新主力商品「自由設計型」
朝日生命も販売
保険料来月上げも発表
(日本経済新聞2001年3月13日14版7面)
【本文】
朝日生命保険は12日、契約者が人生設計の変化に応じて、死亡保障や医療保障などを自由に組み合わせることができる新商品を4月2日から取り扱うと発表した。
積み立てた保険料を元にした「自由設計型」商品は次世代の主力として大手生保各社が相次いで投入している。
一方で生保各社は運用環境の悪化から4月の保険料上げを決めており、利用者は「商品性の向上と保険料値上げ」のはざまに置かれることになる。
朝日生命が発売するのは積み立て型の終身保険を基本に、医療保障や老後保障などを組み合わせる商品。
保険料を各種保障にどう割り当てるかは契約者が自由に決めることができる。
例えば子供が小さい時期は死亡保障に保険料を多めに割り当て、子供の独立後は老後保障を手厚くするといった設計が可能となる。
同種の商品は明治生命保険が取り扱っているほか、住友生命保険も4月からの販売を発表している。
朝日生命は同時に、4月2日以降の新規契約から個人保険と個人年金保険の保険料を引き上げると発表した。
4月からの保険料値上げを発表したのは住友生命、日本生命保険に続き3社目になる。
【ツッコミ】
毎年4月は、生命保険も新商品が投入されます。
4月2日に投入される特徴ある新保険では、記事の朝日生命や住友生命が発売する「自由設計型」や、オリックス生命が発売する「格安保険」などが主なものです。
さて、「自由設計型」といえば、昨年保険業界を席巻した明治生命の「ライフ・アカウント」が代表格です。
これは正式には「3年ごと利差配当付利率変動型積立終身保険」という長ったらしい商品です。
どういうことかというと、次のような3つの性格を持つ保険と考えると理解しやすいでしょう。
「ライフ・アカウント」に代表される「自由設計型」というのは、契約した保険に対する保険料を直接支払うのではなく、契約者が開設した一種の「プール口座」にいったん積み立てる形で保険料が納められます。
このプール口座(これが明治生命の場合は「アカウント」と呼ばれます)から、契約者が自由に設計した基礎となる終身保険や、オプションとして追加設定した「定期特約」「介護特約」などの保険料に支払われます。
なお、アカウントへの積立料と自分が契約した終身保険&特約の保険料総額とはイコールではなく、保険料に振り分けた後でもいくらかの「余り」が出るように積立料は設定されています。
この「余り」がアカウントに蓄積され、前述の@Aで増えていくことになります。
このアカウントが、将来の「内容変更」に伴う差額の「原資」となります。
つまり、保障を上乗せする場合にアップする保険料の一部をアカウントから「補填」することによって、実際に支払う金額を低く抑えることができるというメリットがあります。
以上、「ライフ・アカウント」について簡単に説明しました。
朝日生命が発売を予定する新商品も、ほぼこのようなシクミになると思います。
一方で、新商品発売と同時に「新規契約分の予定利率を引き下げる」という方針も発表しています。
予定利率を下げるということは、毎月支払う保険料が上がるという意味です。
「保険料見直し」はあくまでも「新規契約分」で、今契約しているものについては、4月以降も今と同じ保険料で済みます。
では、これから生保各社が主力商品に育てようとしているこの「自由設計型生命保険」は、ホントにお得なんでしょうか?
FPとしての個人的な見解ですが、新成人としてこれから初めて生命保険に入る場合には「選択肢の1つ」となり得るでしょう。
しかし、現在すでに生命保険を契約している場合、わざわざ今の保険を解約してまで入るメリットはないと思います。
その最大の理由は、「契約時年齢」が上がるわけですから、当初の保険料が必ず今の保険よりも高くなってしまうというところにあります。
現在すでに何らかの生命保険に入っている場合、当たり前ですが、今よりも若い時、つまり保険料の安い時期に契約したわけです。
生命保険は長期運用の典型ですから、「時間のメリット」というものが大きくモノを言います。
目新しさや人気度だけを、この時間のメリットと交換するのはあまりにも「もったいない」と言わざるを得ません。
「自由設計型」のメリットは「ライフステージに応じた保険の組み替え」にあるわけですが、これも今の保険を活用して、不足分は各社の保険を必要最小限「単品買い」し、不要分は「解約」あるいは「払い済み・延長といった方法で支払い停止」という手段をとれば十分に対応できます。
生命保険は基本が単純であるだけに、その組み合わせでいくらでも「複雑」にできるものです。
日常生活で生命保険を「本気で」研究する時間も意味も、大半の人にはないでしょう。
興味をそそられる保険があっても、いきなり契約を検討するのではなく、専門家であるFPから「中立的かつ正確な情報」を仕入れてから考えるのが、「賢い選択」につながると思います。