不当労働行為救済申し立て

O地方労働委員会                                2000年4月13 日
会長 U     殿
                                        申立人
                                        ZI労働組合O地方本部
                                        執行委員長  F

           不当労働行為救済申し立て

 労働組合法,第7条第1号,第2号,第4号違反事件につき,次の通り救済を申し立てます。


1.申 立 人  住 所 O市
 名 称 ZI労働組合O地方本部
 代表者
 電 話
 組合員 859名
2.被申立人 @住 所 S市
 名 称 S市
 代表者
 電 話
A住 所 S市
 名 称 S市社会福祉協議会
 代表者
 電 話
B住 所 S市
 名 称 S市立S学園
 代表者
 電 話


3.救済申し立ての趣旨

  @被申立人は,正当な理由なしに行った平成12年3月31日付けの臨時職員U氏への解雇を
   撤回し,専門職員として雇用すること。
  A被申立人は平成12年4月1日以降,職員定数の最低基準を満たさない状態をつくりだした
   ことを謝罪すること。
  B被申仕し立て人は団体交渉に常務理事(S市保健福祉部長)等責任能力のある者を出席さ
   せ,誠意をもって応じること。
  C被申立人はU氏の解雇の根拠があたかもO県地方労働委員会の『あっせん案』によるかの
   ような文書を撤回し,謝罪すること。
  D被申立人は,不当労働行為を行ったことを文書でもって謝罪し,S市役所,S社会福祉協議
   会,S学園に謝罪文を掲示するとともに広報紙に謝罪文を掲示すること。
  E被申立人は,U氏に支払っていた賃金相当額を本事件が解決するまでの期間支払うこと。


4.不当労働行為を構成する事実

 (1)被申立人であるS学園は昭和44年開園,S市の委託を受けS市社会福祉協議会が運営を行
   っている知的障害児通園施設である。
   申立人であるZI労働組合O地方本部はZI労働組合のO県地 方における組織であって,O県の
   中小企業に働く労働者が個人加盟して結 集した地域合同 労組である。その構成は36支部で
   ある。
   S学園支部は1999年2月11日に1名加入,その後1999年3月25日に結成し,組合員3名,
   相談役2名で組織されている。

 (2)不当労働行為にいたる経過
  @老朽化によるS学園の移転計画に伴う,小学部・中学部の廃止問題について,被申立人Bで
   ある学園長は,1998年11月18日保護者のS市あての要望書を書き換え,印鑑の不正使用
   を行った。
  Aこの問題に対応する保護者会の活動ならびに署名活動を支援した嘱託職員U氏に対し,被申
   立人は正当な理由もなく1999年1月31日に口頭にて解雇を言い渡した。U氏は,言語の専門
   職として1年目は臨時,2年目は嘱託扱いで雇用され,言語聴覚士の国家試験を受けるように
   被申立人Bである学園長から言われていた。
  B解雇問題について,申立人は被申立人に対し繰り返し交渉を求めたが,責任能力のある者の
   出席はなく平行線のままであった。
  C申立人は1999年3月23日にO県地方労働委員会にあっせんを申請し,3月28日にあっせん
   が行われた。被申立人はあっせん案を受諾しU氏は継続雇用された。しかし,学園長はこの後,
   言語指導を縮小させた。
  DS学園支部は,1999年8月6日被申立人との間に労働協約を締結したが,その後も誠意をもっ
   て遵守されなかった。
  E被申立人は1999年10月27日臨時職員U氏に対し,『平成11年3月28日付,O県地方労働
   委員会あっせん案受諾により,平成12年3月31日をもって雇用契約期間満了による退職となり
   ます。』と通知した。
  F被申立人は1999年11月22日団体交渉において,「園児の数により必要があれば継続雇用
   しようと思う。努力はしているが子どもの数が減っている。今の段階で厳しいということは認識して
   おいてほしい。」と発言。
  G被申立人は2000年2月29日に,本人の意思が確認されないままU氏に対し解雇を通知し,経
   営環境により臨時職員の採用はないと明記した。
  Hこれに対し,3月15日,23日,28日,30日,31日と団体交渉を重ねたが被申立人から明確な
   回答は得られず,正当な理由がないままにU氏を解雇した。
   被申立人は地方労働委員会のあっせん案を受諾し,これを履行した結果契約期間終了による退
   職であり,整理解雇ではなく継続雇用責任はないと主張した。
   被申立人は当初2000年4月園児数が減少するため,職員数は4名で足りると主張し,U氏他臨
   時職員全員を解雇するとした。
申立人が2000年3月23日職員定数の最低基準を指摘すると,
   被申立人は3月30日に職員数は4名ではなく6名であったと訂正した。しかし,U氏の継続雇用
   は全く考えておらず,正規職員を公募すると主張した。
また,正規職員採用が決定するまでの期
   間についての,臨時職員の雇用もないと主張した。

 (3)救済申し立ての理由
  @今回の事件は,S学園の小学部・中学部廃止問題について,保護者会,O県教組,RS地区協
   議会など利用者や地域住民が小・中学部存続の署名活動を展開し,それに協力した嘱託指導員
   U氏を雇用期間満了を理由に解雇しようとしたことに起因する。
  Aこの解雇攻撃に対抗するため,1999年(平成11年)2月から3月にかけS学園職員3名がZIO
   地本に加盟し,O県教組の組合員2名も応援し,ZIO地本S学園支部が結成された。
  Bその後,使用者側と組合は,労働協約を締結し,労使対等の原則にもとづく労使関係の形成を確
   認したにもかかわらず,1999年(平成11年)10月27日には,O県地方労働委員会のあっせん
   案を根拠として,2000年(平成12年)3月31日付退職をU氏に強要してきた。これは明らかに労
   働組合法第7条第4号違反に該当する。
  C2000年(平成12年)2月29日のU氏への解雇通知では理由に児童数の減少もあげられている
   が,団体交渉の過程でO県保健福祉部の見解をあおいだところ,職員の最低基準を下回ることが
   明らかとなり,緊急に職員補充をする必要を認めざるを得なくなった。
  Dにもかかわらず,使用者側は,U氏の解雇に固執し続け,4月1日以降の雇用契約更新に応じな
   かったことは,労働組合法第7条第1号に違反する不当労働行為を意図的,計画的に推進したと判
   断せざるを得ない。
  Eこの交渉の過程で組合は,U氏の雇用の決定をしたS市社会福祉協議会の幹部の氏名,日時を
   明らかにするよう要求したが,使用者側は明らかにせず,幹部会の団体交渉への出席もなかった。
   S学園はS市が経営し,S市社会福祉協議会に運営を委託しているが,その常務理事であるS市保
   健福祉部長が,今回再三の要求にかかわらず,団体交渉に出席しなかったことは労働組合法第7
   条第2号違反にあたることは明白である。よって,「救済申し立ての内容」にあるような救済の命令を
   早急に行うよう申し立てるものである。