オンコウイルス(レトロウイルスの一種)が原因。
このウイルスは、名前の通り白血病になることがありますが、多くは白血病を起こさず、免疫力を低下させる事により様々な臓器に障害を起こすために、腫瘍、流産、腎臓疾患、血液疾患、口内炎など様々な病気の原因になる。
※このウイルスは人間や他の動物には感染しないことがわかっています。 |
【感 染】 |
- 主な感染経路は、感染猫の唾液、涙、尿、便、血液、乳汁に含まれるウイルスによる。
ケンカなど咬み傷、グルーミングや食器共有、感染した母猫などからの感染が多い。
胎盤感染の場合は、流産、死産することが多く、生まれても育つことが少ない。
感染力は弱く、1〜2度、感染猫の唾液が付いたぐらいでは感染しないともいわれている。
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感染したらどうなる? |
- 感染した猫の約1/3は、そのまま持続感染となり多くは発症し、50〜70%が感染後2〜5年以内に死亡する場合が多く、特に子猫の場合は発症しやすく死亡率も高い。
その他は、何も症状も出ない猫や、突然ウイルスが消えてしまう猫もいる。
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【症 状】 |
- 症状は、食欲不振、体重減少、貧血、下痢、発熱、脱水、鼻水、口内炎、など。
免疫力が低下し様々な病気が治りにくくなるので、病気や傷が治りにくい、下痢がつづく、歯ぐきが白い、痩せた、元気がない等の症状がある場合はこの病気の可能性もある。
特に貧血症状には注意が必要で、死亡原因になる場合が多いようです。
主な病気は、リンパ肉腫、腎臓病、慢性口内炎、貧血、白血球減少症、流産など。
- 増悪させる病気として、猫免疫不全ウイルス感染症、猫伝染性腹膜炎、原虫性疾患など。
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【検 査】 |
- 血液検査(抗原検査)で簡単に検査ができる(5000円程)。「陽性(+)」なら感染している。
猫免疫不全ウイルス(FIV)との同時感染もよくあるので両方の検査を行った方がよいでしょう。
FeLV抗原検査キット
FeLV抗原/FIV抗体同時検査用キット
で、右図のように検査結果が表れる |
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- 抗原検査では、ウイルスが侵入して1ヶ月以上かかることがあり、初期だと症状はあるのに検査では「陰性(-)」になってしまうこともあるので、再検査をした方がよいでしょう。
- 「陽性(+)」と出ても、約1ヵ月後には陰性となる場合もある(感染後4ヵ月までは陰性になる可能性がある)ので、再検査をした方がよいでしょう。
- 4ヶ月以上続けて陽性(+)の場合は、持続感染となりウイルスが消える可能性は低い。
持続感染になるのは感染した時の猫の年齢と関係する
生まれたて |
ほぼ90〜100%が持続感染 |
生後1ヶ月過ぎ(歯が生え始める頃) |
約50%が持続感染 |
1歳以上 |
10%ほどが持続感染 |
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【治 療】 |
- ウイルスそのものを治す治療はありませんが、出ている症状により適切な治療する。
生後1年以上の猫なら感染初期(感染後2ヶ月位まで)に適切な治療を行いウイルスを抑え、体内の免疫を助けてあげれば80〜90%の確立で自然治癒することもあります。子猫の発病は経過も早くやっかいなことが多いようですが、成猫の発病は、白血球数の減少だけで、貧血がなく、軽ければウイルスが消えることさえあります。もし、猫白血病ウイルスを持っているキャリアでも、発病しても症状が落ち着いていれば現在出ている症状を改善することにより、延命も可能になります。
治療は、インターフェロン治療でウイルスを弱め、猫の免疫力を高める。
激しい細菌感染には、抗生物質の投与。白血病やリンパ腫が発症した場合は抗ガン剤を使用。輸血、漢方や「アロマテープ」を使用することもある。
※首に巻いて使用し、痛みや炎症を軽減し食欲を増進させたり、気分をリラックスさせたり、免疫の増強に効果がある「アロマテープ」は、取扱動物病院か通信販売で購入可。
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【予 防】 |
- ワクチンがあります。接種前には検査で感染していないことを確認することが必要です。
FeLVのみのワクチン:リュウコゲン、フィバキシンFelV(2003年9月を持って販売終了)
混合ワクチン:フィーライン4、フェロバックス5、フィーライン7
注射は初回の1ヶ月後に2回目の接種し、以後は1年に1回の追加接種が必要となる。
他の猫と接触することがない場合はワクチン接種は必要ない。
- 感染している猫との接触を避ける。(同じ食器で食べない、体をなめあったりしない)
- 感染猫がいるならケージ飼い(ただし、咬みつかない猫なら同居も可)
- ケンカ防止の為にも、去勢・避妊手術を受けておくと効果的
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■感染したらどうすればいいの? |
- 感染猫はできるだけ室内飼育する。(他の病気にかからない、移さないため)
- できるだけストレスをかけないで過ごせるようにする。
- 食事には気をつけ、水は切らさずにきれいに保つ。
- 感染しても症状が出ないことも多いので、常に注意して猫を見ている。
- 定期検診を受け、健康状態に変化があればすぐに病院に連絡する。
- 貧血と、腎臓・肝臓の機能低下、リンパ節のシコリには気をつける。
- 症状がでてない時に、他の感染症にかからないよう予防注射をしましょう。
- 同居猫がいる場合は、必ずウイルス検査を受け、陰性ならワクチン接種をしましょう。
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