いきなり次回予告
第二弾?



『  ある日、ノラはリヴァンが自宅で猫人間になっているのを発見した!
  「ノラ〜?…何でいきなり大きくなってんの〜?」
  その事実に、本人は全く気付いていなかった…

  余りの可愛さにほだされつつも必死に平静を保とうとするノラ…
  その時リヴァンは窓の外を見つつ、暢気に鼻歌を歌っていた…

  次回「リヴァンはご近所の一磨の実験台だった!?
  夢はノーベル賞の賞金で5円チョコを買うこと…」
  謹んでご覧下さい… 』







 一磨が母屋に荷物を置きに行く間 くつろいでいるつもりだったノラは、思わずその場にガックリと膝を付いた。

「………ッ!!」

 目の前にある真狩家離れの縁側に、少々大きな物体が尻尾まで丸めて陣取っていた。
 放課後を染める夕日が、透き通るようなうす水色の神を緋色に染め上げ、まるで別の生き物のようにも見える。
 ゴロゴロと日向ぼっこを楽しむ―――いや、その表情はいつもの通りの無気力具合で楽しんでいるのかどうかは定かではないが、普段の触覚(?)に変わり猫耳の生えっぱなしのリヴァンが居た。

 数日前から、何の因果か猫耳に尻尾までついたリヴァンがノラの元へ転がり込んできた。
 転がり込んできたとは云っても例の宿直室などではなく、真狩家の一室に。
 そこは多磨緒たっての希望でノラ専用と名の打たれた離れの部屋だ(とは言っても、実際にノラがこの部屋で寝た事は殆ど無い/笑)

 当初から落ち着き払った雰囲気を垂れ流し……と言うよりはあまり頓着しない様子ではいたのだが。
「リヴァン……てめー元の戻る気あんまりねぇだろ……」
 ここまで順応されると、逆にノラの方がダメージを喰らいそうだ。
 可愛くない可愛くない!!
 猫人間になったとはいえ、リヴァンの身長はノラよりも遙かにデカい。
 少々縮んだぐらいでは猫サイズには到底成れはしないのだ。
 それでも確かにノラよりは低く……成っているのかもしれない。
 ノラの気配で起きていたのか、脱力した呟きに リヴァンの声が返った。

「あー。………そんな事は、ねぇ?」
「何で疑問系なんだよ!!」
 反射的に視線を上げるが、リヴァンは視線すらノラに向けることなく 縁側に降り注ぐ暖かい日溜まりの中に身を浸している。
 最初にノラの元へ来たときに確認は取っている。
 肉球はない。
 だが 姿が似れば内面も猫らしい気質に染まっているのか、釣りをしようと云う様子は伝わってこないのだ。
「ノラ様うるせぇ。落ちついて寝れやしねぇ…」
「落ちつくな!寝るな!!いつまでそんな格好で居やがるつもりだ クソボケ!!!」
 最初は、また魔王の良からぬ悪戯だろうと言った一磨の言葉に頷き 同時にすぐ彼の有能でお小言魔神の副将軍が迎えに来ると思っていたのだ。

 それが、何故か―――
「バリクの野郎も何でさっさと探しに来ねぇんだよ!!」
 既に3日が経過しようとしているのに、誰一人姿を見せない。
 バリクどころか、レナードですらも。
 しかし元よりその程度の事に動揺する訳もないリヴァンは、ここぞとばかりに悠々と羽を伸ばしている。
「そんな事オレが知るか」
 俺が居なくても水軍は何とかなる、といわんばかりの言動は 軍属でありながら職務に触れる事すらなかったノラですら眉を顰めそうになる。

 どうせ今日もこのままだろう、と諦め半分で立ち上がり掛けたノラを 新たな影が覆った。 
「良い御身分だな」
 うちの母親の料理は美味かろう? と感情の揺らぎなど露程にも見せぬ声が背後から届く。
 確認するまでもない、荷物を置いた一磨が様子を伺いに来たのだ。
「猫だからって、魚料理ばっかりなのはたまんねーけどな」
「ほほぅ。その姿になっても食の嗜好には変化無しか」
 立ち上がる事すら出来なかったノラを挟んで、妙に冷ややかな会話が繰り広げられる。
「……何でてめーがアイツの好き嫌いまで知ってんだよ…」
 そんなもっともな呟きは当然黙殺されながらも、慣れたものでノラもあえて藪を突くマネはしない。

「で。解毒剤は?」
「手に入った。放っておいても もう2・3日で戻ると言っていたが?」
「そろそろ釣りもしてぇ」

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 交わされた会話に、ノラの脳みそは軽くパンッと音を立てた。

「―――ちょっと待て。そのイカレた格好は、てめーが原因か!??」
「狙ったのは暴走駄目男では無かったんだがな」
「イカレた格好は聞き捨てならないですよ、ノラ様」
 いきり立つノラに、二人はそれぞれの言い分をサラリと返す。
「確かに貴様よりは馬鹿犬の方が似合っていただろうな」
「元がそういう感じだからな。俺から言わせれば今更だ」
「貴様が邪魔をしなければ……面白い趣向を考えてもいたんだが」
「水饅頭に薬仕込んだそっちの手落ちだな」

 要約すると?
 一磨がどこかから仕入れてきた猫化の薬をノラに盛ろうとして水饅頭に仕込んでいたところ、それをリヴァンが無断で食べた、と。

 ・・・・・・・・・・・あー、それでリヴァンの野郎が転がり込んで来てても文句言わなかった訳か。

 その内容に、ノラは自らの不遇な現状と バリクの苦労を少しだけ味わった気がした。








 入所先は恐らくケトケトだろう、解毒薬。
 果たしてリヴァン様のお口に合うのかは分かりません!

「5円チョコよりはコーラを買い占めたいところだが」
「それより、母屋と離れって近所って言うのか?」

 謎が謎呼ぶ物語。
 次回なんてある訳無いです、それではまた☆



「将軍!早く仕事しに戻ってください!!」

 以上、魔王軍総本部 水軍執務室からの悲痛な叫び、お届け致しました。





BACK→