無彩色感性。



 比較的、何でも出来る方なのだという自覚はある。
 少なくとも、同世代の者よりは。
 場合によっては目上の者よりも。

 だから 大概のものは目新しくも無く、眼前を過ぎ去ってゆく。
 改めて手を伸ばすことも、ましてや構う事も無い。

 自分に必要の無いものは全て斬り捨てる。
 『馬鹿馬鹿しい』
 この一言で大概片が付く。
 自分でも面白味の無い人生を形成しているとは思うが、一度腹を括るといっそ清々しくもある。
 様式美より機能美を追求した生き方だ。

 無彩色で良い。特に不便は無い。

 ―――目に映る全ては、区別する必要性すら感じさせない。

 なんて無味乾燥な人生なのやら。
 しかし、自分の意思で選択した『自覚のある』生き方を選んだ。
 その事に後悔は無いし、これからもするつもりも無かった。


 ・・・・つもりだったが。
 ごく最近、手元に色彩を放つモノが転がり込んで来た。

 人間の姿をしているくせに、今まで見た事も無い生き物が。
 知識の中にはあっても、実在することなど真っ向から否定してきていた存在が。

「何とも派手な色だな、貴様の目は」

 大型犬のくせに、吠える様は小型犬もかくやといった風情で。
 威嚇に鋭く吊り上げられた眦が、人のは無い輝きを宿す。

 身に備える全てが、自分の知っているものとは異なる。
 人に在らざる瞳には、この世界はどう映っているのか。

 既に世の中の理を一通りは把握したつもりで価値観を閉じた人生だったが、改めて色をなす者を傍らに配すれば
また見方が変わる。
 
「俺は自分の損得勘定にしか従わない」

 そして、その価値基準を決定するのもまた 己に他ならない。
 劇的に変化するモノの価値―――その中心が面白いほどに変化する。

 自分に、これほど強く求めるものが出来るとは それこそ夢のも思わなかったことだ。

 急激に鮮やかさを得る世界。
 何よりも欲しいものだと、自覚する。


「オレはてめーなんか嫌いだ!大っ嫌いだっ!!」

「そうか、それは良かったな。生憎と好き嫌いで判断する権利は貴様には無い」

 鮮烈な 世界の価値を知り、今を生きる事の意味を知る。

 この人生は、想像以上に上々だ。







うっかり掘り出し。
超初期の一磨さん独白駄文。
わーを。
書き逃げ☆




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