美作「吉井川」

 

 「美作の国、吉井川」って聞き覚えありませんか。昔のことですが、NHKじゃない連続テレビ番組の題名だったと思います。
 
角倉了以吉井川の川運をヒントに高瀬舟を始めたとかで、日本の川下りの原点ともいえる川ではないでしょうか。
 
源流は岡山県北の恩原高原で北東部の山々から水を集め、「はだか」の奇祭で有名な西大寺から児島湾に注ぎます。平成10年の大水で牛が瀬戸内海牛窓沖の小島まで流されて救出されニュースになりました。この牛は「奇跡の牛」として「まきばの館」に引き取られました。
 
 川を下るには流れに乗ればすみますが、上るとき、瀬では岸から綱で舟を引っ張り上げました。川岸の岩には綱で擦られた痕があるそうです。
 

 川下りは津山市から柵原町が定番コースです。津山市中心部の今津屋橋の下からスタートすると、右手に作陽学園の丘を見ながら東へ流れます。大きく迂回して蛇行する流れが西へ向かうと支流の加茂川と合流し水質が改善します。川の中の岩は浸食され変わった形になっています。増水してもしなくても簡単な川下りです。日上橋、金屋橋を過ぎ、しばらく進むと柵原町に入ります。
























 川沿いの道は常にどこかで工事しています。昭和54年の大水害は100年に一度の災害といわれ、それから水害対策で川沿いの道を高くしています。平成10年10月の台風10号はさらに大きな被害を出したので、200年に一度の災害だったのでしょうか。集中豪雨を受けやすい地形なのでしょう。広戸風という不思議な風が吹く地域も近くにあります。
 支流の加茂川にはダムがありますが、本流は、堰堤や恩原湖はあるもののダムというほどの施設はありません。美作三湯の一つ、足踏み洗濯で有名な奥津温泉の下に苫田ダムの建設が予定されていますが反対運動が激しく中々着工できなかったのです。米国でダムが禁止され、平成10年10月の台風10号の際、旭川ダムの決壊ともいえる大放水での水害をまのあたりにし、百害あって一利なしとまで言われはじめた最近、順調に苫田ダム建設工事が進展しつつあることに不思議を感じます。
 ゴールの柵原町はかつて東洋一といわれた硫化鉄鉱の鉱山で大変繁栄した町で、瀬戸内海の片上港まで鉄道も走っていましたが、今ではどちらもありません。
 川下りについては、さすがに昔から川運で栄えた川で、難所はどこにもありません。鉱山横の瀞場を漕ぎ、橋を過ぎると左岸がゴール、約20kmの快適な川下りです。
 

 ここから下に河原屋の堰があります。堰は左岸に魚道があり、ライニングダウンできます。一度降りずに下ったことがありますが、結構危険でしょう。堰の下はゆっくり流れ、台風10号で流された旧片上鉄道の鉄橋跡を過ぎると、周匝の橋、支流吉野川との合流点です。
 
吉野川は大きな支流で10kmほど遡ると湯郷温泉です。新しい元湯のほか入浴施設が有り、、湯郷の橋の袂「国民宿舎みまさか荘」の対岸に町営の露天風呂もあります。温泉街の橋には白鷺の噴水が設置されています。吉野川は下れる川ですが、ところどころに堰があり苦労します。
 周匝の橋左岸に土手を走る道があり、探せば吉野川の河原に降りられるところがあります。少し遡りますが、増水していなければなんとかなります。以前、増水した川をここまで下ったことがあります。最後に吉野川を遡るのに全ての力を使い果たしたことを思い出します。このときは平均時速15km/hでくだったかな。難所はありませんでした。
 

 周匝から下も流れています。難しい瀬はありませんが、流れが二股に分かれ、どっちにいてもいいような瀬がありましたら慎重にスカウトしてください。右側の流れの中に鉄筋を見た覚えがあります。ただし、大水の前なので、今では残っていないはず、誰か新設しない限り、です佐伯を過ぎると田原堰のBWに入ります。田原堰の下流は和気です。和気で支流の金剛川と合流します。吉井川は上流に大きな町があるため水質はあまりよくありませんが、下流は以外ときれいです。和気、熊山を過ぎると瀬戸町万富、キリンビール岡山工場があります。そうです、岡山のキリンビールは吉井川の水でできているのです。太古の兵は水あたり防止のため、遠征地でビールを作り飲んだそうですから、水質は関係ないのかもしれませんが、伏流水の北陸産と比べても遜色の無いビールができます。
 新幹線の下をくぐると次は備前大橋、貯まった水は左岸の舟通しからクラスVの激流となって落ちる予定ですが、普段は水量がないので恐らくライニングダウンでしょう。備前大橋の下は左岸が長船ゴルフ場、右岸よりは広く浅く流れます。右岸は上道、左岸は邑久、ゆうじょう(邑上)橋を過ぎればもう少しで西大寺です。西大寺の永安橋の下あたりではウィンドサーフィンをしています。砂地には蜆がいます。海はもうすぐです。
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