梅雨後台風。



 そういえばあの日も雨が降っていて、泣いてもいないのに頬に幾筋も水が伝っていた。

 たとえばそんな雨の日―――





 扉の外は季節外れの台風とでもいうように、突風と降雨が続いている。
 TVでも大雨洪水警報が流され、外出なんてとても無理な天候だ。
 こんな日に一人で道場に居るのはひどく寒くて冷たい。

 心も体も。

 自分が変化してきた事実を思い知らされるような感覚。
 いや、そうじゃない。
 昔の自分を取り巻いていた空気に似ている。
 だから色々と考えてしまうのだ。
 要らないことまで。
 この、世紀に誇るべき頭脳は。

「まるで檻の中だ」
 呟いてみて自嘲が漏れた。
 逆らうことも暴れることも、唸ることすら出来ない獣を閉じこめるための形骸的な檻。
 真っ白な研究室。
 慣れるまで時間は掛からなかった。
 支えはあったし、他との接触も少なくてすんだ。
「迷いなんてなかったのに・・・・・・何で今更」
 ズキズキと胸の奥が痛む。
 血塗れの両親と、虚ろな目で宙を眺める同級生たち。

 忘れられるわけがない、最初の罪。
 血溜まりの中に佇む自分たちを想像して、肩が震えた。
 まるでジェフが飲み込まれたような気がして。
 ジェフの死は、そんな簡単なものじゃない。
 でも多分そういったものも関係しているのではないかと、時に弱気になる。

 非科学的で、実に論的根拠がない。
 死者は語らず甦らず。
 そんなことは百も承知だ。
 伊達に生態学はやっていない。

 けれど。
 運命なんて否定していたけれど。
 自分に降りかかってきた場合、一体どれだけの人がその事実を否定できるだろうか。
 因果応報という言葉ではきっとありきたりすぎるけれど。
 それでも確かに、心は冷えるのだから。



「早く帰ってこい・・・・馬鹿・・・・・」


 頬に伝うのはあの日とは違う水。


閉幕



あーうー・・・・・・・。
もしかしたら対になるモノが、その内こっそりと
upされるやもしれません〜〜(小心者)



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