after day |
夏に弱く、冬も弱い。 全くもって環境対応の出来ていないノラに、一磨は時折奇妙なモノを見るような気分になる。 爬虫類でもあるまいに。 如何に尾が蛇であろうと、本体は犬のくせに。 ―――そんな思考が脳内を占める。 だから余計に驚いたのだ。 朝からふらりと出て行って、夕方になり 生徒会室に姿を現したノラの夏バテ症状からスッキリ開放されたような、その様子に。 「何処へ行っていた、馬鹿犬」 「オレ様は犬じゃねーっ!何処でも良いだろーが、俺の勝手・・・・」 「『禁ずる』」 「ぐえっ!」 一磨への返答も、それ以降の遣り取りもテンポ良く。 きっちり強制土下座ポーズまで持ち込んで。 朝は確かにもっとぐったりしていたのに。 「何があった?」 「水の近く・・・・あー、海ってトコに行ってたんだよっくそっ!」 締め上げられるのが相当こたえるのか、禁止コマンド行使後は必ずといっていい程ノラは首筋を気にする。 皮の内側に指を差し入れて 殊更空間を作るように手を動かす。 いつもの動作―――だった筈なのだが。 「・・・ぁ・・・・っ」 注視していなければ意識の端にも掛からなかっただろう小さく息を呑む声。 ある一点に触れた辺りで、ノラの手が不自然に停止した。 項寄りの、首輪にちょうど隠れるか隠れないの所に触れて 何かを思い出すように宙に視線を固定する。 そのまま、むー と顰められていく表情に、一磨の脳裏に閃くものがあった。 「で、誰に会った?」 「っ!?うえっ??」 ノラが反射的に一磨へと焦点を合わせた。 何も、言っていない。 海へ行ったと伝えただけで、何故『誰かと会ったか』などという言葉が出てくるのか。 リヴァンが、居た。 ノラにとっては ただそれだけの事だった筈なのに、別に疚しいこと―――例えば一磨を陥れる計画を立てたり―――等していないというのに。 妙に動揺した声を出してしまった。 単に驚いた、というだけではなく。 「ぃや・・・・・、別に・・・・・」 答えるタイミングを逃してしまったせいで、言い訳すらもしどろもどろになる。 そんなノラの泳ぐ視線を、一磨が見逃すはずもない。 「ナンパ男・・・ではないな。貴様が口ごもる筈も無い。魔王軍のヤツか。水軍の―――」 「誰もリヴァンなんて言ってねーだろ!」 「そうか。暴走駄目男か」 「・・・・ぁわっ!」 口走ってから、自分の失言に気付く。 まるでその簡易な誘導尋問の様な方法に易々と引っ掛かってしまった事を今更後悔しても、時既に遅く。 11cmといってもさして変わらない身長差を苦にすることも無く、一磨は未だ停止したままのノラの腕を奪い取った。 「なんっ・・・・!?」 「これは、宣戦布告ととっても良いという事だな?」 文句を言う暇もあればこそ、ノラの言葉を遮る様に一磨が誰にともなく問い掛けた。 首輪の影から、覗くか覗かないか ギリギリのラインに付けられたキスマーク。 普通に接していては気付かないような 際どい位置なのが、唯一気付くであろう一磨に対する挑戦で無くてなんだと言うのか。 「何がだよ?―――っつーか、誰がそんな・・・・」 とられた腕を取り返そうと足掻きながら、何がそんなに気に入らないのかと 怪訝そうなノラの様子に、一磨はこれ見よがしに溜息を吐く。 「お子様には分からん」 「てめーのがガキだろーがっっ!!」 叫びながら掴まれたままだった腕を奪い返して むっつりとむくれる姿に、何処が子供でないのかむしろ説明を求めたくなる。 キスマークを付けられたことも、恐らくその時有っただろうリヴァンによる過剰なコミュニケーションも、全く理解出来ていない。 きっと、現時点で一磨が把握する以外にも、接触を図ろうとする輩は多いのだろう。 「俺がガキならば、貴様は幼児か赤子だ。少しは身の危険を感じろ、駄犬」 「だから、てめーが一番危ねぇんだよっ!」 俺のこと虐げてんのは、てめーだーっ! それに犬でもないっ!!・・・・・・とお決まりの台詞を吐きながら。 ―――そういう台詞を俺に対して言うことが『身の危険』を感じていない、ということなんだが。 最早、魔界での教育に『性教育』だの『保健体育』だのを求めた自分に落ち度がある、と嘆息しながら 一磨はいつもと同じように禁止コマンドを発動した。 |
夜来様へ寄贈させて頂きます。
30000HIT有り難う御座いました!!
大変遅くなってしまい誠に申し訳ない限りです………・_| ̄|○ しかし一年以上って……。
ノラ様総受風味で『温かい水で溺死 の後日談風』とのリクだったのですが、
不発気味で本当に申し訳御座いません!ガクガク(((゚Д゚)))ブルブル
そしてオマケが何処ぞにあります。
興味のある方はどうぞ。
06/01/30寄贈
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