肉片のぶちまけられた通路で 男が嗤う。

「殺しても価値のない奴ってつまんないねぇ・・・・・・・
 生きてても死んでても役立たずなんてゴミ以下だよ」

 同じく通路に立つニックスは 些か物言いたげな様子を見せたが、どうせ死んだのはあくまでも捨て駒に過ぎない末端の構成員だ。
 殺した事にどうこう ではない。

「その点ケルベロスは完璧だよね
 どっちにしろ楽しませてくれるんだから・・・・」

 ネルが喜悦を浮かべるその先―――微かな同情でも沸いたのかも知れない。
 喉を振るわせて笑う伊達眼鏡の悪魔に 二人の視線が向いた。




勝手に捏造 第16話

−今月のネルさん未だかつて無いぐらい
格好良くない!?? と自問自答中−






「ネルはホンマにケルベロスにご執心やな・・・・・」
 あの嬉しそうな顔 見た?

 問われたタイロンはそれまでの沈黙を守ったまま首肯する。
 反乱組織のメンバーとしては少し逸脱した執着具合は腑に落ちないが、だからといって その事に対し何か思う訳でもない。
 元々 魔王軍に潜り込んでみたりと、他とは違う行動を取っている事が多いせいもあるが。
 ニックスと共に通路を渡りながらタイロンは、全く別の事を考えていた。

 確実に成長を遂げるケルベロスに、次にまみえる事が叶うのは何時か。
 ただそれだけを、ひたすらに。








「放せっ!放しやがれ リヴァン!!」
「暴れんな。落としますよ ウゼェから」
「うるせぇっっ!!」

 ビルからビルへ 跳ぶように移動する中、リヴァンの小脇に荷物のように抱えられたノラが身を捩る。
 魔流をコントロールして身軽に移動する術は どちらかというと基本の術だ。
 それすら出来ないノラを馬鹿だと思う反面、この美味しいシュチュウエーションにはリヴァンなりに漁夫の利を得たのも確かで。
 ギャンギャンとがなるノラに 酷く面倒くさそうに吐き捨てながら、言葉とは逆に 腰に回した腕に力を込めた。

 ―――細い、と思う。
 最初 抱え込んだ胴回りの細さに、体重の軽さに 僅かに衝撃を受けた。
 魔界に居た時よりも細くなった腰。
 引き締まったと云うには ノラの全体的なフォルムは子供の頃のソレから大きな変化はない。
 元々シャープな作りだからか。
 それとも あの適性者の容赦の無い教育方法の為かは分からないが。

「だから、降ろしやがれぇぇぇぇっ!!」
 上がる絶叫は 聞かない振りをして。




 あの河原で 一磨が消失した時、一瞬の隙をついてリヴァンはノラをひっ掴み その場を離れた。
 ノラは『逃げ』だと主張するが、リヴァンからしてみれば当然の戦術的撤退で。
 契約者が消えた理由も分からなければ ノラの魔力がどうなったのかも予測不能だ。
 魔法の一つも使えない中で、魔法具のみでどうにかなる相手ではない。
 下手をすればその魔法具すら消えかねない状況で、ネル そしてタイロンという名の2人の反乱組織相手ではどう考えても分が悪い。
 大口を叩いて人間界に残ると主張した以上、戦闘自体には手を貸す気は更々なかったが あまりにも状況が悪すぎた。

 ―――そこんトコ、理解出来てねぇんだろうなぁ。

 喚くだけに飽きたらず、中空移動の危険も省みず暴れ出したノラを放り出しながら リヴァンは名も知らぬビルの屋上に足をつけた。
 その背後で痛みに呻く声が上がる。

「いきなり手ぇ放すなよ てめぇは!」
「放せ降ろせって暴れたのはアンタだろ」
「ぅぐ・・・・っ」

 完全封身状態とは云え人間の身体能力など遙かに凌駕した しなやかな身のこなしで尻から着地を果たしたノラは、八つ当たり混じりに早速リヴァンへと噛み付いた。
 しかしそれも軽くかわされれば 言葉を飲むしかない。
 言いたい事は山程あるが上手く言葉にならないのだろう もどかしげな表情を 生気のない眼で確認しながら、やがて姿を見せるであろう同僚の魔流を探る。

 ・・・・リヴァンの魔流の流れが、変わった?

 ノラが弾かれたように顔を上げた先 屋上へと繋がる金属扉が錆び付いた音を立てて開く。

「遅せぇ」
「馬鹿を言うな。いきなり予定地点を無視しておいて」

 姿の見えていない相手に辛辣な一言を。
 やる気の失せた顔でリヴァンがフェンスに背を任せれば、額を押さえたレナードが屋上へと足を踏み入れた。

「レナ・・・・・ド、って 何でてめぇまで残ってんだ!??」

 てっきり自分が魔界に帰らない―――このまま施設に逆戻りは嫌だ―――という話に決着が付いた時点で戻っていると思っていたのに。

「其処の死んだ魚のような眼をした男が 暴走しないように見張っているんです」

 頭も痛いが胃も痛い、と表情から読みとれそうな程の苦渋を浮かべる顔に ノラの犬耳・・・・に見える髪も項垂れる。
 キレたリヴァンの節操の無さは身をもって体感している為、掛ける言葉もない。

「俺の事よりノラ様だろ?」

「オレはテメェ程 見境無くねぇよ!」

 普段と変わらぬ様子で扇子を打ち振るえば、今し方までカジュアルだった服装も 瞬時にして軍服へと変わる。
 それはレナードも同様で、再びノラが視線を向ける頃には見慣れた牡鹿の相貌が存在していた。

 つい先日、今と同じ状況で話しをしたの記憶がノラの脳裏に蘇る。

「―――又、魔界に帰れって 施設に戻れって言いたいのかよッ・・・・!」
 キリッと音が聞こえそうな程に歯を食いしばって。

「端的に言えばそういう事です。契約者が消失した今、魔王様も主従契約を解除する事に問題はないはずです」
「けどオレは・・・・・!」
 前回と同じ口調で同じ事を。
 ただ違うのは 今回は一磨が立ち聞きをしていない事。
 ノラの脇に降ろされた拳が殊更強く握り込まれる。

「で。人間界で強くなる、って 魔法すら使えない状態で一体どうするって言うんです?」
 契約者がどうなったかすら確認出来ねえのに。

 暗にそう口にするリヴァンに 嫌そうな目を向けて。
 だが、ノラの掌中に残る魔法具は 今の所消える様子を見せない。

 しかめっ面のまま 上空を振り仰げば、あの閉鎖空間には無かった青空が視界いっぱいに広がった。

 戻りたくないのは あの空間が嫌なだけじゃない。
 自由が無いのは、まだ自由になれないのは 何処に居ても同じだという事は既に理解している。
 だったら・・・・だったら何で、人間界に居なければならない気分になるのか。
 どうして、ここなら強くなれる気がするのか。

 悩んだ末に弾き出された結論に、キュッと唇を噛み締める。

「・・・・・・アイツは、戻ってくるだろ。何処に行ったかは知らねぇけど・・・・・・・」

 誰にも視線は合わせない、だけど確かに口にされた言葉に レナードは目を見張った。

「オレに『吠え面かかせる』とか言ってやがったしな。吠え面って、アレだろ?悔しがる・・・・とかそういう意味だったはず・・・・」
「えぇ、確かに」
「ンなこと言いやがったんだから、戻って来るだろ。アイツが あんな程度でどうにかなるようなタマかよ」

 ぼそぼそと自分への言い訳のように言葉を紡ぐ その瞳は確信に満ちていて、レナードはノラの成長を目の当たりにしたことを酷く喜ばしく思う。
 拒絶しているようで居て、それでも確かに育まれている 契約者との絆に 微かに表情も綻ぶ。

「ノラ様―――」
 
 感慨深気に呼び掛けたレナードを言葉を遮ったのは しかし、当人であるノラの続く発言だった。

「アイツどう考えても普通じゃねぇしな。コッチに残って 戻って来たトコロで返り討ちにしてやるぐれぇしねぇと堪えそうにねぇ!」

 今までの仕打ちの仕返しをしてやるんだ!と意気込むその勇姿に レナードはガックリと肩を落とした。



 楽しそうな笑みを浮かべるのは、リヴァン唯一人のみ。












なーんちゃって第16話。
月ジャンネットのプレビュー見て慌てて日記ブログにUPしたのですが
回収が遅くなりました.。.:*・゜.。.:*・゜☆
それにしてもネルさん今月号の格好良さはどうしたものかと
書きながらドッキドキですよ!!
実際に16話読んで尚更悶えましたが!!
この人マジ格好いいよ!ヤバー!!(屮゚∀゚)屮
思わずウハウハしましたよコンビニにで!!!!(*´д`*)ハァハァ



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