It's a small World.




あの日、空が眩しいと言ったのは誰だったか―――






 視界一面は風と雪で遮られ、上空を望むことは叶わず、足下は今にも滑りそうなほどのアイスバーン状態。

「・・・・雪だな」
「むしろ吹雪、だろう?」

 口を突いて出た言葉さえも白く凍てついて。
 まるで誰かの心のように寒々とした、凍結した世界。
 アリスであってアリスでないもの。
 香津美であって香津美でないもの。
 悲しみと憎悪の化身が生み出した、この白壁の世界。

 凍えるような恐怖と 同等の清廉さ。

 この場所には限られた命しか存在出来はしない。

 そんな限られた命のうち2つは、大通りから外れた“元”商店街のような通りを闊歩していた。



 オリジナルARMSをその身に眠らせた面々が藍空市に入って早1時間が経過していた。
 度重なる襲撃に徐々に移動していれば、結果的にメンバーは離ればなれになる。
 しかも今回は、今までリーダーを勤めていた恵が不在のままだ。


「まさかここに至って怖じ気づいた訳じゃないだろうな・・・・」
 アルは眼前を見つめて立ち止まった。
 決して横に向けないわけではない。
 ただ、向いてしまえばフードの隙間から極寒の空気が雪崩れ込んでくるからだ。
「バカ言え。ちょっとはぐれた位でビビってられるか」
 ぞんざいに答えた隼人は、めっきり凍えていた。
 歯の根が噛み合わないとはこういう状態か・・・と知的好奇心を充足させているアルの横で、隼人は
ガチガチと歯を噛み合わせている。


 ただ、はぐれないように手だけはしっかりと繋いだままで。


「そーいや、二人だけってのも久しぶりだな」
「お前と二人っきりだと僕のテーソーが危ないからな」
 ふと真顔で切り出した隼人に、アルは辛辣な言葉で答えた。
 しかも、あくまで視線は前に固定されたまま。
 あまりの即答ぶりに、隼人はグゥの音も出はしなかった。
 前科がないとは言い切れない。
 今はそれどころではないけれど。
 出来れば、凍り付く前に立ち寄りたい場所だったから特に思う。
 買い物をしている時のアルは、見ていてひどく微笑ましい。
 周囲の様々なモノに興味を示して、目を輝かせていることが多いからだ。

 たとえどんな好奇心を抱いて、どんな事を考えながら好奇心を満たしているのかを想像してみても。
 可愛いことには変わりない。

 この非常時に至って、まだ不埒なことを考えられる男の子。
 新宮隼人 17歳 青春真っ盛り。


 お互い全然違うことを考えながら、他のメンバーも向かっているであろうアザゼルの元へと
歩を進めている。
 繋いだ手の平だけに、希望を抱いて。
 ただ静かに歩く。
 音もない世界で。




「まるで世界に二人だけ・・・・って感じだよな」
 口を閉じれば降り積もる雪が音を吸収し、傍らに立つ者の姿しか確認することが出来なくなる。
 あたかも二人だけの世界。
 だけどそれはひどく閉鎖的な世界観でもある。
「そうだったら、きっと僕は君のことなんか好きじゃなかった」
 好きになったり、必要だと感じることはなかったと小さく呟いて。
「たった二人だけで構成された世界だったら、僕が君に必要性を感じる事なんて無かっただろうしね」
 お互いしか存在しない世界ならば、自ら選ぶことなど出来はしないから。
 そして、そんな状態で生まれた思いは、きっと尊いモノではないから。
「だから、僕はこんな真っ白な世界は嫌いだ」
 零れ落ちる言葉は凍てつき、思いは中心部へと届きはしない。
 それでも、アルも隼人も香津美を助け出したいという想いは一緒だ。




「あぁ。俺もこんな世界はゴメンだ。オマエが俺の方見ないしな」
 あーぁ、とばかりに肩を竦めて。
「ホントに馬鹿だな、君は」
 声で笑って、アルはようやく隼人へと顔を向けた。





 早く。
 一秒でも早く。
 みんなの元へ戻ろう。
 色彩鮮やかで、平凡なあの世界へ。
 今度こそみんなで戻ろう。
 誰にも崩されない、あの穏やかな日常へ―――


Fin


なんだかとっても久しぶりに駄文作成。
・・・・・・進歩ねぇなぁ・・・・(当然)
まぁ、とりあえずこんなカンジ☆

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