設立趣旨書


 

 

 自閉症児を持つ母親5人が、仲間を求めて集まったのは平成9年の秋のことでした。
「この子たちに幸せな明日を作ってやりたい。」その思いだけがありました。
 私たちはそれぞれの地域で、まわりの無理解や誤解の中でたったひとりで頑張ってまいりました。
 「この指とまれ!」と挙げた手に、岡山県下から50人を超える親たちが集まりました。
そして、そんな親と子を支援して下さる有志の方やボランティアの方も賛助会員に加わっていただき、「岡山県自閉症児を育てる会」ができあがりました。
 私たちの願いはただ一つ、「自閉症児・者に彼らなりの悔いのない人生を保証したい。」
それが会としての目的であり、そのための活動です。
 カナー博士によって自閉症が報告されてから約60年、現在自閉症児・者を取り巻く環境は、自閉症の原因が親の教育偏向・育て方によるものと非難された時代からみれば、かなり改善されてきたといえるでしょう。 しかしながら、私たちの子ども達が保育や教育の場で、また自立に向けた生活の場で得られる理解や協力はまだまだ充分とはいえない現状です。
 育てる会を設立して2年あまり、私たち育てる会はそれを補い、子ども達に経験を積ませるため様々な努力をしてまいりました。
利用できる社会資源がまわりにないのなら自ら創りだしていこうというのが、私たち育てる会のモットーです。
「水泳教室」「木工教室」「サッカー教室」などの教室も始めました。「療育キャンプ」「研修旅行」「療育的山のぼり」などの行事も行ってまいりました。
 また自閉症の正しい理解をまわりの人々に啓発するための活動やボランティア育成も会としての大きな柱の一つとして取り組んでまいりました。講演会、勉強会、会報発行なども並行して続けて現在にいたっております。
 これまでは、純粋に親たちを中心とする任意団体として活動してまいりましたが日々成長している子ども達の将来を視野に入れた時、より安定した活動ができる法人組織として会の運営を発展させ、子ども達の生活をゆるぎなく支援していくことが必要になってくると考えるようになってまいりました。
 社会に対して自閉症へのより大きな啓蒙活動を展開していくため、学校・行政などへの働きかけのため、そしてなにより子ども達の就労の場、生活の場をバックアップしていくためにも、会として継続して活動できる基盤を固めておく必要に迫られているのです。
 また自閉症という障害、いまだにその原因も特定されず、治療や予防の方法も発見されていません。これからも自閉症という障害を持つ子ども達は生まれてくることでしょう。
 そんな未来の子ども達と、保護者の方の受け皿としてサポートし続けていくためにも、将来にわたっての活動、すなわち今活動している個人の力だけに頼らない、ずっと継続していける法人としての活動が社会的にも求められていると自覚しています。
 岡山県下の全ての自閉症児・者のため、自閉症の療育に携っている保護者、関係者の方のため、そして将来生まれてくるであろう、まだ見ぬ仲間たちのためにも。
 私たちは今、「特定非営利活動法人 岡山県自閉症児を育てる会」を設立いたします。
 
    平成12年1月30日
特定非営利活動法人 岡山県自閉症児を育てる会
設立代表者   鳥羽 美智代     印
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