NORA de ヌルイ字書きさんに50のお題
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● 01 退屈
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だからどうしたという訳でもないけれど、アイツが居なければすることの無い 平和じみた毎日は退屈で。
だからどうしたという訳でもないけれど、外出しようにも 人間界の事など真面目に勉強する気は無かったから、一人でぶらつくのは少し面倒だ。
だから仕方なく アイツの領域で時間を潰す。
別に 待っている訳でもないけれど。
「早く来い」
ぼんやりするのは、もう 飽きた。
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● 02 涙のあと
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ふと、夜に目が覚めることがある。
特に不快感があるわけでもなく、唐突に目が冴える瞬間があるだけだが。
汚れ一つ無い天井が視界に入る。
暗順応。
今明かりを点ければ きっと目に痛いのだろうと思いながらも、リモコンに手を伸ばし―――かけて 腕が上がらないことに気付く。
視線を移せば 月光に染まる鈍い輝き。
あぁ、コレは犬の頭か。
腕に乗った塊は、昨夜寝かし付けた馬鹿犬の軽そうな頭で。見た目よりも柔らかな銀髪が、こちらの身動ぎによって さらりと一房頬から落ちる。降りた髪の下から規則正しく聞こえる呼吸音。
―――起きる気配は、無い。
髪に触れたい衝動に駆られて 頬に掛かる一房を掻き揚げれば、うっすらと光る水の雫。
形の良い眦から、髪と腕に埋もれるこめかみへと 伝わり落ちていく。
一条の 跡。
「オマエはいつも静かに泣くんだな・・…」
呟きは 夜に溶けて消える。
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● 03 秘密の出来事
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「秘密だよ?」
唇に人差し指を当てて 沈黙を守る約束を。
イイ歳をした男に見慣れない仕草。
呆気に取られた瞬間に急接近されて、奪われた呼吸。
触れる唇の熱に驚いて胸元を押し返せば、あっけないほど簡単に離れる身体。
慌てて口元を擦るが 感触は消えない。
不愉快にも、視界の隅には伊達メガネ(最近 比良坂に習った)。
「カズマ君達には、秘密だよ?」
再度見せられたポーズに怒声を上げかけて・・・・掻き消される様に消失する その姿に、忌々しげな舌打ちしか打てなかった。
―――秘密のキス。
「こんな事 言える訳ねーだろ、クソボケ・…!」
苛々と前髪を掻き上げて、もう一度 感触の残る口元を腕で拭う。
誰にも秘密の出来事。
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● 04 小さな勇気
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最近生徒会長が連れて歩くようになった やや柄の悪いSP。
いつも会長に噛み付いては謎の方法で捻じ伏せられている、いわく『チンピラ』のような人。
何だか時々教室の窓とかにくっついている不思議なゼリー状のモノの飼い主(?)のようだけれど、まともに会話をしたことは無い。
初見で殴られた記憶も まだ新しい。
比良坂さんは結構普通に会話をしている。良くお弁当とかをつつかれたりもしているようだし、藤本君も1回殴られたこと有るわりには比較的気安そうに声を掛けている姿を目にする。
それは生徒会室に会長が閉じ込めて行くせいかもしれないけれど。
いつもは誰かしら一緒に居るから気にはならない。
いや、正直 先日起きた変な怪我の時とか、裏山で気絶した時とかに見掛けた気がするから 凄く気になる。
けど、気にしないようにしている。
―――なのに。どうして今日は二人っきりになってしまったんだろう。
そして、何故彼は ぼくの必要な書類を枕にしているのだろう……。
今日という今日は、勇気を出して声を掛けてみなければいけないのかもしれない。
「あの、済みません・…・…」
―――意外に素直な良い人で、ビックリしました。
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● 05 笑顔の力
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「カズマくん!見てみてコレがね、今回の秘蔵写真よっ!!」
携帯のTV電話機能というのも善し悪しだ。
いつもいつも下らない写真を見せ付けられてウンザリする。
魔界の街並みや、雁首揃えた幹部階級の顔も。
特にこの『秘蔵写真』ネタはろくな展開ではないことが多い。
だから今日も下らない話を断ち切るべく ボタンに指をかけた。
「超レア!ノラちゃんの満面の笑顔スナップ!!」
力を入れかけた指が、その瞬間にフリーズする。
スピーカー部分からは未だに「ほらほら♪」と見せ付けるような理解不能物体の声が。
「アタシもコレ1枚しか持ってないのよねェ。ノラちゃんあんまり笑ってくれないから」
可愛いんだけど、ホント残念・・・・。
溜息混じりの呟きが耳に残る。
そういえば、アレは自然な笑みなど 見せたことがないな。
視線を手元に落とせば 現在の半分程度の身長に見える駄犬の妙に誇らしげな笑い顔が 鮮明に画面に映し出されている。
今、こんな表情を見せれば あの水軍の連中など、文字通りイチコロなのだろう。
―――破壊力は なかなか強力だな。
久しぶりに、少し絆された。
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