ギャローズ・ベル

 アル達一行が一歩踏み込んだ瞬間からずっとモニターしてきた。
 彼の観察眼は相変わらずの様だ。
 早々に僕達の陰を察知して接触を試みてきた。

 やはり彼は必要だ。
 あの頃と変わらないその推察力。
 その瞳。

 見聞するように眇められた瞳に、僕が写される快感。
 今、君は僕を見ているんだろう?

 変わらない辛辣な物言いには怯んだけどね。

 こんなにも変化のない君なのに、何故そんな顔をするんだ。
 どうして何の実験もしていないんだ。
 買い被りだなんて、心にもない嘘。
 何年も同じ研究を、開発を行ってきたのに。

 ハウンドたちに確実に追い詰められていくオリジナル達を見ているのに、どうしてそんな表情をする?
 僕には見せたことのない様な穏やかな目で。
 アル。君は、何を得たんだ?


 反旗を翻したのも策略を巡らせたのも全て君と再会するためだったのに。
 肝心の君は、何処を見て居るんだ?




 アザゼルを見せれば驚愕を。
 データを見せれば歓喜の色が君を満たす。

 そんな所だけは変わっていない。
 研究者の覚めた目で、君は僕らが捉えたオリジナルを蔑めるのに。

 僕は君をオリジナルから―――君を変容させたものから奪い取れたんじゃなかったのか!?


 ARMS達とハウンドの決戦は夜。
 それまで久振りにチャペルの子供達総掛かりでデータの検証をした。
 全員、というには少々大きな欠落があったけれども。

 ―――ジェフ・ボーエン。
 彼の姿だけが足りない。
 永遠に失われたアルの半身。
 もっと沈み込んでいると思ったのに、どうして振り切れているのか。
 あれほど肩を寄せ合っていたように見えたのに。

「私、彼をここに連れてきたのは間違いだと思うわ」
「アルのことかい?」
 モニターの前でアザゼルのデータを睨んでいるアルの後ろ姿が見える。
 彼の位置とは対極に位置するデスクでシャーリーが呟いた。
 彼女の指はキーボードの上を軽やかに踊っている。
 捕虜への用心として二重のセキュリティーを組んでいるのだ。
「何だか以前見ていたアル・ボーエンとは、印象が違う気がするの」
 カタッ、とキーボードを押しやって彼女は続けた。
「最後に見た時までは、決して自分から何かをするタイプじゃなかったわ。
そうね、上手く人を使うタイプと言うか・・・」
 確かに感じている違和感。
 自分だけじゃなかったのかと視線を巡らせて。
 他の奴等もアルの横顔を覗き見ているのを知る。

 ―――何がアルを変えた?

「・・・・シャーリー、僕はそろそろスティンガーの所へ行ってくるよ」
「え・・・えぇ。行ってらっしゃい」
 多少唐突だったかも知れないが、これ以上アルの変化について話しをしていたくなかった。
 影がちらついて。
 アルを変えた、誰かの影が―――


To be continue ....
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