子も親も医者もキツいけど、耳の診療はとても大事

調子の悪いお子さんはどのような診察が必要でしょうか?
親御さんへの問診によってある程度の診断はつきます。
当然、それでは不十分であり診察を受けなければいけません。
診察の方法もいろいろありますが・・・

ノドを診る:
扁桃の膿が付着しているなどの特殊なケースは稀で
粘膜の色調が少し赤いかどうかいうケースがほとんどです。
したがって無意味ではありませんが、それによって
得られる情報はあまりありません。

胸部の聴診:
気管支や肺の炎症はかなり悪化しないと雑音は生じません。
よってほとんどの方は聴診しても正常です。
逆に聴診で異常音が聴こえる状態はかなり重篤です。
残念なことに異常音から気管支炎の原因を特定はできません。

したがって以上の診察では病態把握は不十分ですが
これくらいにしておけば子も親も医者も楽です。
しかし、ほとんどが「ただの風邪」としか診断できません。
より正確に診断するためには・・・

ハナを診る:
このあたりからお子さんは診察を嫌がります。
しかも、鼻の入口から1〜2cmくらいしか見えません。
膿性の鼻漏が確認できれば、鼻かぜより悪化しているのは明らかですが、
なかなか確認できる場合は少なく、見逃しがちです。
副鼻腔のレントゲン撮影ができれば、鼻疾患の状態の把握ができますが
2歳以下はまず撮らせてもらえません。

鼓膜の状態を確認する:
中耳炎になっていれば、風邪が悪化して副鼻腔炎になっているのは明らかです。
つまり「ただの風邪」とは程遠い状態で、きちんとした治療が必要です。
耳垢がなければ、鼓膜は死角なく見えますし、診断的価値は非常に高いです。

しかし、ほとんどのお子さんは耳垢で鼓膜が正確には見えません。
耳垢がたくさん溜まっている子は、それを取ろうとすると、大泣きして暴れます。
頑張って取ろうとすると、親は「前の医師は優しかったのに、ここの医師は怖い」と感じ、
待合の患者さんたちも「ここは痛い治療をするのでは?」と不安になります。
ハッキリいって子も親も医者もメチャクチャキツい。
したがって、多くの開業医は、子や親や医者にとってキツイ耳垢除去はしません。

お子さんの嫌がることはせず、優しい医師を演じて適当な医療をする。
必要ならばお子さんの嫌がることをして正確な診断の下、適切な加療をする。
どちらが本当の「優しい医者」でしょうか?



耳垢を除去するとこんな状態になっていることも・・・・・
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