私が貴方を好きな訳。





 『愛』とか『恋』とかいう感情が、どれだけ重要なモノかなんて僕には全然理解出来ない。
 他人を重要視することが、生きていく上でそんなに必要なことなんだろうか。
 理解出来ないし、理解してどうなるモノでもないと思うが、いち科学者としての好奇心で。
 心理学的情動反応とか、もしくは精神科の脳波測定とかA10神経の伝達経路とか。
 所詮僕にとってはその程度の研究対象。



「でも・・・・キャロルはアルのことが好きよ」

 ちょっと寂しそうな顔でキャロルが呟いた。
 あぁ、この子には相談するんじゃなかった・・・・・。
 今更のように後悔しても遅い。

 恋愛感情とやらに疎い僕は、どうにも性別による区別が曖昧だ。
 男でも女でも同じに見える。

 どちらも『人間』どちらも同じ分類上にしか思えない。
 霊長類人科・ホモサピエンスサピエンス。
 ただ、それだけの分岐。

 大切にすることと愛することは違うと、凡人共は口を揃えて言う。
 だったら僕がジェフを大切に思うこの感情の動きはきっと『愛する』という部類には入らないんだろう。
 基本的に肉親にセックス・アピールは利かない。
 あぁ、それ以上に同性だ。
 そしてそれよりも遙かに僕たちは近い存在だったから。
 だからこれはある意味、自己愛に近い。

 異性がいてもドキドキしない。
 好意を持たれてもうっとうしいだけ。
 同性だったら尚更だ。


「そりゃちょっと可笑しいぜ、お前」

 相変わらず物言いが失敬な男だ。
 目の前で隼人がテーブルの上に肘を立てる。
 横柄な態度で顎を支え、眉間に皺を寄せて唸っていた。
 どうにもこの男は相談相手としては思慮に欠ける。
 しょうがない。馬鹿だから。
 いつだってそう思っているのに、時々穿ったことを口にするから・・・・・・。
 とはいえ、今回は期待した僕が馬鹿だったようだ。
 最近どうにも恵と接触が多いようだったから参考までに意見を求めたが、彼女とはそういう関係ではないと言われた。
 こんな事なら最初から高槻にでも聞いておくのだったと、脳裏を掠めたが、どうにも高槻とカツミもスムーズには進展していないらしいので下手にくちばしを挟むこともないと判断したからだ。
 あぁ、それにしても人選を誤った。

「好きって・・・・こぅ、相手の何気ない仕草とかにドキッとすることねぇわけ?」
「ない」
「・・・・即答かよ」
 仕草にドキッて何だ?
 俗に言う『ドキドキする』ということか?
 緊張感から心拍数が増加するからだろう。

 あぁ下らない。
 とても理解出来ない。
 何故生きていくことに『他人』を必要とするのか。
 その気持ちが分からない。


 それでもただ一つ、僕が知っているドキドキは恐怖と緊張が綯い交ぜになったモノ。
「あの馬鹿を見ているとドキドキするんだ・・・・、だって次はどんな突飛な行動を取るのかって怖くてたまらない」
 相手の仕草にドキドキ。一挙一動から目が離せない。
 多分これは『吊り橋効果』。
 それでも、この想いは全て君へと向かっている。


 もしこれを『恋愛感情』と呼ぶならば、僕は全ての定説を覆しても良い。
 本当にこれが『愛してる』に変わるなら、それが僕が君を好きになった理由になるだろうから――





・・・とか何とか言っちゃって
言い訳もないまま終わるヽ(*´▽`*)ノ
↑今すぐくたばれ!!(屍)


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