あのアルとジェフが敗北したという噂は、果たして真実なのだろうか。 エグリゴリの末端情報にハッキングを掛けてみる。 当然バレればどうなることか判ったものではなかったが、あまりにも曖昧な情報しか 回ってこなかったからだ。 「オスカー!!」 モニターの前でハッキングを掛けていた一人、シャーリーが悲鳴のような声を上げる。 細かく震える手が、それでもキーボードを叩き中央モニターにデータを映し出した。 ―――ジェフ・ボーエン death. ―――アル・ボーエン wanted. 身体的特徴、完全に裏切り者としてマーキングされた情報が公開されていた。 あのアル・ボーエンが。 よもやこんな非合理的な動きをとるなんて予想外だった。 エグリゴリを敵に回すなんて。 あの、彼が。 「オスカー、どうするの?私達は・・・」 「シャーリー・・・・ちょっと一人で調べたいことがあるんだ。先に失礼するよ」 躊躇いがちに掛けられた声を振り切って、研究室を出る。 腹の底に溜まった澱が叫びだしそうな衝動を訴えていた。 あの二人を持ってしても、切り捨てられるのかと。 僕たちは一体何なのか。 どうして同世代の子供だけがこれだけ集められているのか。 何故急に世界各国から収集されたのか。 唐突に浮かび上がる疑問の数々が、胃の腑を締め付ける。 警告音のような耳鳴りと、ギリギリと痛む頭。 パンドラの箱を開けよと、頭の中で囁く声が聞こえる。 きっと調べてはいけないことなのだ。 重々承知している。 好奇心は猫を殺す。 下らない格言が、こんな時に限って浮かんでは消える。 考えるべきではないのだ。 ―――いまは、まだ。 それよりも気になるのは、アルのことだ。 あの完璧なる双子が、半身を失ってどれほどの喪失感を感じていることだろう。 なまじ傍で見てきていた分だけ、ありもしない良心がざわつく。 イライラと室内を行ったり来たりする日々が続いた。 周囲の奴等に声を掛けられても、上の空だった。 何も手につかない。 研究以外のことにこんなに気を取られるのは、初めてだったかも知れない。 ギャローズベルへの移属指令が来たのは、それから約一ヶ月後のことだった。 |
To be continue .... |
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