すぎたのかな?まだこれも微調整が必要みたいだね、アル」

 プラスが手にした火炎放射器の状態を確認するジェフ。
 試作品にしてはそこそこの結果を出せたのは良いけど、同時に改良点も幾つか見付けてしまった。
「まあ、良いよ。どうせ今回はただのテストのつもりだったんだし。早く帰ってサンプル照合でもしよう」
「そうだね。今回は簡単過ぎたよ、あまり面白くなかったよ。でも僕の勝ちだよ?」
 プラスを奥へ座らせつつ、ジェフは笑ってそう言った。
 残念なことに、今回は駒を幾つか取り損ねてしまった。
 悔しいけど僕の負けだ。
 肩を竦めつつ、頭に着けていたスコープを外しつつ、僕もヘリに乗り込む。

『待てっ!!』
 ガゥンッ!
 ひどく訛のある英語が場に響いた。
 続く銃声。
 確実に僕を狙ったつもりだったんだろうけど、庇うように間に立ったマイナスがそれを許さなかった。
 命がけの一発だったのだろうか?
 血の気の引いた顔で見つめてくる。
「まだ生き残りが居たんだ?目障りだよ」
 ジェフが不満そうな声を上げた。
 今回のゲームは僅差でジェフの勝ちだったから。
 だからここで逆転されたくないんだろう。
 ヘリを降りようとするジェフを制止し、僕も乗り込む。
 ブッシュから出てきた男を一瞥して、僕はマイナスに指示を出した。
「マイナス。片付けろ」
 瞬時に動きを見せるマイナス。
 造作なく男の腕を掴んで――フルパワーでの電撃。

 吹き出す血と悲鳴。
『God damn!!』
 それが最後の言葉だった。
 酷くくだらない、陳腐なセリフ。
 僕は神など信じていない。
 僕たちは天才だ。出来ないことなど何もない。
 ・・・そう。何もない。
 だから――崩れゆく屍に言葉を掛けてやった。

「Yes,sure
 God dame me」

 そうさ・・・・神は永遠に僕を断罪する―――


「ジェフ。次の遊び場が決まったよ」
「ボスはOKだって?」
「うん。今度の標的は・・・・・ARMSだって」

END


あるたん出てこない辛さに負けて変なモノを書いてしまいました。
もーいいや。キャラ違うよ・・・誰さこの子達・・・(;□;)
後生ですからチェーンレターは勘弁・・・・。

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