SINPLE ROGIC ( シンプル ロジック ) |
接触による朧気な変化。 情を交わすことで、劇的な変化が起こるとは思っていない。 ――けれど。 何かを失うなら、あの馬鹿を失うくらいなら、いっそ接触 しない方が良いのかも知れない。 ジリジリと焼け付くような視線を感じる。 振り向けば和らぐソレ。 まさに『目は口ほどに物を言う』だ。 言葉にされていなくても伝わってくる――熱。 この身を焼き尽くして欲しいと願ってしまうのは反則だろうか? 求めても良いのだろうか。 ――自分の価値が失われないだろうか。 隼人の中の僕の像は打ち砕かれないだろうか・・・。 それだけが不安。 愛されることを知っている。 失う苦しみも知っている。 だから、飽きられるのが怖い。 Jrスクール時代。 あの頃は地獄だった。 いや、それ以降も大した変化はなかったけど。 それでもあの頃が一番自分を守るのが困難だった。 いつだって生傷が絶えなかった。 集団の心理は異常だ。 異常を異常と認識していないところが特に。 弟の安全を保障する代わりにプライドの切り売り。 生徒だけでなく教師陣からも受ける阻害・迫害。 差別と区別の違いが奴等に説明できるだろうか。 気が付けば倫理のギリギリラインまで追い込まれていた。 最後の一歩。 踏み出さずに済んだのはたった一人の言葉のお陰。 「君と他の子の何処に違いがあるんだろうね。君はただずば抜けて頭の回転が速いだけなのに」 初めて助け上げられて、差し出されたのは清潔なハンカチとその言葉。 僕は凡人じゃない。 奴等とは違う。 だけど。 そう思ってきたけれど。 ホントは何が違うの? そう。そのたった一人の例外が口にした通りだ。 頭脳の違い。 それは知識とかそういう後天的なものではなくて、恐らくもっと先天的な問題だったのだろう。 それ以外は何も変わらないのに。 普通だったのに。 心も身体も傷つくのに。 その事実に気が付いたのは、スクール時代において後も先にも彼だけだった。 結局は何も変わらない。 繰り返す苦悩を破ったのは、またしても一人の男だったのだけれど。 「そういえば、アイツに似ているな・・・・・」 「アイツ?」 そっと舞い散る桜の花を眺めて、一人呟けば背後に感じる気配と体温。 後ろから抱きかかえられるように腕が回される。 それすら今は気持ちいい。 昔の事を思い出す度いまだ癒えない傷が血を流す。 忘れられない記憶。 「あぁ。Jスクール時代にな、ちょっと」 俯き半分で答える。 それは正確には応えにもなっていなかっただろうが。 これ以上を語るにはまだ早い気がした。 沈黙が優しい。 けれど何かが重くのし掛かる。 それは隼人の不安だったのだろうか。 「…もしかして、そいつに似てるから俺のこと好きになったとか――」 絞り出すような言葉が今は心地良い。 それでも声色だけは不機嫌を装って。 「馬鹿。君は本当に馬鹿だな。僕が別の人間を同一視したりするはずがないだろう?」 ふんっと鼻を鳴らせば、多少肩の落ちる感覚が伝わってくる。 安心したのだろうか。 簡単に納得されると癪なのだけれど、反応が大人しすぎる気はする。 案の定、続く行動があった。 「あーそうかよ。そりゃ安心」 ギューッときつく抱きしめられて苦しいけれど嬉しい。 こんな感情は誰にも与えられたことはなかったし、欲しいとも思わなかった。 だからきっと、お前だけが特別なのだろう。 僕自身が一番不思議に思っているのだけれど。 せめて今は優越感に浸っていて欲しい。 声色から伝わるぐらいストレートに。 それが僕の幸せ。 |
研修出発前夜・・・・というか、お泊まりしたよたろうさん宅で書いたものです。 隼人Vr.『死に至る病』のアルVr.なんですが・・・・ショボー(吐血) とりあえず石投げないでくださいっっ(≧×≦;;) |