『 スルーできない脳 〜自閉は情報の便秘です〜』
ニキ リンコ:著 生活書院 定価:2000円+税 (2008年8月)
ISBN978-4-903690-24-7 C0036 ¥2000E
自閉症本人の視点から、いつもユニークな自閉症の世界の解説をしていただいているニキ
リンコさんの本です。
と、いってもこれまでの花風社から出版されている「自閉っ子、こういう風にできてます」や「俺ルール!」などの、「
目次
00 ポストを探しつづける女
01 シミが残る・シワが残る・亡霊が残る
02 実はだれにでもある情報の便秘
健常者の〈便秘傾向〉もスペクトラム
困り方もいろいろ
〈情報便秘〉も表現はいろいろ
03 終了しなかったことは残りやすい
健常者だって嫌う「開ループ〉
不完全な情報は痕跡を残しやすい
未完のインプット、未完のアウトプット
このかさぶたをはがさせて!
04 脳の空きスペースを奪い合う人工のゴミたち
もう、あともどりできない。
切り替え方の弱い子供たちのサバイバル
この星に生まれるつもりじゃなかった
〈不足〉の苦労と〈過剰〉の苦労
楽しい誘惑はさらに手ごわい
05 荷造りコストの高い脳
比喩その一。
比喩その二。
比喩その三。
比喩その四。
昨日の布団は重かったのに
設定変更と入眠困難
前の設定にひきずられる脳
わが身体はいつも代車の如く
のど飴で時蕎麦
ライフハック情報で空振り
06 これが合宿免許体質だ
私が自分の体質を自覚するまで
普通の人の一部にもある合宿免許体質
合宿免許体質人間に向く趣味・向かない趣味
対人関係の落とし穴
合宿のどさくさにまぎれて人と出会ってしまう
濃い人ほど自覚するベネフィットが大きい
誤解されやすい〈診断前後の猛勉強〉
落とし所を探る
過集中のコントロール
07 スルーできない脳は情報で疲労する ― その三つの原因
08 先着一名様が全画面表示になる脳
シングルフォーカス、モノトラック、ぼた餅脳
正座して出前を待つ女
ADHDとコンピューターウィルス
ADHDと身体的不快 − 線維筋痛症、慢性疲労症候群、むずむず脚症候群
感覚刺激と全画面表示・自閉版
強迫性障害の切迫感
全画面表示がうむパラドックス
09 無駄に解像度の高い脳と情報疲労
解像度の高い脳・低い脳
劣っているわけではないけれど、損な場面も多い脳ミソ
高解像度脳 ― 三つの泣きどころ
得意分野こそ不得意分野
街角観察と散歩疲れの謎
疲れると高解像度脳は亢進する
大型書店で情報飽和
高解像度脳、私小説「自分語り」
10 詰まりやすい粘着情報との闘い方
情報の粘着力
不快シーン、恐怖シーンから頭を切り換えるには
〈現役のこだわりテーマ〉から頭を切り換えるには
スルーできない脳の天敵、〈不完全な情報〉
〈不完全な情報〉はループする
二度と出会えない情報の名残り惜しさとどうつき合うか
組み合わせで襲ってくる粘着情報たち
何より難しい〈怖い/嫌いだ/許せないけど、よくわからないもの〉
11 最初から入れない
入れる分野を絞る〈一点豪華主義〉
意地きたなさとの闘い ― 呪文は「一点豪華主義!」「今、この時間の本業は?」
12 入ってからふくらむ情報を、水ぎわでくい止めるには
種情報があとでふくらむのは、どんなとき?
予告もよしあし ― サプライズとサスペンス
イントロ待ちのカウントダウンを避けるためのシャッフル再生
〈主義へのこだわり」にも、丸ごとあきらめると楽なものがある
13 ついでについてくるものを入れない
本命情報と抱き合わせで入ってくるゴミ情報を避けるには
サブのこだわり、頻度が中くらいの用事や趣味ほど、手厚い工夫を
抱き合わせ情報の削り方いろいろ
複本主義
14 入ってしまったものを追いだすには ― スルーできない人たちの生態
その0 実況だだ漏れ状態で「語る・書く」
その1 言語との対応をつけるための「語る・書く」
その2 括弧を閉じるための「語る・書く」
その3 エコーする・マスターする・ユニゾンする
15 テキスト化でファイルは軽くなる
〈物語〉が記憶を軽量化する
名前は再訪・再会の手がかりになる
謎が解ければ再生回数も減る
近似としてのステレオタイプ ― 新幹線と在来線を乗りつぐ
うわさ話も使いよう
言語情報はインポートに向いている
言語情報はパターン抽出に向いている
抽象語のご利益
見分けられるとは、着眼点を選べること
不要な細部を無視すると、操作が軽くなる
詳細画像は応用がききにくい
イメージトレーニング礼賛から距離をおく
部分的修正には言語情報が向いている
画像は変化の表示にも向かない
キャプションは先に
「人は変わる」ということとコミュニケーションの基礎