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Web版 中学社会科指導大事典

公民・経済・政治他

11.消費税はある方がいいか,ない方がいいか  赤石賢司氏実践

−2つの資料で問う−


小川 晶子(TOSS☆JHS関西)

『日本教育技術方法体系 第14巻 中学社会科指導大事典』をwebコンテンツにした。赤石賢司氏の論文である。なお,この論文作成時は消費税が3%であった。

消費税について授業する。

黒板に,大きめの字で板書する。

消費税

『何て読みますか。』
すぐに1人の生徒を指名する。「しょうひぜい」と答えた。『よく読めました』とほめる。その後,次のように問う。

発問1 消費税とは,どんなときに,だれが,だれに払う税金のことですか。

指示1 それぞれ,ノートに書きなさい。

先ほどの板書の下に,書き加える。

(どんなとき)                                                                            (だれが)                                                                               (だれに)                                                                   

3分したら,列指名で答えさせていく。まずは,「どんなとき」についてである。

以下の答えが出た。

「品物を買ったとき」「商品を買ったとき」

答えが出終わったら,ゆさぶる。

『床屋に行って,髪の毛を切ってもらいます。その時,消費税をとられます。でも,品物や商品を買ってないですね。あるいは,タクシーに乗ります。料金払います。タクシーを買ったわけではないですよね。』

生徒,グッとつまる。一息ついて問う。『そういう場合は,何を買ったといいますか』

生徒から,「サービス」という声が出る。

『そうですね。モノやサービスを買ったとき,でいきましょう』とまとめる。

次に,「だれが」について,列指名で答えさせる。

以下の答えが出た。

「国民」「買った人」「消費者」

『モノやサービスを買った人を消費者といいます。消費者が払う,でいきましょう』とまとめる。

次に「だれに」について,列指名で答えさせる。

以下の答えが出た。
「国に」「政府に」「レジの人に」「店の人に」

次の話をして,まとめる。

『100円のジュースを買うと,3円消費税をとられます。その3円を持って,みんなはどこかの役所へ行って,払いますか。そうじゃないですよね。といって,店の人が,その3円を使って何かみんなのために仕事するというわけでもないですよね。消費税は,消費者が店の人に払い,店の人が政府に払う,というしくみになっています。このような税を間接税といいます』

ここまでは,ささっと流すといいだろう。

次に,発問する。

発問2 消費税は,あった方がいいでしょうか,ない方がいいでしょうか。

指示2 ノートに自分の考えと理由を書きなさい。

5分後,まず,どちらの考えを持ったかたずねる。挙手で人数を確かめる。結果,「あった方がいい」・・・5名,「ない方がいい」・・・35名となった。

次に理由を問う。

まず,人数の少ない「あった方がいい」派から。以下の理由が出た。

・消費税は,将来何かの役に立つ。

・CDとかが安く買えるようになったから。

・老人福祉のために使われるので,自分が老人になったときに助かる。

・物品税が廃止されたので,電気製品や自動車が安く買えるようになった。

次に,「ない方がいい」派。以下の理由が出た。

・財布が重くて大変だ。

・1円玉を出すのは面倒だ。

・細かいお金が必要なのでやだ。

・2円足らないだけで売ってもらえなかったことがあった。

・収入の多い人も少ない人も,払う税が同じなのは不公平だ。

・食料品を買うときも払うので,収入の少ない人は税が増えて大変だ。

意見がすべて出終わったら,資料1「朝日新聞」1989年3月23日付記事・資料2「朝日新聞」栃木版1989年4月8日付記事を配布する

(省略)。

資料1・2をともに教師が範読する。その後,言う。

指示3 資料1・2を読んで,消費税についての自分の考えをノートに書きなさい。

5分ほどしたら,何人かの生徒を指名して,発表させる。

・老人福祉のために役立つというけど,老人の生活は苦しくなっている。消費税はない方がいい。

・老人とか子どもとかからもとるのは,かわいそうだ。

・所得のない子どもや少ない老人からも,多い人からも同じ税率でとるのは不公平だ。

・金持ちからもっととって,消費税はなくしてほしい。

・1万円も2万円もとられるわけではないのだから,多少のことは我慢すべきだ。

ここで,もう一度問う。

発問3 消費税はあった方がいいですか,ない方がいいですか。

挙手させる。「あった方がいい」・・・2名,「ない方がいい」・・・38名となった。

「あった方がいい」派の生徒に,「鬼」「冷たい奴だ」という声が出る。

次に,資料3を配布する(省略)。

資料の内容について説明する。

『政府は,消費税実施にあたり,図のような主張をしました。老人の生活は,20〜64歳までの働ける人の給料の税金が支えています。1985年は,5.9人で1人の老人を支えています。それが30年後の2020年には,2.3人で1人の老人を支えることになります』

一息おいて,問う。

『みんなは,30年後何歳ですか』すぐに,「44」「45」と答える。

『ちょうど働きざかりですね。消費税を実施しないと,30年後,働きざかりのみんなの税金は,今の3倍も重くなるんですよ』

発問4 それでも消費税はない方がいいですか。

「うわ〜,困った」と生徒。

もう一度挙手させる。「あった方がいい」・・・12名,「ない方がいい」・・・20名,「わからなくなった」・・・8名となった。

指示4 消費税はどうすべきでしょうか。「あった方がいい」と考える人は,問題点に対する改善策を,「ない方がいい」と考える人は,消費税の代案を,それぞれノートに書きなさい。「わからなくなた人」は,どちらでもいいです。自分の考えを書きなさい。

3分後,何人かに発表させる。改善策として,次の意見が出た。

・老人には,「老人証明書」を発行して,レジで消費税をとらない。

・食料品は,消費税をとらない。

・5歳以下の子どもは,消費税をとらない。

・金持ちの人の税率を3%から10%にアップする。

代案として,次の意見が出た。

・金持ちの人の税率をアップして,たくさん税をとる。

・政治家をへらす。

・防衛費をへらす。

・無駄な出費をへらす。

ここで,チャイムがなり授業を終えた。


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