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          ○耳掃除はしなくてもよい? 
          確かに耳掃除をしなくても、古くなった耳垢が勝手にポロポロ耳の穴から外に出てくる人は います。 
          しかし、耳垢がたまって耳の穴を塞いでしまって難聴状態になる方が時々います。 
          さらにその耳垢が石のごとく硬化し、皮膚を削りとり骨が露出した悲惨な状態 になる方が稀にいます。 
          したがって、耳垢はたくさん溜まれば除去しなければなりません。 
          また、その逆に不要な耳掻きによって炎症をきたすケースもあります。 
          「耳掃除はしなくてもよい」は間違いで 
          「耳掃除をしなくてもよい場合がある」「不要な耳掃除はしなくてもよい」が正解です。 
          *なお「耳掃除はしなくてもよい。うちに来ればとってあげます。」 
            と言う耳鼻咽喉科医がおるようですが、 
          実際にそうすると、診療が耳掃除ばかりになり、本来の医療ができなくなるんでは・・・ 
          やっぱりなるべく自分または家族等が必要な耳掃除はして下さい。 
          ○耳掃除の方法は? 
          ・正確に観察するための機器について 
          まず、明視下に行うための機器を併用するか、 
          そういう機器は使わずに、手探りまたはなるべく明るく照らして行うのかを決めなければなりま せん。 
          もちろん明視下に行うのが理想的ですが、我々が使用しているような処置用顕微鏡を購入す るのは現実的ではありません。 
          したがって、簡易式ファイバースコープ(これも決して安くはない)を購入するかどうかという選 択になりますが 
          よほどそういうモノに興味がある方以外はお薦めできません。 
          実際数年前に私自身が試しに購入した簡易式ファイバースコープを久しぶりに出してみると 
          レンズの汚れがとれずに使い物になりませんでした(泣)  
          したがって、自分で耳掃除する際にはどうしても手探りですが 
          他の人がする際にはなるべく目線に近い軸の光源の下で行うのが良いでしょう。 
          また、そういう照らし方で見える、耳の穴の入り口からせいぜい1.5cmあたりまで掃除でき れば充分です。 
          その奥、鼓膜までの約1.5cmには基本的に耳垢は存在しませんし、 
          もし押し込んでしまったり、耳垢以外のものがあるようなら耳鼻咽喉科医に任せましょう。 
          ・掃除する方法 
          器具の基本動作によって、@掻き出す、A吸引、B粘着、C把持(つかむ)に分類できます。 
          @掻き出す  
                             伝統的な耳掻き 
          最もオーソドックスな方法で、多くの医師が勧める「綿棒でしましょう」もこれです。 
          実際、細綿棒は掻き出すのに適した形状ではなりませんので、 
          古くからある、いわゆる「耳掻き」にさまざまな工夫がされ、次から次へと新たな商品が登場し ています。  
          いわゆる「西洋耳かき」:先が鈍なので刺さりにくい。硬いので痛みを感じる人もいる。 
          MiMiDAS   
          螺旋(らせん)式 ゴムの耳かき   
          これは、近所の薬局で368円で売ってました。 
          コストパフォーマンスは最もいいかも? 
          A吸引 
          基本構造は電気掃除機と同じです。  
          ただ入れただけではほとんど除去できません。 
          先についている柔らかい筒でへばりついている耳垢をはがすようにすると結構とれますよ。 
          一時はホームセンターで山積みされてましたが、なぜか最近は見かけない。 
          これに振動&掻き出し機能を付加したものが発売され、これはかなり良い感じです。  
          B粘着 
          商品名「ねんボー」などがあります。 
          ただの綿棒よりはいいと思いますが・・・ 
          C把持(つかむ) 
          これが耳掃除の本命。我々もこの方法です。 
          しかし、キチンと見えないことにはつかめないという宿命的な問題があります。 
          未だに全ての人の耳垢が確実にとれるモノはありません。 
          医師に立場から、リスクを考慮すると「綿棒でしましょう」というべきかもしれませんが、 
          許容できる範囲で試行錯誤し、自身に相性のいい器具をいくつか見つけ、 
          それらを適宜組み合わせる事が望ましいと思います。 
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