冷蔵庫など販売が急増

4月からリサイクル料負担

駆け込みで買い替え

(日本経済新聞2001年2月17日14版1面)

 

【本文抜粋】

 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)施行を4月に控え、冷蔵庫や洗濯機など対象となる家電製品の売れ行きが好調だ。

4月以降、消費者は買い替え時に品目によって2400−4600円のリサイクル料を販売店などに支払うことになるため、駆け込み需要が起きている。

家電量販店では2月前半の同製品の販売額が前年同期比3−9割増に急増。

各社はピークとみられる3月下旬に向け商品確保や配送業者の手配に動き始めた。

(中略)

 同法が施行されると、消費者はメーカーにリサイクル料(1台当たり)として冷蔵庫4600円、エアコン3500円、テレビ2700円、洗濯機2400円を負担。

別に小売店などに運搬料も支払う必要がある。

 

【ツッコミ】

 たまには「行政書士らしい」「FPらしい」ネタにも触れておきましょう。

 この4月から「消費者契約法」と「家電リサイクル法」が施行されます。

どちらも一般家庭にとって大きな影響があるものと考えます。

 消費者契約法は、今まで訪問販売法や証券取引法、宅建業法など個別に規制条項があったものに限らず、「事業者」と「消費者」との間で交わされる「すべての契約」について、消費者に一方的に不利な条項は無効とされるという保護法律です。

たとえば「問題が発生しても当社は一切責任を負いません」と契約書に明記されていると、この部分は無効となり、民法の「過失責任」の規定に基づいてそれなりの損害賠償を請求することができます。

また、ウソや隠しごとによって真実を知らずに契約したり、しつこい勧誘に屈して仕方なく契約したときなどは、クーリングオフ(原則8日)よりも長い6ヶ月以内に取消しの申し込みをすれば、消費者は何の負担もなく契約を解除することができます。

 

 さて、家電リサイクル法は、環境負荷の大きい家電製品を買い替える場合には、消費者が「リサイクル料」を負担するという法律です。

買い替えの典型例についての流れを大まかに説明すると、買い替えによって不要になった旧製品は販売店に引き取ってもらいます。

このとき我々は「リサイクル料」を支払います。

これと引き換えに販売店から「管理票」の写しを受け取り、これが「たしかにリサイクル法に基づいて引き取りました」という証明になります。

販売店はメーカーや指定法人に対して、引き取った家電に「管理票」と「リサイクル料」を添えて引き渡します。

こうして流通の上流に戻ってきた製品は、オーバーホールして再販売されたり、パーツに分解されて再利用や「ジャンク販売」されたりすることになり、最終的に残った部分が「産業廃棄物」として処分されます。

 

 もちろんこの法律の趣旨は「消費者はリサイクル料がかかるから、使い捨てではなく長く使うようにしましょう」「メーカーは長持ちする商品を作りましょう」というものであることは言うまでもありません。

販売店もメーカーも「リサイクル料」は「必要コストで設定しろ」と法律や政令で決められていますから、リサイクル料に利益を添加して儲けることはできません。

ただ、リサイクル料という「預り金」については、「短期の運用」まで禁止しているわけではありませんから、上流への支払い期まで利息や運用益を稼ぐことはできないわけではありませんが。

 

 ところで、記事では「料金がかかる前に買い替えておこう」ということで「特需」が生まれているということです。

もちろんホントにオンボロで、そのまま使い続けた方が電気代が高くつくといったケースの買い替えもあるでしょう。

「今のうちにBSデジタル対応に換えておこう」といったニーズもあると思います。

しかし、現在使用中のテレビが「液晶画面」の場合は注意が必要です。

政令でリサイクル料がかかるテレビは「ブラウン管方式に限る」とされています。

つまり、液晶テレビは4月以降に買い換えてもリサイクル料はかかりません。

 また、リサイクル法が施行されると、資本主義の流れとして「修繕料の低価格化」が発生するかもしれません。

リサイクル料&運賃よりも安い設定で修理をしてくれるビジネスが生まれる可能性もあります。

そうなると、慌てて買い替えたよりも直して使った方が安上がりだった、なんてことも起こるかもしれません。

 別の観点で考えると、今の買い替えは「将来の買い替えの前倒し」に過ぎません。

ということは、いつか「反動」が来て、急に対象家電の売れ行きが悪くなるはずです。

そうなると販売促進のため「特典つき」の家電販売が行われるでしょう。

いちばん簡単なのは「値引き」です。

たとえばテレビの場合、リサイクル料は2700円、運賃を多めに見積もっても総額引取り代金は5000円まででしょう。

売上実績のほしい販売店側が「2万円引き」のセールを打ち出すと、トータルで15000円安く買えることになります。

この場合には、買い替えを待っていた方が正解だということになります。

 

 法律や社会のシクミが変わるときにはビジネスや生活にチャンスが訪れるものです。

「変わり初め」が最もトクをするケースはたしかに少なくありません。

しかし、「ある程度軌道に乗ってから」始めるという作戦が有効な場合もあります。

今のところ、「施行前の買い換え」と「しばらくの様子見」とでどちらがトクなのかは分かりません。

でも、「近所はみんな買い替えたから」といった「ブームに浮かれて」の行動だけは禁物でしょう。