「懐古録」その2

こんなこともありました・・・。


常停止(平成10年10月31日)

あれは平成8年12月22日のことであった。
わたしは前日から知り合いと2人で前日から旅行に出ていた。
行程の都合で前夜は車中泊。
22日に飯田線を南下しているときにそれは突然起こったのだ。
かなり前のことで自信はないが、天竜峡から豊橋に向かう車中だったと思う。
そのときは冬で、電車のドアは「半自動扱い」になっていた。
車内保温のため開けるときは手で開け、発車のときは自動で閉まるのだ。
駅名は失念した(伊那小沢?)が、その駅に着いてもわたしの乗っていた車両のドアは開かなかった。
そのときは、この駅では誰も降りないのかなくらいにしか思ってなかった。
そして電車は何事もなかったかのようにその駅を発車した。
スルスルと電車はホームを離れて行く。
しかし!!!
なんと、ばあさんが車端にある非常停止のボタンを押しているではないか・・・。
電車は見る見るスピードを下げ、ついにホームを離れきらないで停止してしまった。
しばらくして車掌が「なにごとか?」という感じでやってきた。
なにか、車掌とそのばあさんが押し問答をやっている。
どうやらばあさんは、降りたいのにドアが開かないのでその駅で降りられなかったらしい。
それで非常停止ボタンで列車を止めてしまったのだ。
まぁ、列車の本数が少ないので、止めてでも降りようとする気持ちはわからんでもないが・・・。
ただ今から思えば、非常停止ボタンの位置を知っているのに半自動を知らないのは謎である。
押し問答の末、ばあさんはめでたく(あくまで「ばあさん的」に)その駅で降りることができた様子。
ただ、車掌はばあさんが降りるときも降りたあともぶつぶつ文句を言っていたが・・・。
車掌的に見ればいい迷惑である。
電車は遅れるわ、非常停止を運転事故として処理しなけりゃいけないわで、踏んだり蹴ったり・・・。
結局その電車は非常停止解除のため数分停車したのち、その駅を発車した。
都会ではまず見られぬ、田舎ならではの光景であった。


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