保険基礎セミナー

生命保険の見直し

 「生命保険の見直し」というと、具体的には「受け取り内容の見直し」と「支払い方法の見直し」に分かれます。

受け取り内容の見直しとしては

  転換

  中途増額・特約中途付加(買い増し)

支払い方法の見直しとしては

  自動振り替え

  払い済み保険

  延長保険

といったものが主なものです。

 

受け取りの見直し@ 契約の転換

 わかりやすく言えば、今入っている保険を「下取り」してもらい、新規契約よりも割安で新しい保険に入ることです。

下取りで安くしてもらえる割合は「配当」や「解約返戻金」に応じて計算されるのが一般的です。

 結婚や出産などで保障内容の見直しが必要となった場合に「転換」をすることで割安に必要保障額の保険に入ることができます。

しかし、あまりオススメできません。

 主な理由は2つあり、

  1. 今の「逆ザヤ」環境では、転換した場合の下取り額が低く、思ったほどメリットがない
  2. 結局何のカンの言っても「今の保険をやめて違う保険に入る」ことに変わりがなく、保険料率の計算は「転換時年齢」で計算される。つまり保険料は高くなるし、今の低金利環境ではほぼ間違いなく保証利率が前の保険よりも低い

といったことが挙げられます。

 保障の見直しであれば「転換」よりも次の「中途増額」の方がマシです。

 

受け取りの見直しA 中途増額

 現在契約している保険はそのままで、必要な保障を年金保険や特約の形で追加する形式です。

転換が「車の買い換え」であれば、中途増額は「車のドレスアップ」のようなものです。

基礎となる保険はそのまま維持され、必要に応じた「オプション」を付ける形になりますから、人生環境(ライフステージ)に変化があればそれに応じた特約を付加すればいいわけです。

つまり、きちんと考えて保険を検討すれば、ムダなく必要な保険をカバーできるというメリットがあります。

とはいえ、このタイプでも注意点は2つあり、

  1. 基礎の保険が定期保険など満期のある場合、中途増額した保険の満期も自動的に基礎の保険と同一になる
  2. 増額分の保険料率は増額時の年齢で計算されるため、初めから特約付加している場合に比べて割高になる

というものです。

 

支払い方法の見直し@ 自動振り替え

 正式には「自動振替貸付」と言います。

「契約者貸付」とも呼ばれるもので、保険料を滞納しても、解約返戻金の範囲で保険会社が滞納分を「立て替え払い」してくれるというものです。

一応勘定の上では保険料が納付されていることになりますから、契約そのものは失効せずそのまま存続します。

また、貸付を受けて実際に自分が払っていない分の保険料も、所得税の生命保険料控除に含めて申告することができます。

滞納分を後から追加で保険会社に支払えば貸付は消滅しますが、そのまま滞納しても解約返戻金を超えない限りそのままにしておけます。

しかし当然のことですが、滞納分とその利子が解約返戻金をオーバーすれば「本物の滞納」となって失効する恐れもありますし、うまくスリ抜けても解約時に貸付分を減額された返戻金しか受け取れません。

 

支払い方法の見直しA 払い済み保険

 保険料を払いたくないとき、一般的には「解約」します。

しかし、契約期間が1、2年程度だと解約返戻金はありません。

あるいは「やめたいけど解約するとつきあいも途切れそうだから」なんていう「義理人情」に縛られて解約に踏み切れないというケースもあるでしょう。

 そんなとき、保険料は払わないが保険契約は残しておくという方法が2つあります。

その1つがこの「払い済み保険」もう1つが次の「延長保険」です。

払い済み保険とは「保険期間は当初のままで、保障額を減らす」方式で契約が残ります。

保険期間中の保険料は「支払い済み」という意味で「払い済み保険」と呼ばれます。

 

支払い方法の見直しB 延長保険

 払い済み保険と違って延長保険は「保障額はそのままで保険期間を短縮する」方式です。

保険料の支払いは中止するが、一定期間同一内容の保険を「延長させる」という意味で「延長保険」といいます。

 

 当初契約の保険を払い済み保険または延長保険に切り換えるのを図で説明すると次のようになります。

 

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