ふいに目が覚めた。
隣に眠っている小さな影の漏らす息づかいが、やけに大きく聞こえる。
「・・・・・っ・・・・・ぅ」
時折乱れる呼吸。
暗闇に慣れた目が月期の光を借りて、アルの苦しそうな横顔を映す。
魘されてるのか・・・と思わずにはいられない、寄せられた眉。
酷く苦しそうに息を継ぐ姿に、隼人は思わずアルの肩を揺すった。
数度。きつく瞼を閉じるアルを繰り返し揺する。
「・・・・っぁ・・・?」
突然弾かれたように目を開けるアル。
呻きに涸れた喉がむしょうに乾いて――何だ?と言う問いが声にならないようだった。
ただ夢の残滓を残すように震える腕が布団の端を掴んでいる。
一瞬、不安と怯えのないまぜになった瞳が隼人を捉え・・・俯く。
「大丈夫か・・・?」
無意識に隼人の口を突いて出た言葉。
・・・・・。
アルからの反応はない。
ただ困惑するような空気が流れる。
「こっちに来いよ。ほら」
変わってしまった空気に気付かない振りをして、アルの腕を掴んで自分の傍らに
無理矢理引き込む。
さしたる抵抗もないまま一緒の布団に入ったものの、お互いに妙に目が冴えて眠ろうという気さえ
起きないのが不思議だった。
「大丈夫か・・・?」
呼吸の落ち着いた頃にもう一度。
「別に・・・」
同じ問いを口にする隼人に、素っ気なく答える。
なのに、その小さな手は隼人の服の裾を握りしめ指先が白くなっている。
「お前、泣いてるのか?!」
焦ったような声で隼人は俯いたままのアルの顔を半ば強引に上向かせようと手を伸ばし――
「泣いてるわけ・・・ないだろ!」
ピシャリと一言。強い拒絶の言葉と共に伸ばした手が払われる。
明らかな拒絶。
――このガキ・・・、と内心毒づいて。
「いい加減にしろよ、人が優しくしてりゃ・・・!」
アルが動かないのならば自分が動けばいい。
ただそれだけの思いで、無理矢理顔を覗き込んで・・・。
「お・・前・・・・」
感じる違和感。
見たこともない表情で、よく知った瞳が逸らされる。
日頃見せるあの生意気な顔は何処に行ったのだろうか・・・などと感じてしまう自分がある意味滑稽だった。
隼人の見たアルの表情。
初めて見せる、頼りない子供の・・・・そう。言うならば年相応の、等身大の「子供の顔」。
「・・・見るな・・・馬鹿っ!!」
見られた!その事が酷くアルを狼狽させ、隼人から離れたい気持ちで一杯になる。
ジェフと居るときだけの・・・人前では出したことのなかった素の顔。
見せるつもりなどなかった。誰にも・・・例えそれがARMSのオリジナルを所有する隼人達にも。
あの顔は知ってる。もっと近いところで・・・。
あぁ・・・・アレは昔の俺だ。
隼人は、意識の深いところで懐古する。
かつての自分―――両親を、友達を失った頃の自分を。
「分かった・・・。俺が悪かったって。良いから寝ちまえ」
もがき、布団から抜け出そうとするアルを抱え込むように押さえつけ、小声で耳打ちする。
しかしそんな隼人の行動に、今のアルは憤りを感じる。
「僕は知ってるんだからな・・君が今こうしているのは只の同情心だって事を!全部・・・知ってるんだから・・・
だからもぅ!!」
「確かにそうかもな・・・。俺も昔はそうだったよ。その事でジジーに結構ぶつかったし。
でも・・・そう言う事じゃなくて・・・・多分・・・」
心中を吐露するようなアル言葉に、隼人もかつての痛みを思い出す。
上手く言葉に出来ずに、それでも伝えたいことはあって・・・。
「お前は辛いんだよ。双子って・・・・半身みたいなもんなんだろ?俺には兄弟が居る訳じゃねーから断言できねぇけど、
だから・・・忘れてやるから、今だけは泣いとけ」
「分かったようなことを言って・・・僕はそんなに子供じゃない!」
微かに嗚咽の混じる声が隼人の胸に響く。
少しは落ち着いたのか、抗うことを止めたアルに、隼人は身体をずらして視線を合わせる。
「こんなのは僕じゃない・・・」
「分かってる。お前は・・・天才なんだろ?」
拒絶する言葉とは裏腹に、縋る者を求める瞳。
答えるように隼人はアルの頬を伝う涙を拭い、膝の上へと移動させる。
目元にキスを一つ落として、それをアルが拒絶しないことを確かめると、隼人は殊更にゆっくりと頬から喉、薄い胸への
ラインを指で辿っていく。
「・・・んっ・・」
しゃくり上げるような音を漏らすアルの唇に自らのそれを合わせ、無理のない程度に角度を変えていく。
「ん・・・けほっ」
微かに眉根を寄せたアルに気付き、隼人は名残惜しげに唇を解放すると、潤んだままの瞳を覗き込んで
ただ一言を伝えた――
「大丈夫だ。俺は・・・俺はお前から離れたりしないから・・・」
【END】
・・・御免なさい・・・つけこんでるよ隼人・・・・(;□;)
何か・・・最早かける言葉も無いっちゅーかよ(涙)
題して「みのりさんゴメンね 気が付けばリリカル14禁」ってカンジ?(死)
しかも後日談あるよ(−−;)トホホ・・・。
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