- ■心筋症(肥大型・拡張型・拘束型)
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心臓の筋肉(心筋)に異常が起こり心臓が正常に働くなる病気です。
老齢猫になると心臓の筋肉が変性を起こす心筋症になりやすい傾向があります。 |
- 猫の心臓病のほとんどが心筋症で、猫の心臓病の98%はこの病気です。
「肥大型」「拡張型」「拘束型」の3タイプに分かれ、猫の場合は、肥大型が多くみられます。
いずれの場合も必要とする血液が心臓から出なくなり全身の臓器が弱っていきます。
原因はまだ所不明ですが、ウイルス感染症、自己免疫疾患、遺伝的な要因などが疑われています。
急激に悪化傾向を示す為、早期発見・早期治療が重要とされています。
- @肥大型心筋症(HCM)
猫では最も発生が多く、6ヶ月〜16歳までと幅広い。
若い猫または6〜10歳くらいの猫がなることが多く、体格の大きいオス猫が多いようです。
ペルシャ、メインクーン、アメリカンショートヘアーなどがなりやすいともいわれています。
特に血栓が出来やすいようで、吐き気があることもあります。
心臓の壁(心筋)が厚くなり左心室が狭くなります。送り出す血液の量が減ります。(拡張機能不全)
A拡張型心筋症(DCM)
- 6〜10歳以上の猫に多く、特にシャムネコやアビシニアン、ビルマネコなどがなりやすいようです。
この心筋症では体温が低くなり、脱水症状がみられることがあります。
心臓の内腔が薄くなり左心房や左心室が拡大します。血液を押出す力が弱まります。(収縮機能不全)
- 他の心筋症に比べ血栓が起きにくいようです。早期治療を受ければ回復します。
多くの場合、食事中のタウリンが足りないことが原因です.。現在では、減少しているようです。
B拘束型心筋症(RCM)
10〜12才以上の老齢猫に多いです。
心臓内部を覆う繊維質の膜が厚くなり、左心室が十分に広がらなくなります。(拡張機能不全)
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- 以下のようなサインに気づいたらすぐに病院で心臓機能の検査をしましょう!!
- ・食欲がなくなる(食欲不振)
・元気がなくあまり動かずにじっとしている(運動不耐性)
・呼吸が荒い(肩または腹部が激しく上下する)
・空咳をする(興奮時や運動時、朝夕に頻度が増す。吐こうとするようにも見える)
・後ろ足がふらつく
・後ろ足の肉球が白くなっていたり、爪を切りすぎても血が出ない
・歯肉や舌の色が白っぽい又は紫色になる
・突然失神した
・体温の低下
・尿が濃くなる。尿量が少なくなる。
- 症状の進行が早く、ある日突然発病し、1〜3日以内に急激に悪化する事があるので、出来る限り早期治療をする必要があります。血栓症を起こすと、前足や後ろ足が冷たくなり、動かなくなることもあります。
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- 身体所見、聴診、レントゲン(胸部X線検査)、エコー検査(超音波検査)、心電図など行われます。
エコー検査で心筋の厚さと心臓内腔の経を測定することが最も有効的な方法といえます。
また、血液検査の結果、CK(クレアチンフォスフォキナーゼ)の値が高い場合には疑いがあるようです。
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- どの型の心筋症も、心臓の働きを助ける薬や、それぞれの症状をやわらげる薬を与えて治療を行います。
肥大型の場合、心臓の収縮力を抑え、血管を拡張させる薬剤を投与して心臓を休息させ、同時に、凝集機能のある血小板の働きを抑える薬剤を投与して血栓を作らせない治療を行います。
塞栓症を起こした場合は、薬剤投与によって血栓を溶かす方法や、患部に超音波を当て血栓を砕く方法、さらに手術して血栓を除去する方法があります。
しかし、すぐに血栓を除去できなかった場合、進行が速ければ、わずか1日でマヒ状態となります。
また、手術による療法も成功率はあまり高くないようです。
拡張型の場合、心臓の収縮機能を抑え、血管を拡張させる薬剤の治療法が有効で、早期治療を受ければ回復します。
拘束型心筋症では、体を安静に保ち、肺水腫や胸水の治療を行います。
利尿薬や血管拡張薬を与え心臓の働きを助け、また血栓を予防する薬を与えます。
拡張型をのぞくと、一度心筋症になると治療してもほとんど回復は望めません。
特に血栓症になると、血栓を取り除いても再発することが多く、治療しても1年以上生きることはまれです。
また、心筋症では、治療を受けて経過の良い時でも、突然死する事があります。
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- 予防法はありませんが、普段から、猫をよく観察していて、「おかしいな」と、思ったら心音の確認をしてみたり、足をひきずっていたら肉球が冷たくないかチェックしてみてください。この病気は発症してから1日から3日で急激に悪化する事が多くあります。早期発見・早期治療を心がけましょう。
- 病気になったら気をつけること
- ・安静にします。(運動や他の猫とのケンカなどに注意)
・落ち着いた状態で呼吸数(お腹が上下する)を数えます。(上下で1回、10秒間に6回以下がよい)
- ・急激に寒い部屋、暖かい部屋などに移動するなど温度差に注意しましょう。
・ブラッシングで、血液循環をよくしましょう。
- ・ストレスがかからないように気をつけましょう。
・高温の季節に、直射日光があたる部屋や車などを密閉した状態にしない。
・心臓に負担のかからないバランスのよい食事を与える。(症状によって種類がある)
・食事で塩分の過剰摂取に気をつける。
・飲み薬の投与(薬は一生飲み続けなければならない)
・定期的な診察と検査が必要(レントゲン・エコー・血液検査)
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