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その足でスティンガーに会いに行った。
僕達と同じ様な境遇だった彼らを引き上げたのは僕だ。
元々彼らを強化したのは僕達だったのだけれど。
実の子供を売った両親より、僕達に近い存在だった。
―――スティンガーは僕を裏切らない。
まさかの展開だった。
この場の誰もが予想しなかった展開に、間抜けにもどもってしまった。
「おだまり、裏切り者!!」
シャーリーの恫喝が室内に響く。
モニターにはハウンドとARMSの戦闘が映し出されていた。
激しい音が響いてくるはずなのに、全く耳を貸す者は居ない。
僕達全員が固唾を飲んで見守る中、銃口の先でアルが小さく溜息をつく。
眉をつり上げるシャーリーとは対称に、何処までも不敵な表情を崩さない。
微かに眇められた目が、彼の苛つきを示しているようだった。
「だまれ、凡人共!!天才の行動を安易に否定するな!!」
瞬間。
この場の全員が歯がみした。
当然僕も、だが。
チャペルの子供達には、全員自分が『天才である』という自信がある。
それを彼は一刀両断したわけだから、当たり前の反応でしかないが。
「いい加減にしろ!!」
彼の言葉には重みがある。
アルによって紡がれる言葉に、全身が志気を鎮める。
このまま終わるのか?
終わらせてしまうのか!?
断じて否!!
僕のスティンガーが負けるわけがない!!
激化した感情が先走る。
君をヤツらの所へ行かせたくない。
この思いは、火遊び程度のものじゃない!!
パーン!!
激しい掌打音と、頬に走る衝撃。
『オ・・・オスカー!!』
数人の呼びかけで、飛びかけた意識を踏み留める。
打ち付けた腰が痛かったが、殴られた頬はもっと痛い。
物心付いて、殴られたのは初めてじゃないだろうか。
両親は優秀な僕を殴ったことはない。
チャペルの子供同士で殴り合いの喧嘩なんて起こらない。
そんな下らない暴力は何の意味もなさない野蛮な行為だと知っているからだ。
なのに―――
率先して言葉で相手を突き崩していた君が、素手で僕を殴る?
「な・・・・殴ったな・・・・」
「馬鹿は殴らないと治らないそうだ。」
ある馬鹿の日頃の主張だがね、と続ける表情は場違いなほど軟らかい。
続く言葉も、以前の彼からは考えられないものばかりだった。
背後で嘘だ・・・と呟く声が聞こえた。
そうだ。嘘だ。
アルの言葉を鵜呑みにすれば、このままだとスティンガーは―――
「このまま戦えば確実に奴は死ぬぞ!!」
直に脳味噌を揺さぶられるような感覚だった。
衝撃で思考が纏まらない。
気が付けば駆け出していた。
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