緑咲く草原で  アナタと二人、手を繋ぎ・・・・・






 広い広い特殊階級の為のエリアの中で、目的を持って会いに行く相手など限られている。
 将軍階級が出向くのは主にノラへの魔法の実務訓練のため。

 ―――後はサボリの名目で赴く者が一名。


 今日はレナードが教育担当の地属魔法の実地訓練日なのだが、先程からノラの姿が何処にも見あたらない。
 普段で有れば、レナードの来訪に合わせて 出入り口の側に腰を下ろしていたりするのだが、今日はそれもない。
 他の将軍の時には よく逃亡していたり隠れていたりと大忙しだそうだが、今のところ其処まで手を煩わせるようなことをされた覚えが彼にはなかった。
 比較的 懐かれているという自信はある。
 前面に押し出しはしないが、犬の様な尾が有れば間違いなく左右に揺れているような。
 そのくせ 態度では拗ねたような、反抗期の子供のような天の邪鬼な姿勢を崩さない。
 実際に、初めの頃は本当に子供を扱うように接していたが 今では扱いも少し変わってきた。
 ・・・・だというにに、どうしたというのか。

 周囲をざっと見回してみる。
 しかし、あの目立つ銀髪はチラリとも覗かない。

「ノラ様、何処にいらっしゃるんですか?」

 大声ではない、だが少しだけ声を強めに呼び掛ければ いつも魔王様に放り込まれている池の方から微かな応答があった。
 しかしその声は酷く小さい。
 完全封身ではないから聞き取れたものの どうにも様子がおかしい。

「ノラ様!?どうされたんですか!!」

 直線にしてそう距離がないとは言え、気ははやる。
 しかも特殊階級エリアは魔王の張った結界の効力により 空間跳躍等の移動系霊属魔法は一切使用不能になっている為、走る以外に移動方がないのだ。


 近くなれば、聞こえる声も自ずと大きくなる。
 そして内容もハッキリしてくるモノなのだが―――

「・・・・だから、離せ!この・・・・・・っレナード!!」

 気配を感じたのか 悲鳴のように名前を呼ばれて、位置を探って視線を合わせる。
 視線が合って安堵したようなノラの瞳の色に焦心すれば、珍しく助けを求めるように手が伸ばされた。
 その手を取って引き寄せれば 足下からは軽い舌打ちが。

「一体、何をしている。リヴァン!」

 どうやらノラを拘束していたのは良く見知った同僚だったようで、相変わらず怠そうな仕草でリヴァンはゴロリとその場に転がった。
 反転して、閉じた扇の上に顎を載せて。

「あー、スキンシップ?」

 酷くどうでも良いことの様に適当に答えられれば腹も立つ。
 腕を取り、引き寄せた子供の身体を抱き上げれば 余程怖い目にでも遭ったのかノラの腕がレナードの首に回された。
 宥めるように背に触れれば ヒクリと肩が震える。
 それでも気が抜けたように深い溜息を漏らすのを耳元で確認して 添えた手であやすように軽く叩く。
 一つ溜息を吐いてその場に背を向ければ、触れ合ったノラの頬に再び力が籠もるのが感じられて。

「リヴァン、お前が此処でサボっていることはカイン様に報告するので覚悟しろ」

 恐らくノラに必要以上の緊張を敷いた水軍の将に、最後通牒のように突き付ける。
 流石にカインの説教部屋行きは嫌なのか、リヴァンの重い腰が上がった。

「仕方ねぇな。行くか」

 言って 伸ばされる背に、ノラの警戒する視線が刺さる。
 大人しく出ていく後ろ姿にも。
 

 完全にリヴァンの姿が見えなくなるまで睨み続けていたノラを心配はするものの、その視線に晒されていた彼を羨ましく思う心が全く無い訳ではない。
 ただ、しっかりと首に回された手は 自分への信頼に満ちていて嬉しいのだと、果たしてこの幼い上司にどう伝えたものかと頭を悩ませる。


 そもそも、何でリヴァンにのし掛かられる様な展開になったかをじっくり聞き出したいところではあるが それよりもまず遅れてしまった訓練を先にしてしまわなければならない。

 ただ、今後のことを考えてレナードは一つだけノラへ伝えておくことにした。


「ノラ様、あまり火遊びには興じられぬように」


 瞬間 何を云われているか解らないような顔をしたノラだったが、レナードの纏う空気から何かを察したのか普段のように文句を言うことなく一つコクリと頷く。
 その仕草を愛おしそうに見詰め、レナードは優しく頬を撫でると自らの撫で上げた場所に 魔界では殆ど見せることのない封身姿で唇を落とした。

「珍し、くねぇ?」
 その格好になるの。

 照れたように視線を外すノラに、解放姿だとキスしにくいでしょう?と軽口を叩きながら視線の近い位置で笑い合う。


 名残惜しいが自分で歩いて貰う為に 軽い体をそっと地に降ろした。
 膝から下の子供らしいすらりと伸びた足が 自らの意志で伸ばされ、草原を踏みしめる。
 長身の獣頭人身を見上げる 不安気な瞳の翳りを拭いきることは出来ないが、甘やかす代わりに手を繋いでいつもの場所までの道程を楽しんだ。






 



某所で盛り上がり(一部暴走?/笑)を見せたレナノラです。
茶中に勢いだけで初書きです。お目汚し!ガクガク(((゚Д゚)))ブルブル
まったり想像したことはあったのですが、あまりの純粋ほのぼの具合に
『アタシにゃ書けネェ!!』と逃亡を図っていたカップリです。
いや、最近の原作見てるとさぁ・・・・・・有りじゃネ?っていうかむしろ有りでしょ??!
みたいなヽ(*´▽`*)ノ
・・・・・・・・・・・・・・・済みません。あまりの偽者っぷりにフライング土下座。
大人の余裕のレナ様を誰か紹介してください!!!(爆)








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