環境に優しいパソコン開発

日本IBM・関電など

夜間に蓄電 昼間は省エネ

(日本経済新聞2002年2月5日14版1面)

 

【本文】

 日本IBMは関西電力などと協力し、夜間に蓄積した電力を昼間に使うノート型パソコンを月内に発売する。

昼間の電力需要のピークを緩和することで、火力発電所から排出される二酸化炭素の抑制につながる点が売り物。

環境負荷の少ない商品を購入する「グリーン調達」に積極的な企業や自治体の需要を見込む。

 パソコンを使わない夜間に、電力会社が送る電気を内蔵バッテリーに蓄積、昼に電源をバッテリーに自動的に切り替える仕組み。

バッテリーだけで1時間半から3時間、パソコンを使用できる。

エアコン運転で電力需要が急増する夏場の午後1時から4時などにバッテリー使用を想定している。

 夜間電力の活用で、ノート型パソコン1200台を新製品に切り替えると年20万円節約できるという。

 

【ツッコミ】

 1200台で年間20万円の節約。

ということは1台で年間167円の節約。

年240日出勤とすると、1日70銭の節約。

 こんなので「グリーン調達」という免罪符を得られる。

ホントに「環境に優しい」と言えるんでしょうか?

 この「環境パソコン」でチンタラ打ってるより、旧型であってもさっさと入力して、人が8時間かかる作業を4時間で済ませられるようにスキルアップする方が、よっぽど環境に優しいと思うんですが。

 

 日本人の悪いクセかもしれませんが、あるテーマに沿った「物体」を手に入れると、それだけでそのテーマを実現したような錯覚に陥ることがあります。

たとえば「IT」。

社内にLANを敷いたり、ペーパーレスを目指してメール送信にしたりしても、隣のデスクにいる同僚にメールで連絡したリ(隣向いて声かけろよ)、別フロアの担当者にメールを送ってから内線電話で「メール見た?」と確認したり(だったらその内線で要件を伝えろよ)、せっかく稟議やレポートをメール送信しても、化石化した脳みそを持つバカ上司の「ボクは紙に書いたものを読まないと頭に入らない」という一言でもう一度プリントアウトするハメになったり(こんな上司は降格させるか、パソコン研修で社外に出して、業務を邪魔しないようにしろよ)、例を挙げればキリがありません。

 グリーン調達にしても同様です。

「適合商品」を購入したら、それだけで環境に配慮した気分になる。

適合商品であるコピー用紙を100万枚使う会社と、不適合商品であっても10万枚しか使わない会社。

どっちが環境負荷が少ないでしょうか?

 

 そもそもグリーン調達制度というものは、「環境負荷の多い活動は極力減らしなさい。どうしてもゼロにできないのであれば、できるだけ負荷の少ない品物を使用するようにしなさい」という趣旨だったはずです。

つまり、「グリーン調達」が目的ではなく、その前に「業務の見直し」があるはず。

IT全盛のご時世ですが、今やってることのうち、果たしてどれくらいがホントにパソコンがないと困る作業なのかを見直したことがあるのでしょうか?

 

 今、私の親父がパソコン講座に通っています。

CADで図面を引いたり、EXCELやWORDを使ったりしていますが、「それって、手書きの方が速いし、手書きで十分じゃねえか」と思えるようなことまで実習するようです。

「技能の習得」という理由からやっているようですが、もしも私が親父の上司だったら、実務では「手書きでいいよ」と言います。

ムダなことをさせるほど私もヒマじゃないですから。

 

 話題がズレましたが、どうも何事につけ、「そもそも何のためにこれをやっているのか」を見失っているのが、今の日本のような気がしてしかたがありません。

 

 

昭和天皇の歌引用を批判

(日本経済新聞2002年2月5日14版2面)

 

【本文】

 小泉純一郎首相が4日の施政方針演説で昭和天皇の歌を引用したことについて、民主党役員会で「昭和天皇はあまりに今の時代と近すぎるのではないか」と政治利用を指摘する複数の役員からあった。

衆院議院運営委員会の理事会でも自由党が「安易に引用すべきでない。議事録から削除すべきだ」と要求した。

 首相は同日夜、野党の批判に「そういう人こそ政治利用しようとしているね。全く問題ない」と記者団に語った。

 

【ツッコミ】

 私は政策の面では自由党を支持しているのですが、この問題については純ちゃんの言い分の方がマトモです。

施政方針演説で「天皇御製の歌」を引用したからといって、それをどう政治利用するというんでしょう。

「昭和天皇の歌が盛り込まれた演説を批判したら、昭和天皇を侮辱したことになる」と考えているのであれば、それこそアナクロニズムの極みです。

 そもそも引用した首相自身に「政治利用の意図」があったかどうか。

別に弁護するつもりはありませんが、ただ単純に「いい歌だな」と思って引用した、という程度ではないでしょうか。

 そんな枝葉末節にしかツッコミを入れられないというところに、今の野党の限界が透けて見えます。

農水大臣はシビアに追い込むが、自分の党内にも似たような事例を抱える「私設秘書問題」ではあまり追及しない。

いざ問題を取り上げると、ほぼ必ず予算委員会。

「特定問題追及特別委員会」を設置しようなどという、ごく常識的なアイディアさえ浮かばない。

こんな集団に対して「先生、先生」と言っている特定業界団体の気が知れません。

 

 

売り時逃さぬ株式投信

UFJ信託

基準超えると自動売却

(日本経済新聞2002年2月5日13版7面)

 

【本文】

 UFJ信託銀行は基準価格があらかじめ決めた水準以上に上昇した時点で自動的に利益を確定する株式投資信託の販売を始めた。

投資家が投信売却のタイミングを逃さないようにするのが狙い。

予想配当利回りの高さなどに着目して組み入れ銘柄を選別、個人資金の受け皿としたい考えだ。

 新型投信の名称は「ストック・インカムファンド」で1万円から購入できる。

株価上昇などで基準価格が12000円以上になった場合、強制的に組み入れ株式を売却、一定期間後に投資家に代金を払い戻す点が特徴だ。

信託期間は5年間とし、12000円に到達しない限り運用を続ける。

UFJ信託銀行では「投信をいつ売却すればよいか分からないという個人の声を取り入れた」としている。

 短期間で値上がり益を目指すのではなく、配当収入などを重視する。

東京証券取引所一部上場の中から予想配当利回りが年1%を上回り、中長期的な値上がり期待が持てる80−120銘柄を組み入れる。

信託報酬(純資産額に対する1%)を差し引いた利回りは、少なくとも年1%を超えるよう銘柄を選ぶ。

 

【ツッコミ】

 ホームページにもう少し詳しい説明がないかと思い、確認してみました。

やっぱり基準価格が12000円を超えた時点で、いくら投資家が「15000円まで運用を続けてもらいたい」と願っても、自動的に売却されて利益が確定してしまうようです。

とはいえ、基準価格が12000円になったとしても、投信に組み入れられた株式がいつでも買い手が存在しているとは限りません。

売買が成立するまでの間に、結局基準価格ベースで12000円を割ってしまうということも考えられます。(この点は、UFJパートナーズ投信ホームページの説明でも示されています)

 ところでこの投信、信託期間は5年となっていますが、一応追加型投信です。

つまり、運用開始後でも購入できるのですが、それも来年5月17日までと期限があるようです。

あとは信託終了までクローズドのように解釈できますので、言ってみればこの投信、追加型のような単位型のような、なんとも中途ハンパな投信という印象を受けます。

しかも12000円になったら自動的に組み入れ株式を売却して利益を強制確定する。

一時熱病のように流行した「EB債」のような性格も持ち合わせているという、なんともミョーな商品です。

 

 銀行側の説明では「投信をいつ売却すればよいかわからないという個人の声を取り入れた」というのですが、それは「何のために資産運用するのか」という根本的なところがはっきりしていないために起こることであって、それはライフイベントを踏まえたライフプランを考え、それを実現するためのマネープランを立案するという、ファイナンシャルプランナーとして当たり前のサポートをすれば自ずと「希望売り値」が明らかになるものです。

つまり、FPの立場としてコメントすれば、顧客のニーズは把握したけれど、その解決方法を間違っている、という形になってしまいます。

 残念ながらこの投信、私はオススメしません。

上記の理由だけではなく、なにしろ設定直後であって、どう値動きするのかよく分からないからです。

 

 

法人登記でミス

京都法務局

別の会社の資本金入力

(日本経済新聞2002年2月5日14版34面)

 

【本文】

 東証、大証二部上場で、ブライダル業界最大手のワタベウェディング(京都市)から先月、法人登記の変更申請を受けた京都地方法務局(久保勝利局長)が、別の会社と取り違え、17億5000万円とすべき資本金の額を6000万円と誤入力するミスをしていたことが4日、分かった。

 同社の抗議で登記は修正されたが、商業登記法に明記がないため、誤記そのものを消すことはできず、登記簿上はいったん6000万円に減資した記録が残るという。

 同社は「減資した事実もないのに履歴が残れば株主らに不安を与え、非常に迷惑だ」と憤っており、記録消去を求め法的措置も検討している。

(中略)

 同法務局は「誤記は大変申し訳ないが、現行の手続き上、すべてをなかったことにはできない。再発防止を徹底する」と話している。

 

【ツッコミ】

 法務局に登記申請に行くと、いつも「お役所的対応」にウンザリします。

あ、念のために釈明しておきます。

私は司法書士の資格は持っていないので、登記申請を代行しているわけではありません。

個人的趣味、というか好奇心から「どんなときにどういう登記をするのか」を聞きに行くだけで、別にそれで小銭を稼ごうというつもりではありません。

 で、本題に戻りますが、登記申請書はいまだにB4用紙で作成しろだの、こういう登記はこのように書けだの、めんどくさい決まりが山ほどあります。

こんなおもしろくもない仕事をしなければならないとは、司法書士とは大変な仕事だな、と同情さえしてしまいます。

 

 そんな超形式的な登記制度なのに、今回のようなケアレスミス。

しかも、記事を読むかぎりではこんなマヌケなミスによる誤記は、商業登記法107条の「更正」の対象ではない様子。

ワタベの社長でなくても法務局にクレームをつけたいですよね。

「現行制度で何ともできないんであれば、法務局長の職権で、登記簿の端に『我々のミスで資本金6000万円と記録されていますが、17億5000万円から減資した事実はありません』とポストイット貼っとけ!」

 

 申請者である我々が印鑑を忘れたり誤記があったりすると、問答無用で却下したり補正指示したりするくせに、てめえのミスは「ゴメン」の一言で終わり。

だから役所は嫌いなんです。