林地の条件は一様でなく、異なる間伐法による間伐効果(残存木の成長促進)を同一条件で比較することが困難なため、現地試験で得られたデータを基にしたコンピュータシミュレーションによる解析法を開発しました。
 これは、林地をメッシュに区切り、そのメッシュをどの立木の樹冠が占有するかをシミュレートする方法を用いて、間伐によって残存木樹冠の占有状況がどのように変化するかを検討したものです。
 これにより、従来の間伐とどのように間伐効果が違うのか、どのような間伐方法が効果が高いかなど多くの有益な情報を得ることができます。
シミュレーションによる列状間伐効果予測
調査プロットの設定
 間伐対象林に40m×40mの方形プロットを設定
立木位置の精密な測量
距離:反射型レーザ測距儀 、方位:電子コンパス、高低角:電子水準器の3種が一体になったレーザデンドロメータを使用。
データファイル作成
各立木ごとの座標、太さなど


間伐前データファイル作成
各立木ごとの座標、太さ
メッシュを設定
40m×40m調査地を25cm×25cmのメッシュに区切る。
間伐前の各立木の占有メッシュデータファイル
  疑似樹冠投影図
仮想間伐を行う
  決められた条件で間伐を行った後の立木のデータを自動作成
間伐後データファイル作成
各立木ごとの座標、太さ
あるメッシュをどの立木が占有するか判定
・最も近い立木
・太い木は遠くまで占有
・枝の伸長限度を仮定
間伐前の各立木の占有メッシュデータファイル
  疑似樹冠投影図
間伐効果判定
残存木の占有空間がどのように増加したか?
水色部分はプログラムによる計算処理
以下の図は、左から2m幅伐採4m幅残存、2m幅伐採6m幅残存、2m幅伐採8m幅残存。
色の濃い部分は間伐効果を受けた立木の樹幹を表しています。
残存幅が広くなるに従い間伐の効果を受けない木(樹冠のまわりが開けない木)が多くなっている様子がわかります。