3.小型タワーヤーダの概要とその特徴

 小型タワーヤーダといっても明確な基準はないので、ここではスパン200〜300mの集材作業に適する簡易な索張り方式を持つタワーヤーダとします。これに該当する機種は、及川自動車製のRME−200T、RME−300T、イワフジ工業製のT40TY等があげられますが、T40TYは最近開発された機種であり導入利用の実績があまりなくデータが得られないのでRME−200T(RME−300Tもほぼ同様の性能)を対象としてまとめました。

 本来なら、もう一歩進んでプロセッサを組み合わせたシステムが理想ではあるのですが、プロセッサの導入がもう少し進まない現状であり、調査事例も少ないので、人力で伐倒造材し小型タワーヤーダで集材するシステムを中心に検討することとしました。

・作業現場まで自走できる

 単線循環式集材、自走式搬器は機材をトラックで運搬する必要があります。また、少しでも林内に入れようとするとどうしても重量物を人力で運搬しなければなりません。ところが、小型タワーヤーダは基本的な足回りが小型フォワーダと同一の全輪駆動であるので少々の不整地でも進入することができます。

・作業に必要な装備一式をすべて持つ

 簡易な自走式搬器機による集材作業でも、ワイヤーロープから滑車類など多くの機器類を必要とします。ところが、小型タワーヤーダは作業に必要なワイヤーロープほか一式をすべて車両に搭載しており、そのまま現場に自走して行くことが可能です。

・架設撤去が容易

 ランニングスカイライン方式の場合の架設作業は次のような手順です。

    本体を設置しタワーを立てる。

      ↓

    ガイラインを固定する。

      ↓

    先柱に適当な立木を選び、アンカーを確保する。

      ↓

    先柱にとりつけた滑車にワイヤーロープを通し搬器を接続する。

 通常は架設に30分、撤去に15分程度である。

・運転操作が簡単

 ランニングスカイライン方式で、巻き取り量と繰り出し量を同調させるダブルキャプスタンドラムを採用しているのと、すべての駆動を油圧とし、ジョイスティックレバー操作のリモコンとしているため運転操作が大変簡単になっています。初心者でも数時間の操作練習で実作業ができるようになります。これは自走式搬器のリモコンによる運転操作にほぼ匹敵する簡単さです。

・小型ではあるが集材能力が大きい

 単線循環式では人力で木寄せできないような材は扱えないし、自走式搬器は大型のものでも800Kg程度通常は400Kg程度の積載量である。これに対して地引き方式ではあるが、通常400Kg、最大1000Kg程度の材も集材可能です。

戻る