ユニクロ型401k

厚労省、認めず

「掛け金ゼロに変更」は脱退

(日本経済新聞2002年6月30日13版3面)

 

【本文】

 厚生労働省は「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングが導入を申請していた「ユニクロ型」401kを認めない方針を固めた。

近く同社に正式に回答する。

 同社の制度は月36000円を上限に従業員が掛け金を選択できるのが特徴。

厚労省は同社の確定拠出年金規約を既に承認したものの、掛け金の選択肢に「ゼロ」が含まれる点について「自己都合による制度からの中途脱退に相当し認められない」と判断した。

 ファーストリテイリングは全従業員に確定拠出年金の掛け金限度額いっぱいに相当する月36000円を一律に拠出。

従業員はこの金額を前払い退職金として給与に上乗せして受け取る部分と、確定拠出年金の掛け金とする部分に自らの判断で分ける。

 年1回の頻度で両者の割合を変更することも可能で、同社は9月から制度をスタートさせる計画だった。

 厚労省は、掛け金を当初から「ゼロ」とすることは年金に加入しないと判断できるため問題はないとしている。

しかし、一定額をいったん掛け金として積み立てた後に「ゼロ」に変更することが可能な設計になっている点を問題にしている。

 「(ゼロに変更することは)制度に加入した人が個人の判断で掛け金の払い込みを中断することと同じで年金と貯蓄の境目がなくなり、確定拠出年金の掛け金を非課税とする優遇措置の大義名分がなくなる」(年金局)との判断だ。

 同省では掛け金を変更する仕組みは確定拠出年金の規約ではなく、同社の給与規定に基づいているとして、同社に給与規定の見直しを求める。

 

【ツッコミ】

 最初にサラッと読んだときには記事(厚生労働省年金局)の指摘するような問題があるから、やっぱりユニクロが制度を修正しないとな、と思いました。

実際、企業型確定拠出年金ではめいっぱい掛け金をかけても月36000円。40年の積み立て元本は1700万円ちょっとです。

一方、老後の生活として毎月25万円ずつ20年使うために必要な金額は6000万円。

預貯金がゼロだった場合、5.4%で運用できなければ節約生活開始になります。

 だから、現状の拠出限度額が変わらない間は、確定拠出年金のメリットはただひとつ。

「運用商品として定期預金を選択すると、20%の利子課税が繰り延べされますよ」

「掛け金は全額社会保険料控除になりますよ」

という、早い話「節税効果」だけですね。

「老後生活原資の蓄積」なんか、安心できるほど貯められません、今の制度や経済環境じゃ。

 

 とはいえ、もう1回記事を読むと、なんかおかしい。

はっきり言って、途中で「掛け金ゼロ」にしても問題ないじゃないか。

拠出する会社は「各社員に毎月36000円支給してます」と言ってるわけです。

全額給料として受け取っても、「年末調整」で差額を追加納税させればいいじゃん。

そもそも年末調整は「過払いの還付」だけじゃなく「不足分の追加納税」のためにもある制度なんだから。

 

 つまり、2回読むとこの記事は厚生労働省が「最初に規約を承認してしまったというメンツを保つため」と「年末調整に関する財務省主税局との意見調整がメンドクサイため」という風にしか解釈できないんですよね。

ユニクロとしては、というより、同じ方法を検討していた民間企業としてはイイ迷惑です。