原書前文



  海軍力は、国家の興隆と没落に与える影響を通して、世界史に重大な意味を持ってきた。それは船と、それを操る人々と、その時代時代の発達し続ける技術を受け入れることと使いこなすこと、そして戦いにおける勇気、および勇気と指導力の混ざり合ったものなどによって勝ち取られ、維持されてきた。1982年4月に英国がフォークランド諸島に機動部隊を急派したことは、この核の時代でも従来の海軍力が重要な意味を持ち続けていることを広く知らしめた。
  この本では、海軍史における主要な作戦、その中でも決定的な役割を果たした戦闘を描いており、そしてそれらの戦闘を指揮して戦った主要な海軍指揮官の伝記的人物像を取り上げている。それらの作戦・戦闘は、それぞれの新しい時代の海軍の進化を概観している各時代の導入部分と連携しており、その導入部では新しい海軍技術の発達によって変っていった戦略・戦術の変化を描いている。全体を通して、視点は全世界的である。
  この本は大作である。それは構想の壮大さにおいて、またこの重要なテーマを包括的に取り扱っているその広範さにおいて。 私は海軍のできごとをこれほど包括的に充実して語った本を他に知らない。そしてその内容がこれほど鮮やかに、説得力をもって語られた本は他にないであろう。

         元英国海軍歴史局局長
           ピーター・ケンプ




 (「世界の海軍史 近代海軍の発達と海戦」より抜粋)




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