−Passion−

 結局自分の優れているのは『頭脳』だ。
 実戦になれているわけでも、経験が豊富というわけでもなく。
 ただ『知識』と『情報』によって全ての状況を判断する―――『頭脳』だけが必要なのだろう?

「だからそうじゃねぇって言ってるだろ!?」
 ごつっ、と鈍い音がして激しい痛みが襲ってくる。
 多分今日はコレで3回目だ・・・と冷静に数えて。
「どんなに誤魔化したって僕の罪が消える訳じゃない。今までも、そしてこれからも。
仕切り直しなんて簡単に出来ると思ったら大間違いだからな」
 自分でも思ったより冷めた声で出た発言。
 今更のようにアルは後悔する。
 今のはちょっと言い過ぎた・・・そう思っても謝るなどという行為には出ない。
 ――少なくとも隼人には。
 再び隼人の手に力が入るのを感じて、一瞬の躊躇。
 避けようとする動きに反して、強く引き寄せられた。
「・・・・もっと・・・自分の価値を分かりやがれ!」
 痛いぐらいに抱きしめられた腕の中で、アルは呆然と身を任せるしかなかった。

 (僕の・・・価値?)
 だからそれは『頭脳』だと――それしか自分には残されていないと思う。
 実際そうだろう。
 唯一気を許していた・・・信じていた兄弟はもう居ない。
 『死』という絶対的な力に引き離されてしまったから。
 殺されてしまったジェフ。仇をとってやりたいと思う。
 だからこそ余計に・・・・彼らと馴れ合うわけにはいかなかった。

 そう考えていたのに!!
 なのにコイツだけはどうしても引き下がろうとしない。
 ―――新宮隼人。
 直情的で、感情に任せた特攻が多い性格で、ARMSオリジナル『騎士』の所有者。
 『熱血』というよりは、ひたむきな『情熱』を向けてくる。
 一体何を思って自分にこうまで関わるのか、サッパリ見当もつかない。
 今までも自分に必要以上に関わろうとする人間が、居なかったわけではない。
 ただし全員くだらない下心を持って、アルの「頭脳」を利用しようとする者ばかりだった。
 しかし、隼人は少し違う。
 (僕の考える『利害の一致』ということは、コイツの頭にはないらしい)
 目的が分からない、ということが一番対処に困る。
 だから、不安になる。
「だから、僕の価値は『頭脳』だろう?」
 身を捩って腕の中から抜け出せば、また不快そうな目をしてこちらを見る。
 何がそんなに気に入らないと言うのか。
 アルには全然理解できなくて―――妙に視線を奪われる。

「俺達は・・・少なくとも俺はお前のそーゆートコを見てるわけじゃねぇ!」
 強く肩を掴まれて、苦痛に目を眇めれば、手が少しゆるむ。
「俺は・・・・お前自身を見てる。それだけは信じろ!」
 (まるで理論が通ってない)
 冷静に判断する意識の裏側で、それでもその言葉を歓喜している心がないわけではなくて。
「――だったら、僕に見返りを求めるなよ?」
「あぁ。それでお前が俺を信じてくれるならな」
 やっぱり理論が無茶苦茶だ。
 溜息混じりの苦笑を浮かべて、緩慢な動作で抱きつけば驚いたように硬直を返してきた。
 でも次の瞬間抱きしめ返されて、安堵の息を付く。
 (コレって・・・、僕も・・・ほだされたのかな?ジェフ)
 遠く、答えのない問いを思い浮かべて。

 ―――お前を守るのは俺だ。
 その言葉だけは、信用してやるからな。

【Fin】


あっちゃーっ!!全然隼人『情熱的』じゃないです!
こんな看板に偽りアリなモノで済みませんです!!(;□;)
華神さん!!全くもって申し訳ない!!(平伏)

でも1009HITアリガトウ御座いました!!

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