推定少女

− 少女 キャロルの恐怖 −



 近頃、何だか凄く嫌なカンジ。
 胸の奥がモヤモヤするような、凄く嫌なカンジ。

 何でだろう―――凄く怖い。




「・・・・君は知らなくて良い」
 アル。
 アルはとっても頭がイイ。
 柔道じゃ、まだ私の方が強いけど。
 自他共に認める超天才なんだって。
 同じ歳だから一緒に学校に通ってるけど、時々学校をサボって何処かへ行ってたりもする。
 だから私が全然気が付いてないこととかも、色々知ってる。

 今だって、ずっと遠くを見てる。
 きっと何かを知ってる。

 でも私にはよく分からない。
 聞いても教えてくれない。

 ソワソワする。
 胸の奥からじわりと滲み出てくる不安。
 ・・・・・焦燥感。

 もう使わないって決めた、忌まわしい力が疼く。
 嫌なことばかり思い出す。
 私を捨てたパパとママ。
 私を実験体としてしか扱ってくれなかったエグリゴリ。
 全部嫌な思い出。


 でも、涼お兄ちゃんたちは好き。
 あの暗い場所から助け出してくれたから。

 ジューゾーお爺ちゃんも好き。
 隼人お兄ちゃんも好き。
 大事な大事な家族だから。

 アルのことは大好き。
 今は家族みたいに一緒にいるけど、アルは新宮家に養子には入ってないって言ってたし。
 だからきっと、アルに対する『好き』は外のみんなに対するスキとはちょっと違うカンジ。
 胸のトコがキューッとなるから。



 ・・・・・・でも。
 好きだから分かっちゃう。

 隼人お兄ちゃんは、アルのことが好き。
 きっと好き。
 だからあんなに目で追ってる。

 そして・・・・・・アルも隼人お兄ちゃんが好き。
 いつも素っ気ない態度だけど、こっそり気に掛けてる。
 アルがあんなにあっちこっちに出掛けていくのは、多分お兄ちゃんに関係のあることだから。
 お兄ちゃんは、何だかんだで結構隠し事が多い。
 でもすぐ表情に出るから、実はバレバレ。
 それをアルは気付いてる。
 だから隼人お兄ちゃんに内緒で学校を頻繁に休んじゃう。


 きっとまた怖いことが起きる。
 それは私にも分かる漠然とした恐怖。
 お兄ちゃん達やお姉ちゃんは、きっとそれに関わって行っちゃう。
 ずーっと遠くへ行っちゃう。

 それも怖い事。

 でも私がもっと怖いのは―――
 怖いのは―――

 アルも行ってしまうかもしれないという事。


 しかも隼人お兄ちゃん達とは別行動で。
 内緒で。
 私にも内緒で。

 それが怖い。


 


仮定少年  −少年 アルの未来予測−

決定青年  −青年 隼人の現状把握−



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