腎臓の機能3分の2以上が正常に機能しなくなると腎不全という。健康時でも3分の1〜4分の1ぐらいしか働いてない。
腎臓の主な機能は、体内で代謝され不要となった物質と余った水を排泄する役目と、血液中の構成成分を調節です。
腎不全になると、老廃物を排泄したり、体に必要な液体や電解質を再吸収することはできません。
1度こわれた腎臓の組織は元に戻りません。そのため慢性腎不全になることが多く、年齢とともに機能が低下するので、特に高齢の猫に多いようです。気づかず放置すると尿毒症になるので注意が必要。
<急性腎不全>
数日間で症状が現れてきます。 急激に進行し数時間から数日中に悪化し、死亡する事も多い。
原因は、尿路結石・感染症(レプトスピラなど)・循環不全
<慢性腎不全>
数週間〜数ヶ月で症状が現れてきますが、数年かけてしだいに悪化していくので、気づかないことも多い。
初期の段階から食餌のコントロール(タンパク質・塩分の制限)が大切。
様々な原因があるが、腎炎等から移行することが多い。
- 【要 因】
- ・普段から塩分の多い食餌を与えている(腎臓が徐々に痛んで機能を低下していく)
・膀胱結石や尿路結石、腎結石を起こした(結石により、腎機能がダメージを受けやすい)
・細菌性の膀胱結石などがある(尿管を通して、腎臓が細菌感染しやすくなる)
・ウイルス感染(猫エイズや猫白血病ウイルスなど)
・腎臓の病気(腎臓自体が小さく萎縮してしまう)
・腎臓に腫瘍がある(腫瘍が大きくなり機能が低下する)
・先天的な腎機能不全形成など遺伝性や免疫低下
- 【症 状】
- 健康に見えるので気づかないことが多く、症状が出るのは、腎臓が悪くなってかなり経っているのが普通。
最初に気づく症状は、よく水を飲む、 尿の量・回数が増えることです。この時点では、猫は健康に見えます。
病状が進むと、水をたくさん飲んでも代謝ができず、体液や電解質のバランスを保つことができなくなります。この状態が尿毒症です。尿毒症になると、多飲、多尿に加えて食欲減退、嘔吐、下痢、脱水がみられます。
更に進行すると体重減少、貧血、口腔内潰瘍、骨の異常が現れてきます。
尿毒症を起こし、体温の低下、けいれんなどが起こると、1日か2日で死亡する事もあります。
急性腎不全の場合は、水を飲まなくなり、食欲不振がみられます。
※猫の「BUN」の正常値は元々高く(36mg/dlまで)、多少の上昇では食欲不振や元気がなくなることがない。
※水を飲むことで腎臓の機能を補おうとしていて、これにより数値の上昇を抑えたり正常値に戻る事もある。
- 【治 療】
- 猫の全身的な状態、回復能力、原因により、治療法は違います。血液検査と尿検査を行います。
急性腎不全は、点滴を行い電解質のバランスを正常に戻す必要があります。更に状態によっては、感染や嘔吐をおさえたり、失われた電解質を補充する治療も行います。
ほとんどの場合、腎臓機能が回復まで入院治療が必要とされます。
慢性腎不全は、完治はできませんが、病気の進行を遅らせることはできます。
利尿薬、点滴、手術等による尿路の開通などの治療を行う。
できる限り猫に水を飲ませるようにします。(嘔吐するときは、水を制限します)
獣医師による指示と管理が必要とされ、飼い主の看護が特に重要となります。
- 猫の必要に応じたタンパク質、ビタミンとカロリ−の含まれている食餌を勧めます。
- 【看 護】
- 慢性腎不全の多くの猫は、適切に管理されれば長期間生活して行くことができます。
腎不全の専用フードは、特別毒素を少なく調整されているが、食べたがらない猫が多いらしい。
基本は低タンパクの多水分です。手づくりのフードを与える場合は、獣医師に相談してみましょう。
水道水よりは蒸留水や井戸水がいいです。やかんで15分間、沸騰させてカルキ抜きした水でもよいでしょう。
- 【予 防】
- 早期に初期治療をするためには、若い時(3〜4歳位)から年に1〜2度、定期的に尿検査・血液検査を受ける、6歳からキャットフードの切り替えをする、多飲多尿に気をつけることが必要。
小さい時からマグネシウムなどをあまり含まないフードを与える。(結石を防ぐため)
塩分の多い食べ物を与えない。人間の食べ物を与えない。(腎臓に負担をかけるため)
清潔で新鮮な水をいつでも飲めるようにしておく。
外出を避け、定期的にワクチン接種を行いウイルス感染を防ぐ。
基本的な健康維持のための生活管理を行うことが必要。
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